アガスティヤ
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アガスティヤ (Agastya) はインド神話に登場する聖仙。ヴァルナ神の子。七聖には含まれないが、すでに『リグ・ヴェーダ』にその名が見え、叙事詩にも登場する。
神話によると、あるときヴァルナ・ミトラ両神はアプサラスのウルヴァシーに見とれ、精をもらした。それは地上の水がめに落ち、その中からそれぞれの神の子としてアガスティヤとヴァシシュタが生まれたという。アガスティヤのクンバヨーニ壺から生まれた者という別名はこれに由来する。ヴリトラの残党(カーレーヤあるいはカーラケーヤ)が海中に逃げ隠れ、聖仙たちを殺してまわったときには、世界を救うために全ての海水を飲み干した。カーレーヤたちを倒したあとで神々はアガスティヤに海水をもとに戻すよう求めたが、そのときすでに海水を消化してしまっていたとされる。ラーマ王子には黄金の弓ブラフマダッタを授けた。ヴィンディヤ山脈との約束によって最初の南下者となり、タミル語文学の祖ともいわれるなど南インドとのつながりが深く、今でも南インドでは崇拝の対象となっている。
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