ウルフ転位
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ウルフ転位(—てんい、Wolff rearrangement)とは、有機化学における転位反応のひとつで、α-ジアゾケトンからケテンが生成する反応である。1912年に L.Wolff により報告された[1]。
生成物であるケテンに水やアルコールが求核付加するとカルボン酸やエステルが生成する。
[編集] 反応機構
加熱[2]や光照射[3]、または酸化銀などの遷移金属触媒によりα-ジアゾケトンから窒素が脱離することでカルベンが生成する。生成したカルベンが1,2転位を起こしケテンが生成する。
[編集] 応用
ウルフ転位を鍵反応とし、カルボン酸ハロゲン化物とジアゾメタンから炭素が1個増えたカルボン酸誘導体を得る手法をアーント・アイシュタート合成と呼ぶ。増炭反応の一種である。