CQ
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CQ(シーキュー)は、無線通信において、通信可能の範囲内にある全ての無線局を一括して呼び出す、あるいはそれらに対する通報を同時に送信しようとするときに用いられるコードである。
[編集] アマチュア無線における用法
アマチュア無線では、転じて不特定のアマチュア局に対しての通信の呼び掛け(CQ呼出または一般呼出と呼ばれる)として用いられる。「誰でもよいので交信する相手を探しています」というような意味合いである。呼び出し元は、電信ではDE(フランス語で「~から」の意)、電話では「こちらは(This is)」の後に自局のコールサインを附けることで表す。
CQ呼出は、CQ DX(遠く離れた(又は外国の)全ての局の呼び出し)のように文字を追加することで、またITUコールサインプリフィックス(接頭辞)を附けることで(例えばCQ VKはオーストラリアの局の呼び出し)、呼び出す局を限定することができる。アマチュア無線では、慣用的にCQの後に周波数帯を周波数または波長表記で附けることがある。
[編集] 歴史
当初は遭難信号にはCQを変形したCQDが用いられていた。これはマルコーニ電信会社によって提案され、1904年に採用されたが、1906年から1908年までの間にSOSに改められた。しかし、1912年に客船タイタニック号が沈没したときには、CQD DE MGY(MGYは船のコールサイン)と送信された。1912年にロンドンで開かれた無線電信会議で国際的に採用されて、現在でも使用されている。
CQは、イギリスの有線電信オペレーターによって使用されたのが最初である。それは、元はフランス語で、国際的な郵便サービスの用語である"sécurité"(「安全」または「支払い注意」の意)に基づくもので、"sécurité"の最初の2音節が"CQ"をフランス語で発音した時に似ていることによるものである。英語圏での俗説では、"seek you"(貴方を探す)の転じたものとか、"Call for Quarters"(四方に呼び掛ける)の略語、"CQD"として使用される場合には"come quick"(早く来て)の略語であるなどと言われている。