ジャコウネコ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
?ジャコウネコ科 | ||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
![]() |
||||||||||||
分類 | ||||||||||||
|
ジャコウネコ(麝香猫)とは、ネコ目(食肉目)ジャコウネコ科に属する哺乳類の総称である。種によって多様な形態をもつが、一般にネコに似た外見をしている。オス、メス共に、性器のそばにある「会陰腺」から独特のにおいの分泌物を出し、この分泌物は医薬品、香料として用いられている。「ジャコウネコ」という名も、これに由来する。
また、狭義には特にジャコウネコ亜科に属する動物を指す。
なお、マングースの仲間は、かつてはジャコウネコ科内の1グループとして位置づけられていたが、現在は1科として独立し、マングース科となっている。
目次 |
[編集] 生息地
ジャコウネコ科の動物は、東南アジア、ヨーロッパ南部、アフリカなど、広い範囲に生息している。
日本には、ハクビシンのみが生息する。ハクビシン(白鼻心、白鼻芯 Pagma larvata)はジャコウネコ科では唯一の日本在来種だが、移入種なのではないかとの見方も強い。
[編集] 生態
ネコ目のなかでも特に適応放散が進んだグループであり、多様性に富んだ形態・習性をもつ。小型哺乳類などを食べる肉食性の種が多いが、東南アジアに生息するパームシベット類のように果実食を主とする種も存在する。
エウプレルス亜科のコバマングース Eupleres goudotii など一部の例外を除き、ほとんどのジャコウネコはオス、メス共に性器のそばに「会陰腺」を持っており、ここから独特の芳香をもつ分泌物をだす。この分泌物を木などに擦りつけることで、縄張りの主張を行っている。また、発情期には異性を誘引する機能をもっていると考えられる。
[編集] 利用
ジャコウネコの英名 Civet(シベット)は、元来ジャコウネコの分泌物から取れる香料のことをさす。麝香(じゃこう、ジャコウジカから採取される香料)に似た香りをもち、有名な香水である「シャネルNo.5」にもブレンドされている。漢方では霊猫香(れいびょうこう)といい、気を巡らし脳を覚醒させる作用があるとされる。また、古来より制汗剤や媚薬として用いられてきた。クレオパトラが媚薬として用いたことでも知られている。
2000年、関西学院大学とジャパンエナジーは共同で、この香料の主成分であるシベトン(化学式C17H30O)の合成に成功している。
インドネシアにはジャコウネコが排泄した未消化のコーヒー豆から採られる「コピ・ルアク」というコーヒーがある。独特の香味を持つと言われ、世界で最も高価なコーヒーとして知られている。
[編集] 分類
ジャコウネコ科の主な下位分類を記す。
- フォッサ亜科 Cryptoproctinae
- フォッサ Cryptoprocta ferox
- エウプレルス亜科 Euplerinae
- コバマングース Eupleres goudotii
- マダガスカルジャコウネコ Fossa fossana
- ヘミガルス亜科 Hemigalinae
- オーストンヘミガルス Chrotogale owstoni
- キノガーレ Cynogale bennettii
- タイガーシベット Hemigalus derbyanus
- 亜科 Nandiniinae
- キノボリジャコウネコ Nandina binotata
- ヤマダ Yamada
- パームシベット亜科 Paradoxurinae
- ジャコウネコ亜科 Viverrinae
- アフリカジャコウネコ Civetticus civetta
- ジャワジャコウネコ Viverra tangalunga
- インドジャコウネコ Viverra zibetha
- アンゴラジェネット Genetta angolensis
- ヨーロッパジェネット Genetta genetta
- オオブチジェネット Genetta tigrina
- アフリカリンサン Poiana richardsoni
- オビリンサン Prionodon linsang
- ブチリンサン Prionodon pardicolor
- コジャコウネコ Viverricula indica