アオダイショウ
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?アオダイショウ | ||||||||||||||||||
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![]() アオダイショウ |
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分類 | ||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||
Elaphe climacophora (Boie, 1826) |
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和名 | ||||||||||||||||||
アオダイショウ | ||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||
Japanese Rat Snake |
アオダイショウ(青大将、Elaphe climacophora ) は、爬虫類 有鱗目 ヘビ亜目 ヘビ(ナミヘビ)科 ナメラ属に分類されるヘビ。シマヘビ、ヤマカガシとともに、本土ではもっともよく見かけるヘビの一種。無毒。
目次 |
[編集] 分布
[編集] 形態
全長は1-2mで、通常は1.5mほど。まれに3mを越すものも存在すると言われるが真偽のほどは定かではない。オスよりもメスのほうが大きくなる。胴の直径は5cmほどになる。南西諸島を除く日本本土では最大のヘビ(南西諸島を含めると、最大はサキシマスジオで本種はシュウダに次いで3番目の大きさとなる)。
体色は、褐色がかったオリーブ色と形容されるが、青みが強い個体や、黄色、茶色、緑色の強い個体もいる。薄い4本の縦縞模様がある(ないものもいる)。また、幼蛇は横縞模様があり、やや褐色がかっているので、マムシと間違われることも多い。これは、マムシへの擬態であると考えられている。ちなみに、瞳孔の形で簡単に区別(アオダイショウは正円形、マムシは縦長のいわゆる「猫目」)ができる。
[編集] 生態
平地から低山地の森林、草原、水辺、農耕地に住む。基本的には樹上性だが、地表にもよく降りてくる。
生息域は高い梢の上から地表、そして地中や下水道まで、幅広い範囲で活動している。これは餌であるネズミの生息環境に合わせた進化であると言える。そのため、ネズミの行ける場所で、アオダイショウの行けない場所はないと言われる。ネズミを追って家屋内に侵入することもある。また、樹上の鳥の巣を襲い、卵やひな鳥を根こそぎ食べつくしてしまうこともある。このように主食は恒温動物であるが、まれにトカゲやカエルも捕らえる。毒は持たないので、獲物に巻きついて絞め殺してから丸呑みする。農家ではネズミ捕りとして昔から大切にされてきた。しかし、鶏卵も食べる為、養鶏農家では卵泥棒として嫌われている。但し、鶏の餌を狙うネズミを捕食することもあるため、評価は人によって様々である。
本種は元々樹上性であったためか、木登りは非常に上手い。その登り方は、一般に考えられているような、枝や幹に巻きついて、螺旋回しの要領で登っていくのではなく、腹盤を幹や枝に押し付け、そのまま垂直に登ってしまう。枝を移動する際も、枝に絡みつくようなことはなく、腹盤を枝に押し付けて、綱渡りのように移動する。そのため、壁をよじ登ることもでき、その習性が、他のヘビがいなくなった都市部でも、本種が生息できる原動力となっている。
天敵はイヌワシ、タヌキ、イノシシ、カラスなどで、幼蛇はノネコやシマヘビなども天敵となる。
[編集] 人間との関係
本種は人とともに暮らすヘビと言われ、人のいない地域にはこのヘビも生息していない。そのためか、人との関わりが深く、都市部でも緑の多い公園や河川敷などに生息している。また、民家の庭先に現れることも多い。
また、本種は昼行性で、活動する時間帯が一般的な人間の活動時間帯と重なることが多いため、生息場所では見かけることも多く、人を恐れることはあまりないといわれる。但し、性格には個体差があり、人にいじめられた経験のある個体などは、人を深く恨むようになり、攻撃的になることもある。このことは、本種に限らず、全てのヘビに言えることである。
本種は温帯域に生息するため、冬は冬眠する。そのため、冬眠しない熱帯性のヘビとは違い、飼育に関して、暖房などの特別な設備を必要としない。そのため、本種は飼育しやすいヘビの一種である。しかし、独特の臭みがあることと、日本在来種であることから、ペットとしての人気はそれほど高くない。
また、肉にも臭みとアクがあり、食べられなくはないが食用としてはあまり適さない。
都会への順応性もあり、身体能力も高い本種ではあるが、近年は餌のネズミが薬剤による駆除対象になったことと、また、コンクリート上では青緑の体色は却って目立ちやすいため、都市部では減少傾向にあるようだ。
本種のアルビノ(白色)個体はシロヘビと呼ばれ、山口県岩国市に生息するものは、岩国のシロヘビとして国の天然記念物に指定されている。