サブウーファー
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サブウーファー ( Subwoofer ) とは、小型スピーカーでは充分に音量を確保できない低域を専門に受け持つスピーカーシステムを指す。一般のマルチウェイスピーカーにも、ウーファーは取り付けられているが、サイズ等の諸問題により質、量共に不十分な領域があることが多い。 スーパーウーファーとも呼ぶが、これはもともとヤマハの商品名であった。
サブウーファーの受け持つ帯域は大凡100Hz以下の低音域であるが、小型スピーカーと組み合わせて使う場合などは、カットオフ周波数が更に高域寄りになることもある。
なお、一般的に売られている単品のサブウーファーはアンプを内蔵しているアクティブ方式である。
サブウーファーとは逆に、通常のスピーカーでは再生できないような高音域を専ら担当する装置のことは、スーパーツイーターと呼び、サブツイーターとはいわない。通常のスピーカーの再生帯域を超える高音域の再生を担当することからスーパーという語を用いる。
なお、ウーファーはウーハーとも表記する。
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[編集] 特性
サブウーファーが担当するような低音域は、より高い音域と比べ人間の聴覚では音の発生源の方向をとらえることが難しい。そのため、ステレオ再生システムやマルチチャンネルシステムにサブウーファーを組み込む場合、1台でも聴感上の違和感を感じさせることなく、十分な効果をあげられると考えられている。実際に規格化されているマルチスピーカーシステムにおいても、サブウーファーは一台のみとされている。ただし、聴感上の差がまったく無と言うわけではなく、高いクオリティを必要とするハイエンドオーディオの世界では、左右独立したサブウーファーを用いる場合もある。
[編集] 構造
低域の再生に特化した構造であるため、かならずしもユニットからの直接音を重要としない。この3種類が主流。
- 位相反転型(バスレフ型)
- スピーカーボックスに共鳴用の穴を開けてダクトを設け、スピーカー内部とダクトで共振させて低音を増強する。ヘルムホルツの共鳴原理を利用したもので、代表的なものにアクティブサーボテクノロジーがある。
- ホーン型
- 共鳴型(バンドパス型)
サブウーファーを一般のスピーカーシステムに加えるためには、何らかのフィルターをもちいて、各スピーカーごとに役割を分担させる必要がある。 ハイエンドオーディオ向けではない家庭用の場合は、サブウーファーに専用のパワーアンプおよびローパスフィルターが組み込まれているのが一般的である。よって、従来システムに接続するだけで済むという手軽なものになっている。
ハイエンドオーディオにおいては、サブウーファーの追加後、システム全体として低域までフラットに伸びた周波数特性を実現できるように調整する。簡易には聴感でサブウーファーの再生レベルおよびメインスピーカーとのクロスオーバーを選択・調整し、違和感のない状態に追い込んでいく。厳密な調整が必要な場合は、測定用マイクロフォンとアナライザを用い、音圧周波数特性、位相特性、各スピーカーからリスナーまでの到達時間を合わせこんでいく。
[編集] 歴史
サブウーファーを音響システムに積極的に導入したのは、1974年に公開された映画「大地震」である。この映画ではMCA/ユニバーサル映画が共同開発したセンサラウンド方式と呼ばれるシステムを用い、地震の地鳴りを再現するためにサーウィンベガ社の専用ウーファーを複数台劇場に設置し、高い音圧で低周波音を再生することで効果音を観客に体感させた。ただし、この方式は劇場への導入コストがかかることと、このような極めて低い音域を生かすプログラムの内容が災害や戦争を扱う物などに限られるために制作本数が少なく、劇場における本格的なサブウーファーの導入はTHX規格制定を待たなければならなかった。
PAなどの設備音響においては、ロックミュージックの商業化により、PAシステムに対して可搬性と低域の再生レンジ拡大の相反する仕様が求められた結果、1980年代にはそれまでの帯域ごとにブロック化されたスピーカーユニットを積み上げる方式から、2~3ウェイのユニットをワンボックスに収納し、必要に応じて低域を増強する為のサブウーファーを別ボックスで組み合わせるスタイルが出現した。これにより、低域の再生限界への対応とPAシステムの可搬化、セットアップの時間短縮が可能になり、今日における標準的なシステムとなっている。
家庭用オーディオシステムへのサブウーハーの導入は、様々な理由から遅れていた。必要性を感じないことや、セットアップの難易度が普及への大きな足かせとなっていた。サブウーファーの担当する音域よりも高い百Hz近辺の音を強調するような機材や音楽がもてはやされたことによって、本来の低域再生への理解がスポイルされたという側面もある。 一方、最近になりホームシアター向けのセット販売などが増え、セットアップが比較的容易になり、認知度も増えた。それを初めとして、サブウーファーを設置すればメインのスピーカーを小型化できるためにレイアウトの自由度が広がることなどが徐々に理解・歓迎されるようになり、いわゆる2.1chのピュアオーディオシステムが認知されるようになってきた。
[編集] サブウーファー利用の方向性
サブウーファーの利用法としては、下記のように大別できる。
- 小型スピーカーの補完
- パソコン用の音響システムや携帯音楽プレーヤー用のアクティブスピーカーなどに極端な例がみられる。メインのスピーカーをデスクトップのモニタの横に置けるような超小型のものにし、スーパーウーファーを机の下に設置するなどのシステム構成がわかりやすい。これが一般的な家庭用ステレオにおける利用法であり、ミニコンポなどでセット販売あるいはオプション設定されているサブウーファーもこの類であるといえる。
ただし、ウーファーサイズ10センチ前後の本当の小型スピーカー等に対しては、かなり高い周波数までサブウーファーが担当するなど、元来からあるサブウーファーの定義から外れているともいえる。
- ホームシアター
なお、5.1チャンネルや7.1チャンネルなどのホームシアターシステム(マルチチャンネルサラウンドシステム)においては、DVDなどのソフトそのものに、サブウーファーに割り当てられる低音域が独立のトラックとして収録されている。すなわち、音域によって専用のスピーカーを用い、全体のシステムをコンパクト化しようという点においては、上記の家庭用システムと相通ずるものがあるが、2チャンネル音源の低音域をモノラルにミックスして再生するというものではなく、もともとの音源が製作者の意図によって決定されているということが、考え方として大きく異なっている。
[編集] 低音域の影響
極低音域(20Hz以下)は人間の耳には不可聴の音域ではあるが、人体に影響を与えるという報告がある。しかしながら、一般のオーディオにおいてはそれほどの影響はないと思われる。それより気をつけたいのは、低音の増強のしすぎによって隣家に音が伝わるなどの、いわゆる騒音問題である。低音域はエネルギーが大きく遮音が困難であるだけでなく、マンションやアパートなどの集合住宅においては、床や壁、構造物であるコンクリートなどを伝わって隣家へ響くことが珍しくない。隣家においては、すでに述べたように「どこから聞こえてくるかわからない」など不快な状況になることが往々にしてあることは、スーパーウーファーのユーザーにおいては特に心しておくべきでる。