カポエイラ
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カポエイラ (capoeira) は、ブラジルの格闘技。カポエィラとも呼ばれる。「カポエラ」は誤った表記で、日本語表記は前述のいずれかを使う。
相手に蹴りや攻撃を当ててしまうものは下手とされ、基本的に相手には触れず、プレッシャーをかけてゆく。そのため、格闘技とダンスの中間に位置するものとも考えられる。
日本では梶原一騎が自書の作品で『逆立ちしながら闘う格闘技』と誤った紹介をした為に、長年誤解されてきた。実際には常に逆立ちのような体勢をとるのではなく、足を地面に付けていることの方が多い。
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[編集] 歴史
1500年4月22日、ポルトガルはブラジルを植民地化する。ポルトガル人はサトウキビなどの穀物畑を耕作させるための労働力として、アフリカ大陸から連れてこられた多くの黒人の人身売買が行われ、奴隷が生まれた。カポエイラの源流は、アフリカの土着格闘技として、すでにこのころよりも以前に存在していたと言われる。
1808年1月23日、ブラジル帝国が樹立され、ブラジル皇帝は、1808年から1831年まで特別警察を設置、アフリカ文化の抑圧を行った。1888年5月13日に奴隷制は廃止されたものの、元奴隷への差別は依然として続き、カポエイラは権力に抵抗する手段として1892年から1932年まで禁止されていた。
こうした背景の中、カポエイラは黒人奴隷が、看守にばれないようダンスのふりをして修練した格闘技といわれる。手技はほとんど無く、地面に手をついて蹴ったり、逆立ちをしたりと、独特の動きを持つ。手かせをされていた奴隷が、その拘束をとかれないまま鍛錬した格闘技の為、拳を用いた技法は少ないともいわれるが、これは後世のイメージにより定着された説で、現在では空手やテコンドー・ムエタイ等の他国の格闘技と技法交流に伴い拳法技術を用いた技法も導入されている。したがってカポエイラが足技だけの格闘技と理解するのは誤りである(但し、同じく足技を特徴とするテコンドーから導入された技法が多く、足技を特徴とする格闘技であると云う事実は認められなくはない)後にブレイクダンスなどにも影響を与えた。また、踊りの練習をしているように見せかけるために、音楽とともに練習したと言われており、ビリンバウ等の楽器をつかった伴奏が付き物である。
[編集] 流派
大きく二つの流派が存在する。近年は様々な要素を混ぜたコンテンポラーニアと言う新しいスタイルも生まれている。
[編集] ヘジォナウ (Regional)
1928年にメストゥレ・ビンバ(Mestre Bimba 本名:Manoel dos Reis Machado 1899年(または1900年)11月23日-1974年2月15日)が多くの格闘技を研究し、創始した。より格闘技的なスタイル。激しくアクロバティックな動きも特徴。一般的に知られているカポエイラはこちらの系統の流派。屋内でカポエイラ教室を初めて開き、1930年代ブラジルバイーア州サルバドールで世界初の道場を開校した。上流階級の子供まで習い、当時の共和国大統領ジェトゥリオ・ヴァルガスに招かれてデモンストレーションを行ったことからも、ビンパは奴隷の文化からのカポエイラの地位を向上させた存在といえる。
[編集] アンゴーラ (Angola)
メストゥレ・パスチーニャ(Mestre Pastinha 本名:Vicente Ferreira Pastinha 1889年4月5日-1981年11月13日)がまとめた流派。彼は奴隷でない身分の者にもカポエイラを教えた革命児。カポエイラの師であるアフリカ人Beneditoの出身地ブラジルアンゴーラ地方から名前をとった。儀式的でどちらかといえばゆったりした動きが特徴。飛び跳ねるような派手な動作はあまり行わず、動物の動きをまねたアフリカ土着の格闘技に近い。パスチーニャは1941年バイーア州サルバドールでアンゴーラの本格的な道場を開いた。
[編集] 技名
- ジンガ(ginga)……「よちよち歩き」の意味。他の格闘技の構えに近い、カポエイラの特徴的なステップ。腰を落とし、顔面を防御しつつ左右に体を移動させる。
- ケィシャーダ(queixada)……あごへの蹴り。
- アルマーダ(armada)……「艦隊・海軍」を意味する蹴り。
- アウー(au)……側転。動作中は地面についた手を見ずに、相手を見続けることが特徴。
- フォーリャ(folha)……「葉っぱ」を意味するアクロバティックな蹴り技。
- マカーコ(macaco)……「猿」を意味する、しゃがんだ状態からのバク転。
[編集] 用語
- ジョーゴ……ほかの格闘技で組手にあたるもの。
- ホーダ……円陣の中心で、楽器の演奏とともにジョーゴを行う。対戦相手は次々入れ替わる。
- カポエイリスタ……カポエイラをする人。
[編集] 楽器
- アタバキ
- ビリンバウ(グンガ、メジオ、ヴィオラ)
- パンデイロ
- アゴゴ(又はアゴーゴ)
[編集] 音楽
- ラダイーニャ(Ladainhas)
- シューラ(Chulas)
- コヒード(Corridos)
- トーキ(Toques)
[編集] カポエイラが登場する作品
[編集] 映画
- オンリー・ザ・ストロング - Only The Strong (1993年)
- キックボクサー4 - Kickboxer 4: The Aggressor (1993年)
- クエスト - The Quest (1996年)
- M:I-2 - Mission: Impossible 2 (2000年)
- キャットウーマン - Catwoman (2004年)
- オーシャンズ12 - Ocean's Twelve (2004年)
- トム・ヤム・クン! - Tom Yum Goong (2005年)
[編集] 音楽(PV)
- 〔ふれていたい〕/GRAPEVINE(2000年)
[編集] 漫画
- 空手バカ一代
- CUFFS ~傷だらけの地図~
- ヤスミンのダンス!
- DEATH NOTE - ※先代L(エル)がヨツバ編にて何度か技を見せている。
- 修羅の門
- 天上天下
- 格闘美神 武龍
- ボーイズ・オン・ザ・ラン
- コータローまかりとおる!
- サムライチャンプルー
[編集] 対戦型格闘ゲーム
()内はカポエイラを格闘スタイルとするキャラクター。
- 餓狼伝説シリーズ(リチャード・マイヤ、ボブ・ウィルソン)
- ストリートファイターIIIシリーズ(エレナ)
- 鉄拳シリーズ(エディ・ゴルド、クリスティ・モンティロ)
- ザ・キング・オブ・ファイターズシリーズ(ソワレ・メイラ、桃子)
[編集] 小説
- 超老伝-カポエラをする人(中島らも作)
- DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件(南空ナオミが護身術として/西尾維新著)
[編集] リンク
[編集] 日本のカポエイラグループ
東京
- バントゥスカポエイラ バントゥスカポエイラ日本
- ABC de カポエィラ ド ジャパォン カポエイラ総合情報サイト
- ブラジル カポエイラ協会 コハダン・ジ・コンタス日本支部コハダン・ジ・コンタス日本支部
- Abada Capoeira Tokyo アバダ・カポエイラ東京
静岡市
- [http://www.nagoas.com/ ナゴアス・カポエイラ・協会 - ジャポン先生
愛知
- カポエイラ・ヴァジアソン 名古屋のカポエイラグループ
石川
- NAIECO CAPOEIRA 金沢のカポエイラグループ
大阪
- アシェ・ブラジル 大阪のカポエイラグループ
- グルーポ・ジ・カポエイラ・カプージャポン 大阪のカポエイラグループ
関西
- ブラジル カポエイラ協会コハダン・ジ・コンタス関西支部 関西のカポエイラグループ
九州
- [http://capoeira.co.jp/ 九州のカポエイラ総合サイト
[編集] カポエイラについて
- Capoeira 4 all カポエイラに関する事項のデータベース(英語)
- Capoeira Video ビデオ