コンテスト (アマチュア無線)
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アマチュア無線におけるコンテストとは、規定の時間内により多くの局と交信することで得点を競い合う競技である。交信の局数を単純に得点とするコンテストは少なく、交信した局数×交信した地域の数(マルチプライヤー)を総得点とする場合が多い。移動運用や運用が困難なバンドでの運用に得点が加算される場合もある。
そのため、時間内にできる限り効率的に交信することはもちろん、高得点を得るためには、運用するバンドをできるだけ多くするマルチバンド運用、電波の飛び易い場所に出かける(ただし、コンテスト中に運用場所を変えることは多くのコンテストで禁止。)、社団局の場合は連続して運用できるよう交代要員を配置するマルチオペレーション、未交信の地域を狙ってアンテナを向ける、録音・再生機能があるマイクや電鍵を用いる(体力消耗を防ぐ為、必要以上に喋ったり打電したりしない)など様々な戦略が重要となり、通常の交信とは異なる楽しみ方が存在する。上位入賞の局では1時間に100局以上と交信することもあるという。
日本アマチュア無線連盟や外国の諸団体が主催する有名なコンテストの上位入賞を目標とする局も多い。その他、連盟の地方支部や地域のクラブなどが主催する比較的小規模なコンテスト、ユニークな内容のコンテストも多数開催されている。期間は3時間程度のものから数10日に及ぶもの(マラソンコンテスト)がある。
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[編集] 概要
コンテストにおけるCQ呼び出しは電話『CQ コンテスト』、電信では『CQ TEST』が用いられる(CQの後にコンテストの略称を付ける場合がある)。コンテストにおいては、了解度、信号強度、自分の所在する都道府県や市郡区を示す数字、空中線電力などを示すコンテストナンバーと呼ばれる数桁の英数字を送信し、相手局から送られたナンバーを交信記録(ログ)に記録し、主催者に提出する。コンテストナンバーと呼出符号以外の要素はできる限り省略する。レピータ(中継局)による交信やクロスバンド交信(送信と受信を異なるバンドで行う交信)は認められない。
一部のコンテストでは、参加者から提出された交信記録を全て照合して得点を精査する場合もあるが、近年紙によるログ提出から、電子メールによるログ提出に移行してきたため、それらの電子ログを相互にプログラムにより照合(クロスチェック)するようになってきている。ほぼ全てのコンテストにおいて、程度の差こそあれ提出ログの審査は行われている。原則的に同一局との交信は同一のバンドで1回限りしか得点として認められないため、重複交信を規定の比率(2%以上が多い)以上に得点として計上し、失格となることもある。
最近では、個人や団体からの寄付によりコンテストの表彰種目を設けるコンテストドナー制度も設けられている。
[編集] 主なコンテスト
[編集] 日本アマチュア無線連盟が主催する日本国内対象のコンテスト
- ALL JAコンテスト(4月28日~4月29日)
- 交信した都府県および北海道の支庁数がマルチプライヤーとなる
- 6m AND DOWNコンテスト(7月の第1土曜~日曜)
- 周波数50MHz以上(=波長6m以下)を使用する。俗に6下(ろくした)、アンドダウン、などと略される。
- フィールドデーコンテスト(8月の第1土曜~日曜)
- 野外への移動運用による対固定局通信が前提であり、固定局同士の交信は得点にならない。また、電源のない移動地での交信は得点が2倍になる。略してFD(フロッピーディスクではない)。
- 全市全郡コンテスト(10月の第2日曜~月曜)
- 交信した市・郡・区の数がマルチプライヤーとなる。旧・オールシティーコンテスト(郡部との交信は得点計上出来なかった)。
その他、各地方本部・支部が主催するコンテストもある。
[編集] その他日本国内の有名なコンテスト
- KCJコンテスト
- Keymen Club of Japan(全国電信愛好会)の主催するコンテスト。CWのみの参加となる。
- XPO記念コンテスト
- 日本アマチュア無線連盟関西地方本部が主催するコンテスト(9月の第3月曜敬老の日):都府県および支庁数がマルチプライヤーになる点はALL JAコンテストと同じだが、コンテストナンバーに出力を含まず短く、マニアに人気が高い。1.9MHzから1200MHzまでを使用し、開催時間は午前6時から午後6時と短いので参加しやすい。コンテスト名は日本初の記念局が置かれた大阪万博にちなむ。
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[編集] 全世界対象の有名なコンテスト
- ALL ASIAN DXコンテスト
- 日本アマチュア無線連盟が主催する国際コンテスト。毎年6月第3週末に電話部門、9月第1週末に電信部門が開催される。アジアの局との交信を得点とする(アジアの局は全世界との交信が有効)。コンテストナンバーとしてRS(T)+年齢(女性は「00」で代用可)を送るのが特徴。優勝者は総務大臣表彰を受ける。
- CQ World Wide DX Contest
- US-CQ社が主催する歴史と格式あるコンテスト。毎年10月最終週末に電話部門、11月最終週末に電信部門が開催され、世界中のアマチュア局が参加する。また、これに合わせて珍しい国や地域への移動運用が行われることも多い。
- CQ WPX(Working Prefix) Contest
- US-CQ社が主催するもうひとつのコンテストで、こちらはコールサインのプリフィックスがマルチプライヤーになる。毎年3月末に電話部門、5月末に電信部門が開催される。国によってはこれにあわせて特別なプリフィックスを発行する監督官庁もある。
- ARRL DX Contest
- 米国アマチュア無線連盟が開催するコンテストで、米国およびカナダとの交信を目的とする。毎年2月第3週末に電信部門、4月第1週末に電話部門が開催される。米国とカナダの州がマルチプライヤーとなる。
- IARU HF Championship
- 国際アマチュア無線連合の主催するコンテスト。7月第3週に開催。マルチプライヤーはITUゾーン(国際電気通信連合が定める地域区分)。旧・IARU Radiosports Championship。
- Japan International DX(JIDX)コンテスト
- 月刊ファイブナインが主催する日本対全世界のコンテスト。毎年4月第2週末に電信部門、11月第2週末に電話部門が開催される。日本国内局は日本を除くDX局との交信が有効(DX局は日本の局のみとの交信が有効)、ARRL DX ContestのJA版といえる。
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[編集] コンテストに類する行事
得点を競うものではないが、コンテストと類似する内容の交信が行われる行事として毎年1月2日~3日に行われるQSOパーティー(声の年始挨拶)、6月1日~7日に行われるテレコムQSOバーティーなどがある。交信局数等の条件(異なる20局以上)を満たすと記念品や参加証が贈呈される。その時期には多くの局が交信に参加するため、普段交信できない地域との交信が可能となるメリットもある。
その他、非常通信訓練もコンテストと同様にレポートを交換し、ログを提出する形で行われることがある。