クチュルク
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| 姓名 | 耶律屈出律 |
| 年号 | 天禧 |
| 廟号 | 缺王 |
| 字 | - |
| 諡号 | - |
| 生没年 | 生年不詳-1218年 |
| 在位 | 1211年-1218年 |
クチュルク（Küčülüg, 生年不詳 - 1218年）は、モンゴル高原東部の遊牧集団ナイマン部の王族。漢字表記は屈出律。『元史』では曲出律、『元朝秘史』では古出魯克と表記されている。または西遼の駙馬（皇帝の女婿）のために缺王とも呼ばれる。ペルシア語表記では『世界征服者史』および『集史』はともに كوچلك خان Kūchuluk Khān ないし كوشلوك Kūshulūk と綴る。クチュルクとはテュルク語で küč＋lüg 「力ある者」の意味。
[編集] 略歴
父で国王のタヤン･ハーン（タイ･ブカ）が1204年にモンゴル部のチンギス・ハーンに敗れて戦死し、ナイマン部が壊滅し、また彼の生母が美貌のためにチンギス・ハーンに攫われると、アルタイ山脈方面にいた叔父ブイルクの下に逃れた。だが、1208年に再び敗れて、父を殺し母を攫ったチンギス・ハーンに復讐を誓いながら、アルタイ山脈の西の中央アジアを支配する西遼（カラ・キタイ）に亡命した。
西遼では、モンゴル帝国の拡大を警戒する皇帝の末主耶律直魯古（チルク）によって歓迎され、その女婿とされるほどの優遇を受けた。だが、クチュルクはナイマンの残部を集めて勢力を蓄えると西遼の簒奪を企て、1211年に岳父の直魯古を幽閉して、自ら西遼国の帝位に就いた。
即位後、西遼以前に中央アジアを支配していたカラハン朝の残部が西遼の宗主権下で存続していたタリム盆地南部のホータン、カシュガルを次々に征服し、中央アジアに勢力を広げた。また、西遼の契丹人（キタイ人）貴族の支持を得るために、妻の影響も受けてナイマンの旧来の信仰であるネストリウス派キリスト教から仏教に改宗したが、むしろ熱心な仏教徒となってイスラム教を弾圧したため、領内の住民の大多数を占めるムスリム（イスラム教徒）のクチュルクに対する反感が深まった。
このため、1218年にモンゴル帝国の将軍ジェベが率いるモンゴル軍の中央アジア遠征部隊が到来すると領内のムスリムが雪崩を打ってモンゴルに従い、さらに新来の簒奪者クチュルクに不満をもつ仏教徒の契丹人やクチュルクの改宗に不満をもったキリスト教徒のナイマン人も離反したため、ほとんど戦わずしてクチュルクの勢力は壊滅した。クチュルクは南のパミール高原に向かって敗走したが、バダフシャンでモンゴルの追討部隊に捕捉され、殺害された。
なお、横山光輝の｢チンギス・ハーン｣ではグルチクと呼ばれていた。
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