グーグル八分
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グーグル八分(グーグルはちぶ)とは、検索エンジングーグルで上位にヒットするページランクのウェブサイトが何らかの理由により検索対象からはずされて表示されない状態を、村八分になぞらえて呼ぶ言葉である。英語では「グーグルの検閲」を意味する "Censorship by Google" あるいは "Google Censorship" と呼ばれる。
村八分とは、“ムラ社会”においてある成員に対し、火事の消火活動と葬儀を除く一切の付き合いを遮断するという制裁を指すが、グーグル八分の場合は、特定のウェブサイトが検索用のインデックスから完全に削除され、Googleにおいて一切検索結果から出なくなる。
その理由をGoogleは、法律上、違法情報に該当すると判断されたサイトを検索対象からはずしていると説明する。
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[編集] 実情
グーグルによる検閲は、一般的には検索国の法律に従って行われるが、Googleはアメリカの企業であるため、アメリカ国内の法律によって違法と判断されたサイトについては、全世界で表示されない。例えば、DMCA(デジタルミレニアム著作権法)に抵触すると判断されたサイトについては、日本語のコンテンツであっても日本国内から検索出来ないし、アメリカ以外の国経由で検索しても同様である。
[編集] フランスとドイツ
2002年10月22日、およそ113のインターネット上のサイトがGoogleのドイツ語版とフランス語版から除去されているとの調査が報告された。[1] この検閲は主として White Nationalistic, ナチ、反ユダヤ主義、イスラム過激派のサイトに影響を与えた。 フランスとドイツの法の下では、ヘイトスピーチとホロコーストの否定は違法である。グーグルはこれらの法を遵守して、そのような題材を含むサイトを検索結果に含めないようにした。 検索がこのような形で影響を受けているかどうか直接確認するすべは無い。
ドイツ語版グーグルは、AdWordsから裸の写真が含まれるサイトへのリンクを一切許可していないー上半身裸の男性の写真を掲示するサイトさえ遮断されている。[2]
[編集] 中国
中国でのGoogleでは、中国政府側からの要請により中国政府に反する記事は検索しても一切表示されることはない。
中華人民共和国によるインターネット検閲政策は万里の長城(The Great Wall) になぞらえて、俗に"The Great Firewall of China" とよばれていて、グーグル中国語版における検索結果はフィルタされ、1989年の六四天安門事件に関するサ結果や、チベットや台湾の独立を支持するサイト、そのほか中華人民共和国に有害と考えられる情報は表示されない。Googleが、この政策に従うことを決定したことについて、論争が起こっており、一部の活動家からは、Googleの企業精神 "Don't Be Evil"に反するものだと解釈されている。
[編集] 日本
例えば悪徳商法?マニアックス[1] は悪徳商法を行っていると見られる団体に関して情報と対策を掲載するサイトであるが、「グーグル八分」の対象となっており、確かに http://www.google.co.jp で「悪徳商法」を検索してもトップページは上位に現れず、その代替ページが表示される。この現象は、google.co.jpからの検索に限られ、www.google.comで検索を行うと、一番上に「悪徳商法?マニアックス」のトップページが表示される。この点について、2004年1月に「悪徳商法?マニアックス」の管理人がGoogleに問い合わせたところ、「日本の法律上、違法情報に該当すると判断され、Google.co.jp及び弊社パートナーサイトから削除させていただきました」との回答があり、グーグル八分の存在が日本でも明らかとなった。
World Wide Webとはいいながら、実際には検索エンジンがポータルサイトとして重要な役割を果たしている現状では、多くの利用者にとって、グーグル八分を受けたサイトは存在しないも同然になる。そのため、特定のサイトを恣意的にヒットしないようにする操作は情報のアクセス権の問題になりうるという意見もある。
最初のうちは検閲が行われてもその旨の表示が無かったが、2006年1月のGoogleポリシー変更にともない、検索結果の一部が削除された場合、「検索結果のうち ○ 件を削除しました」というメッセージと、関連リンクが表示されるようになった。
[編集] 脚注
- ^ Zittrain, Jonathan; Edelman, Benjamin. "Localized Google search result exclusions: Statement of issues and call for data." Harvard Law School: Berkman Center for Internet & Society. October 22, 2002.
- ^ E-mail from Google staff in reply to an inquiry from AdWords user, asking for an explanation, why his AdWorks campaign had been discontinued.