シーウルフ (SSN-575)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
![]() |
|
艦歴 | |
---|---|
発注: | 1952年7月21日 |
起工: | 1953年9月7日 |
進水: | 1955年7月21日 |
就役: | 1957年3月30日 |
退役: | 1987年3月30日 |
除籍: | 1987年7月10日 |
その後: | 原子力動力艦解体プログラムにより、 1996年10月1日から 1997年9月30日にかけて解体。 |
性能諸元 | |
排水量: | 水上3,260トン, 水中4,110トン |
全長: | 338 ft (103 m) |
全幅: | 28 ft (8.5 m) |
喫水: | 23 ft (7.0 m) |
速力: | 水上:最大23ノット (43 km/h) 水中:最大19ノット (35 km/h) |
乗員: | 士官、兵員101名 |
兵装: | 21インチ (533 mm)魚雷発射管6基 |
シーウルフ(USS Seawolf, SSN-575)は、アメリカ海軍の攻撃型原子力潜水艦。アメリカ海軍の同名の潜水艦(en:USS Seawolf)としては3代目。
目次 |
[編集] 概要
シーウルフはノーチラスと同じく、1952年度計画で建造された原潜。ノーチラスが軽水を減速材とする加圧水型原子炉を搭載したのに対し、液体ナトリウムを減速材とする溶融金属冷却原子炉を搭載した。この型の原子炉は、加圧水型のような高圧を必要としないので軽量化が可能であり、冷却材循環ポンプの騒音を軽減できる反面で、保守管理が困難(冷却材の凝固、管系の腐食)である。それにもかかわらず、建造が決定されたのは、当時いまだ未知数であった艦船用原子炉技術に対する不安から、異なる方式の原子炉を搭載する艦を建造しておき、ノーチラスとその軽水炉が失敗したときの保険とするためであった。
しかし、軽水炉を搭載したノーチラスが成功を収める一方で、本艦のS2G型原子炉は不調であった。1956年、繋留状態での初の全力運転中に冷却材漏出事故を起こし、1957年1月21日の就役前公試からは運転出力に制限(最大出力の80%以下)が課され、最大速力の低下を余儀なくされた。このような技術的困難や、それに伴う財政的負担が懸念されたことに加えて、ノーチラスの軽水炉の成功が評価されたため、溶融金属炉は放棄が決定された。1958年、60日間の長期間艦内環境管制実験に従事した後、1958~1960年にかけての改装で加圧水型のS2Wa型に換装された。
1968年、海底に衝突して舵を損傷した後、一線任務から一度は退く。しかし、1971年、解役されたハリバットと交代し、2隻目の特殊任務艦に指定され、電子情報収集及び分析装置、有線式遠隔観測機(通称「フィッシュ」)2基を搭載する改造を受けた(この場合の「特殊任務」とは、ソ連領海に侵入しての情報収集任務を意味する)。1981年、オホーツク海の海底ケーブル盗聴任務遂行中に、荒天のため船体と機関に損傷を被り、1983年に修理を完了するがもはや高リスク任務には堪えないものとして、特殊任務に投入されることはなかった。
[編集] 艦歴
1956年8月20日、繋留状態での全力運転中に冷却材漏出事故。1957年5月16日~8月5日、母港のコネチカット州ニューロンドンからフロリダ州キーウエストまで、長期間にわたって潜航したままの潜水艦内における環境維持の実験に参加。
1969年1月、地中海でのNATO演習に参加するため母港から出航するが、海底山脈との接触のため舵を損傷、同年3月20日まで修理のため行動不能。1970年11月9日、太平洋潜水艦隊に配属。1971年1月9日から1973年6月21日まで、カリフォルニア州メア・アイランド海軍工廠にて特殊任務のための改装を受け、9月4日、ワシントン州バンゴール基地に配属。
1981年、情報収集任務中に損傷を被る。1983年、修理を完了するが、特殊任務を解かれた。
[編集] 要目
- 計画番号:SCB64A
- 種別:攻撃型原子力潜水艦
- 1番艦就役:1957年
- 全長:102.9m
- 全幅:8.4m
- 喫水:6.7m
- 排水量(水上/水中):3741t/4287t
- 予備浮力:14.6%
- 機関:原子力ギアード・タービン方式 ―― GE S2G型溶融金属冷却型原子炉(1958~1960年の改装後はWEC S2Wa型加圧水型原子炉)×1基/蒸気タービン×2基/4翼スクリュー×2軸
- 出力:15000SHP
- 電池:ガピーI型×126個1群
- 速力(水上/水中):19kt/20kt以上
- 乗員:105名(士官12名、先任兵曹13名、下士官兵80名)
- 安全潜入深度:213m
- 発射管:533mm水圧式魚雷発射管Mk51×6門 ―― 魚雷×22
- ソナー:SQS-4、BQR-4A
- 水中射撃指揮装置:Mk101
[編集] 参考文献
- Sontag, Sherry, et.als, 1988, "Blind Man's Bluff: The Untold Story of American Submarine Espionage", Public Affairs, ISBN 1891620088. = 2000、平賀 秀明訳、『潜水艦諜報戦(上・下)』、新潮社 上巻ISBN 4102900128、下巻ISBN 4102900136
- 世界の艦船編集部編、2000、『アメリカ潜水艦史』世界の艦船567(増刊第55集)、世界の艦船
[編集] 関連事項
- ノーチラス (原子力潜水艦)
- アルファ級原子力潜水艦およびK-27 —— 本艦と同じく溶融金属冷却原子炉を搭載したソ連海軍の原潜。
- シーウルフ級原子力潜水艦 ―― 4代目シーウルフ。特殊作戦装備を追加した3番艦はジミー・カーターと命名。
以下は特殊任務艦に指定された米海軍の原潜。
[編集] 外部リンク
- USS SEAWOLF (SSN 575) —— 元乗員たちによるサイト。
- Seawolf (SSN-575) —— NavSource Online内の記事。