アランドラ
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『アランドラ』 (Alundra) は、1997年4月11日にソニー・コンピュータエンタテインメントから発売されたプレイステーション用アクションRPGである。
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[編集] 概要
『ゼルダの伝説』シリーズとよく似た構成のゲームシステムであるが、あまりにも難易度の高い仕掛けやアクションは発売から10年経った今でもネット中で話題になっていると同時に神ゲーと称されるほどの大作である。
物語は非常に鬱で暗いタイプのダーク・ファンタジー。また、異様に死者が多く、物語が進むにつれ、救えずに亡くなってしまう人物も多い。しかしこれらは命をおもちゃの如く扱うのではなく、物語の中心地である村の墓場では、ゲーム中で死んだ人達の墓へ弔いの言葉とともに花が添えられてあるという、死者に対する追悼の意も表現されている。
製作は『トルネコの大冒険』、『ドラゴンクエストV』などを手がけたマトリックス (Matrix Software) であり、クライマックスと共に開発した『ランドストーカー』の世界観と共通点もみられる。ゲーム中のサウンドには作曲家の田中公平の作品が使用されている。
キャラクターデザインは『フェーダ』、『シャイニング・フォース』等に携わった玉木美孝が手がけている。
[編集] ストーリー
それは王国から偶像崇拝を禁じられた世界。その世界に住む人々はなにかを作り出す創造力を失ってしまったが、人々はその代償の変わりに自分の望む夢を見ることができるようになった。しかしそのせいで、自分の精神が創り出した悪夢や夢魔に憑りつかれ苦しむ人々も現れはじめる。
そんな中、人の夢の世界に入り込むことができるまどろみの一族の一人アランドラが夢に苦しむ人々を救う旅に出る。
[編集] シナリオの特徴
MOTHER3やどうぶつの森などと共通点のある一定の場所にスポットを当て、 その限られた場所に生活する登場人物のドラマを時間の蓄積と共にプレイヤーが傍観者的な立場で 感情移入を深めていく非常に巧みなシナリオである。
[編集] システム
アランドラは「夢潜り」で人の夢に入り込める能力を持ち、夢の中のダンジョンに巣食う悪夢を退治する事が主な目的となる。
最大HPは「命の器」、最大MPは「マジックシード」を入手することで上昇する。また、剣で草を刈るとコインやハートが出現したり、爆弾で壁を破壊できる、物を持ち上げて投げることが可能など、ゲームシステムが『ゼルダの伝説』と非常に類似している。
アクションと謎解きの難易度はいずれも非常に高い。
[編集] 主要な建築物・ダンジョン
- クラーク号
- ゲームのスタート地点、アランドラはこの船に乗り合わせていた。
- イノアの村
- アランドラが世界を救うべく活動を行う拠点。 名産品はイノアの火酒、ゲーム後半に携行できない完全回復アイテムとして登場する。
- 教会
- イノアの村の北に位置する教会、地下には邪神メルザスが祭られている。
- ターラスの館
- アランドラ含むまどろみの一族について記された、エルナの書が保管されている。
- 夢の中
- 主に悪夢が巣食っていて退治する場合が多い。一度入ったら、解決してくるまで出られない、また、その後は二度と入る事は出来ない。
- プレイヤーが精神世界を体感するために、BGMは基本的に不共和音を意識した気味の悪い曲が流れるが、例外としてクラインの夢だけは美しい音色の冬景色を思わせる曲である。このクラインの悪夢は難解なパズルを解かなければ先に進めない構成であり、プレイヤーの集中力をかき乱すような気味の悪いBGMや、鬱になるようなイベントは使用されていない。
- 炭鉱
- イノアの村の北に位置する炭鉱、住民の悪夢によって破壊される。
- お袋
- イノアの村よりワールドマップ最北端に位置する神殿。
- まだ死ぬべきではない人の黄泉の国からの帰還をお祈りする場所。
- お袋という名前は生命の象徴である母親の子宮を意味している。
- バー・リバーサイド
- イノアの村のすぐ西に位置する酒場、ストーリー後半に手に入る入場券を使ってミニゲーム場に入ることができる。
- コーヘイの家
- BGMの作曲者である田中公平と思われる人物(コーヘイ)の住む家、いわゆるBGMプレーヤーである。
- トーラ火山
- マップ北東に位置する火山
- 迷いの森
- マップ北西に位置する森林、ムルータという白いサルが巨大な砦を築いている。
- 雪王の碑
- 伝説の剣豪雪王を祭る石碑、一定条件を満たすと最強である武器「雪王の剣」が手に入る。
- 湖の神殿
- 邪神メルザスのいる神殿。
[編集] 登場キャラクター
- アンゼス
- 海岸に打ち上げられたアランドラを保護する。アランドラの父親的存在となるが、邪教信者であるロエインにより殺害される。
- メディアム
- アランドラ同様にまどろみの一族である少女。彼女の母親はメルザスの正体を知り、背教者として処刑される。
- シビル
- 目覚めていながら夢を見る、不思議な少女。その夢は予知夢である。
- 賢者ラア
- アランドラを解放者として導く賢者。
[編集] アイテム
- 薬草
- Sポーション
- Lポーション
- 金のくちばし
- アランドラには隠しアイテムとして金のくちばしが登場する。金のくちばしは全部で50個あり、集めた数によって強力なアイテムと交換できる。なお続編『アランドラ2』では同様な位置づけのアイテムとしてパズルのかけらがある。
[編集] 続編
1999年に続編として『アランドラ2 魔進化の謎』が製作された。しかし、本作『アランドラ』と続編『アランドラ2』はその内容が大きく異なり、それぞれが正反対な作風である。
本作と続編の違いについてはアランドラ2 魔進化の謎#前作との相違点の項目を参照。
[編集] ゲーム中に用いられるサウンド
ゲーム中のサウンドには田中公平氏の作品が用いられているが、音源はすべて32ビット機内蔵音源が用いられており、録音に頼らずゲーム音楽を作曲した珍しい例とも言える。