コータローまかりとおる!
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『コータローまかりとおる!』は、蛭田達也作の漫画及びこれを原作とする映画、小説。「週刊少年マガジン」で1982年から1994年まで連載。続編に『新・コータローまかりとおる! 柔道編』、『コータローまかりとおる! L』がある。
目次 |
[編集] 概要
デビュー作となった読切版『コータローまかりとおる!』(後述)を元に「週刊少年マガジン」(講談社)誌上において1982年36号から1994年34号まで連載された、蛭田初の連載作品。単行本はKCマガジンコミック (KC) より全59巻が発売され。後にKCスペシャル (KCSP) よりワイド版として全31巻、文庫版として16巻(第四部 格闘スポーツ大会・校内編まで)が発売されている。
続編となる『新・コータローまかりとおる! 柔道編』の連載開始後は『旧コータロー』と通称される。
1986年(昭和61年)度、第10回講談社漫画賞少年部門受賞。
東京ドームの数百倍の敷地、生徒数2万人を誇るマンモス高校私立鶴ヶ峰学園を主な舞台とし、7部からなる本編及び、過去を扱った番外編からなっている。
連載当初は学園物の1つにすぎなかったが、作者の加齢に歩調を合わせるように内容が充実。格闘・ギャグ・ラブコメ・友情さらにはバンドなどと、非常に多種な要素を内包し、特定のジャンルに分類する事が難しい作品である。
『新』、『L』と言う続編へと続く作品ではあるが、作中の伏線の多くは続編に引き継ぐ事なく7部までに回収しており、『旧』だけで一つの作品として完結している(部だけで一つの作品として完結していると言えるものもある)。
第3部の連載時期に一度実写映画化された。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ
[編集] 第1部 コータロー参上編
KC1 - 5、KCSP1 - 3に収録。頭髪違反者の功太郎と、風紀委員の麻由美、天光寺は日夜仲良く (?) 追いかけっこをしていた。ふとしたきっかけで功太郎は学園の裏を取り仕切る「蛇骨会」会長の後継者争いに巻き込まれ、学園中央部の時計塔を舞台に蛇骨会幹部の砂土屋俊兵と対峙する。
[編集] 第2部 クララ姫編
KC5 - 9、KCSP3 - 5に収録。ムーア公国より鶴ヶ峰学園に留学してきたクララ姫は自分で着替えをした事がない程の世間知らず。そんな彼女のパンティーを功太郎が狙う事に。護衛となった麻由美や天光寺達、そして自分を特別扱いしない功太郎との楽しい学園生活を送るクララ姫。しかし彼らは王位継承に絡む陰謀に巻き込まれてゆく……。第2部だけでほぼ完結しており、以降のストーリーとの関連性は薄い。
[編集] 第3部 D地区(ディーブロック)編
KC10 - 16、KCSP5 - 9に収録。新任の風紀委員長吉岡に「蛇骨会の遺産」の調査、奪回を依頼された功太郎は、学園の無法地帯と呼ばれるD地区に赴く。そこで、同じく遺産を探す正体不明の集団サイクロプスとの命がけの抗争が始まる。
[編集] 第4部 格闘スポーツ大会・校内編
KC17 - 26、KCSP9 - 14に収録。ある事件をきっかけに応援団とやり合う事となった功太郎は応援団長の鹿斗典善と知り合う。功太郎の型にはまらぬ空手を目の当たりにした典善は、自分の空手に通ずるものを感じ、彼の果たせなかった「変則的な空手での全国制覇」という夢を託そうとする。多数の空手部が存在する鶴ヶ峰学園ではまず校内予選大会に出場しなければならない。そして功太郎を憎悪する生徒会長の妨害により、校内予選は団体戦のみに。かくして功太郎は団体戦のメンバー集めから始める事となった。
[編集] 番外編
KC27・28、KCSP14・15に収録。鶴ヶ峰学園に入学した功太郎が入部したのは無限流拳法部。極端流空手部道場を手に入れるまでを描いた過去編。
なお週刊少年マガジン1984年サマー大増刊号に掲載され、KC26・KCSP15に収録された読み切りの番外編『南の島の大冒険』も存在。こちらは南海の孤島に流れ着いた功太郎と天光寺、そして麻由美によく似たミイという娘を中心とした話となっている。
[編集] 第5部 格闘スポーツ大会・全国編
KC29 - 36、KCSP15 - 19に収録。典善からの特訓を受ける功太郎達の元を訪れたのは、功太郎の試合ビデオで見た麻由美に一目惚れした米俵権佐ェ門。彼の才能を見出した典善は功太郎の特訓をやめ、権佐ェ門を鍛える事とする。幼い頃に引っ越した功太郎の幼馴染みの真崎純や、彼女の引越し先での幼馴染み犬島剣兵も巻き込み、複雑に恋愛が絡まった全国大会が始まった。
[編集] 第6部 バンド編
KC36 - 41、KCSP19 - 22に収録。極端流道場に居候する事となった外人スティーヴ・パイは、音美響が憧れ続けるギタリスト。響の才能と孤独、そして功太郎のリズム感を見抜いたパイは、功太郎にドラムを始めさせ、自らはベースで参加して最高のセッションを実現することとなる。このセッションにおいて音楽の楽しさを噛み締め、バンド活動をはじめた3人に、パイを独り占めしようとするカイザーの魔の手が迫ることとなった。
[編集] 第7部 千葉流編
KC41 - 59、KCSP22 - 31に収録。ふとした事から美化委員と争う事になった功太郎。そしてその裏で再び動き始めた蛇骨会。全ての黒幕は白バラこと吉岡達也であった。「軍国主義の亡霊」赤岩心水、さらにはCIAとも手を組んで日本を滅ぼす計画が進められる。その打開の鍵を握るのは渡ヶ瀬真由美。多くの人を巻き込んで今吉岡との決着がつけられようとする。
[編集] 登場人物
「コータローまかりとおる!の登場人物」の項を参照。
[編集] 読切版
連載開始前に『コータローまかりとおる!』のタイトルで2本が発表されている。
[編集] KC16巻版
第27回新人漫画賞・特選作品で、蛭田のデビュー作。週刊少年マガジン1982年5号に掲載され、KC16巻・KCSP9巻に収録。連載作品の元となった作品であり、功太郎、麻由美、天光寺が登場。設定もほぼ同じで天光寺の決め台詞「ハゲではない!」も既に登場している。
[編集] KC26巻版
デビュー2作目となった作品。週刊少年マガジン1982年16号に掲載され、KC26巻・KCSP15巻に収録。1本目より以前に考え、ボツにしていた話を元としている。そのため、ヒロインが麻由美ではないなど連載版との設定の差が大きい。主な登場人物は功太郎、天野めぐみ、生徒会長。生徒会長はデザイン、性格等連載版にかなり近い形に出来上がっている。
[編集] その他
- 楽屋ネタを始めとして、作者自身が欄外等によく登場する漫画であるが、その作者がキャラクター人気投票で3位になった事がある。
- 非常に話の進行が遅い事で有名で、作者自らが自覚し自虐ネタとしている。『旧』・『新』・『L』と単行本で94冊、20年以上にも及ぶ連載にも関わらず、作中での時間は2年程しか経っていない。
- ギャグとしての他の漫画作品や時事ネタのパロディが多く、特に連載誌であったマガジン掲載作品の頻度は高い。
[編集] 映画
1984年8月4日公開。
[編集] スタッフ
- 監督:鈴木則文
- プロデューサー:豊島泉、厨子稔雄、佐藤公彦
- 企画:佐藤雅夫、千葉真一
- 原作:蛭田達也
- 脚本:志村正浩、鈴木則文
- 撮影:北坂清
- 美術:佐野義和
- 編集:市田勇
- 音楽:佐久間正英
- 音楽プロデューサー:高桑忠男
- 歌:黒崎輝 & ジャック・ブラザーズ
- 助監督:萩原将司
[編集] キャスト
- 新堂功太郎:黒崎輝
- 渡瀬麻由美:千原麻里
- 吉岡達也:真田広之
- 紅バラ:志穂美悦子
- 天光寺輝彦:大葉健二
- 砂土屋俊兵:伊原剛 (現・伊原剛志)
- クララ姫:シャナ・ホーキンス
- 鱈子一郎(生徒会長):山口良一
- 原作者:蛭田達也(特別出演)
[編集] 小説
映画版とのタイアップで講談社X文庫より発売。