サラリーキャップ
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サラリーキャップ(Salary cap)とは、プロスポーツチームが所属する全ての選手の年俸の総額を毎年一定の上限金額を設けて規定する制度である。スポーツの分野、またはリーグの違いによって詳細は様々である。 サラリーキャップの効果として、各チームの経営の健全化という事以外に、一部の金満チームが金を使い選手を集める事を防ぎ、リーグの戦力を均衡化させるということがある。 実際、サラリーキャップを導入しているNFLやNBAでは連覇が難しいと言われ、二連覇をするチームはあっても三連覇をするチームは殆ど無い。
近年はアメリカ大リーグや、日本のプロ野球などでも契約金・年俸の高騰が問題視され、これを導入しようとする動きも見られているが具体的な方針がまだ固まっていない。なおアメリカ大リーグは1994年に導入に踏み切ったものの、選手会のストライキで導入を断念している。
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[編集] アメリカンフットボール
[編集] NFL
アメリカンフットボールのNFLでは、フリーエージェント(FA制)で移籍した特定選手に対する年俸の極端な高騰を抑制し、均等な戦力で試合をすることを目的に1994年から設定された。毎年リーグ主催者の総収入をNFL参加チームの数で割った金額が各チームのサラリーキャップとなる。各チームはそのサラリーキャップの上限(制限)金額までの範囲内で契約更改を交わすこととなる(一般には最高年俸の選手から数えて51人がその対象で、契約金の上限をオーバーすると罰金やドラフト指名権が剥奪される罰則がある)。また、上限を超過してはならないこれらの形式はハードキャップと呼ばれる。
主催者総収入とは、全国放映権料(テレビ・ラジオ)、グッズなどのマーチャンダイジング、並びにホームゲームにおける有料試合(プレシーズンマッチ、公式戦)の入場料収入などを全て合算したものである。
[編集] バスケットボール
[編集] NBA
- 詳しくは「NBAサラリーキャップ」を参考のこと。
アメリカプロバスケットボールのNBAでもサラリーキャップ制度が用いられているが、いくつかの事項に限って超えることが認められている。これを前述のハードキャップに対してソフトキャップと呼ぶ。これは選手を育成しても年俸の上昇によって制限額を超過してしまい、手放さざるをえなくなるという悪循環から逃れる為である。特にNBAではチームの支配下選手が15人しか認められておらず、選手放出の悪循環を招きやすいからだと考えられる。一定期間を同じチームでプレイした選手は再契約が結びやすいように制限の超過を認めるなどの条項が存在している。最も有名な条項が「ラリー・バード例外条項」と呼ばれるもので、3年間同じチームでプレイした選手が、上限額に制限されずにMAX契約(最長6年)を結ぶことができる(ただし新人からの3年間は不可)。これは80年代に活躍したラリー・バードが最初に適用されたことに由来する。また当時所属していたボストン・セルティックスが、チームに残留させようとリーグに働きかけたという事実もある。尚、制限金額は総額でリーグ全体の収益の57%以上と定められており、毎年その総額を各チームに分配することが定められている。NBAにおけるサラリーキャップの歴史は古く、現在と方式は異なるもののNBA発足後の1946年には存在していた。現行の方式になったのは1984年である。
[編集] bjリーグ
日本では2005年より開幕したbjリーグで初めて採用された。初年度上限は約6000万円とされる。
[編集] ナショナル・バスケットボール・リーグ
オーストラリアのプロバスケットボールリーグNBLの2006-07シーズンの上限額はオーストラリアドルで776,000ドルで、2007-08シーズンには810,000ドルまで増加する。上限額はリーグの成長が見込まれたため2年連続で上昇した。