アデノウイルス
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アデノウイルスは二重鎖直鎖状DNAウイルスで、カプシドは直径約80nmの正20面体の球形粒子をしており、エンベロープは持たない。また、アデノウイルスは、ライノウイルス等とともに、「風邪症候群」を起こす主要病原ウイルスの一つと考えられている。
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[編集] アデノウイルス感染症
人に感染するアデノウイルスは現在49種類(分類によっては51種類)が知られており、A~Fの6群に分類され、それぞれのウイルスに番号が付けられている。どの種類がどんな病気を起こすのか、ある程度判明している。
多くのアデノウイルスは、潜伏期は5~7日で、感染経路は便、飛沫、直接接触による。感染した場合、アデノウイルスは扁桃腺やリンパ節の中で増殖する(アデノとは扁桃腺やリンパ節を意味する言葉)。免疫がつきにくく、また、亜種多様の為、何回もかかる場合がある。
[編集] 肺炎
主として3・7・21型による。
特に7型は重症の肺炎を起こす。乳幼児がかかることが多く、髄膜炎、脳炎、心筋炎などを併発することもある。だらだらと長引く発熱、咳、呼吸障害など重症になることがあり、時に致命的なことがある。
[編集] 咽頭結膜熱(プール熱)
主として3・4型による。
1日の間に39~40度の高熱と、37~38度前後の微熱の間を、上がったり下がったりが4~5日ほど続き、扁桃腺が腫れ、のどの痛みを伴う。その間、頭痛、腹痛や下痢を伴い、耳介前部および頸部のリンパ節が腫れることがある。両目または片目が真っ赤に充血し、目やにが出る。夏にプールを介して流行することがあるため、プール熱とも呼ばれているが、プールに入らなくても飛沫や糞便を通して感染する。うがい、手洗い、プールの塩素消毒などで、ある程度予防できる。症状がインフルエンザに似ているため、「夏のインフルエンザ」と呼ばれることも有る。学校伝染病の一つであり、主要症状がなくなった後、2日間登校禁止となる。
[編集] 流行性角結膜炎
主として8型による。
目が充血し、目やにが出るが、咽頭結膜熱のように高い熱はなく、のどの赤みも強くはない。結膜炎経過後に点状表層角膜炎を作ることが多く、幼小児では偽膜性結膜炎になることがある。学校伝染病の一つで、伝染の恐れがなくなるまで登校禁止となる。
[編集] 出血性膀胱炎
主として11型による。
排尿時痛があり、真っ赤な血尿が出る。排尿時の痛みと肉眼的血尿が特徴で、これらの膀胱炎症状は2~3日で良くなり、尿検査での潜血も10日程度で改善する。
[編集] 急性濾胞性結膜炎
主として1・2・3・4・6・7型による。
眼の痛み、羞明、涙目、目やにを訴え、結膜に小さなぶつぶつができる。
[編集] 胃腸炎
主として31・40・41型による。
乳幼児期に多く、腹痛、嘔吐、下痢を伴うが、発熱の程度は軽い。
[編集] 関連項目
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