シリアルATA
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シリアルATA(SATA:Serial Advanced Technology Attachment,しりあるえーてぃーえー 若しくは しりあるあた)とは、パソコンにハードディスクや光学ドライブを接続する為のインターフェース規格。
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[編集] パラレルATAとの違い
- 信号経路のシリアル化。
- ホットスワップへの対応。
- 通信速度向上。UDMA6の133.3Mbytes/secから150Mbytes/secに。
- ケーブル長が最大45.7cmから1mに。
- 信号の伝送に使用する電圧のパラレルATAの5Vから0.5Vに低下。これにより消費電力と信号の干渉の低減、ケーブル長の延長を実現している。
- 80芯40pinコネクターのリボンケーブルが7pinのケーブルにされた。この為ハードウェア間でパラレルATA規格とシリアルATA規格に互換性はない(パラレルATAのM/BとシリアルATAのドライブ、またはその逆は接続出来ない)が、パラレルATA・シリアルATAの変換コネクターを用いれば接続は可能になる。
またソフトウェアからはパラレルATAと同等に制御出来るようエミュレートされる。
- マスター/スレイブ接続の概念の廃止。1本のケーブルに1台のデバイスを接続するようになった。その為、2003年以前に設計された従来のパラレルATAのマスター/スレイブ接続を想定しているOSでは誤動作を起こす可能性が少なからず存在するが、多くの場合、チップセット側のインターフェイスでそれを吸収している。
[編集] シリアルATA規格について
旧規格であるATAの持つ、パラレル転送方式のインターフェイスでの転送速度向上が技術的に困難になってきた為、更なる転送速度向上が可能な規格として誕生。なお、当初はUltra SATA/1500として最初の規格が発表された。
シリアルATA ワーキング・グループが2000年2月に発足。2000年11月にシリアルATA 1.0が発表された。この時に、2007年頃(シリアルATA III)までの大まかな開発予定も示された。
シリアルATA II ワーキング・グループの発足は2002年2月。後にSATA-IO(Serial ATA International Organization)へと改名。
- シリアルATA IIという表記は2005年現在、商品性能表記に於いての混乱もあって、特定の機能であるNCQや300Mbytes/secの転送速度を表す名前だという誤解がある。正しくはシリアルATA II ワーキング・グループが策定した(策定を目指す)規格全体の総称と考えるべきである。
発売当初は形状の規格が混乱した状態にあった。その為当初市場に出回った非常に「抜け易い形状」のシリアルATAケーブルやコネクタが混在する点には注意が必要である。
[編集] シリアルATA 1.0
- 150Mbytes/secの転送速度を持つ。
- Generation 1:1.5Gbit/sec 現行コネクタで対応
- Generation 2:3.0Gbit/sec 現行コネクタで対応
- Generation 3:6.0Gbit/sec 新しいコネクタで対応
[編集] シリアルATA II
Serial ATA 1.0aを基に拡張したもの。Serial ATA 1.0a策定後から2004年頃までにとりまとめられた技術的な拡張全体を指す。
- NCQ(Native Command Queuing)やマルチポート等の概念を入れる
- 15ピン電源端子にアクティブLEDやスピンアップ制御機能をオプション扱いで盛り込む
- シリアルATA IIだからといって300MByte/secという認識は間違い
- インターフェイス仕様の統一の為AHCI(Advanced Host Controller Interface)という標準インタフェース仕様が規格化された。ATAエミュレートが不要な為性能も向上する。
- 現在は Serial ATA II という表記は誤解を招く為、廃止された。Serial ATA 2.5が発表されている
[編集] シリアルATA III
2007年に制定予定。600Mbytes/secに転送速度の増大を予定。
[編集] eSATA
External Serial ATAの略称。Serial ATA 1.0aの拡張規格で外付けドライブ向けに定義されたもの。小規模ながら既に対応した製品が流通している。
- 誤接続を防ぐ為、eSATAのコネクター形状はシリアルATAのコネクター形状とは違うものになっている
- 接続ケーブルの長さは最大2m
- パソコンの電源を入れたまま、接続ケーブルを抜き差し出来るホットプラグに対応
- 現在主流のUSB2.0接続の2倍以上の速度で通信可能。
[編集] eSATAと他の接続規格との比較
eSATA | PATA | IEEE1394b | USB 2.0 | |
---|---|---|---|---|
実効速度 | 2.4 Gbit/s | 1064 Mbit/s | 786 Mbit/s | ~375 Mbit/s |
最大ケーブル長 | 2 m | 46 cm | 4.5 m
(最大長は72 m。ケーブル16本を使用し数珠繋ぎ接続をした場合) |
5 m |
外部電源 | 要 | 要 | 一定条件下において不要 | 一定条件下において不要 |
ホットプラグ | 可 | 不可 | 可 | 可 |
チャンネル毎のデバイス数 | 1
ポートマルチプライヤを使用した場合は1チャンネル(ポート)に15台の機器を接続することができる。 |
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