香水
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香水 (こうすい)とは、体や衣服に付け香りを楽しむための化粧品の一種。
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[編集] 概説
もともと宗教的な用途や薬用として使われていたが、近代以降、楽しみやたしなみ としての香水が生まれた。香料をアルコールに溶かして作られる。現在では数多くのブランドが生まれている。日本でも大きな産業として栄えてきたが、東洋人がもともと欧米に比較して体臭の少ないこともあって香水の使用は未だ欧米ほど一般的になってはいない。香水そのものの認知やマナーなどの普及も発展途上であると言える。日本の化粧品会社の製品もあるが、多くの人気商品が代理店によって海外から輸入されている。
装飾品同様、定番のブランドがある一方で、新商品、季節限定商品が市場で注目されることも多い。女優などが自分の名前を冠した商品やブランドを立ち上げることもある。
香水は付けた人間の体臭と混ざり合って香りを演出するので、液体の香りそのものからは身に付けた際の香りを知ることはできない。肌の酸性度(pHペーハー)、水分量、皮脂量が各人異なるうえ、皮膚を構成するタンパク質の末端のアミノ酸の違いで飛ばされる香料と残される香料に個人差がある。また、香りは時間がたつにつれて変化する。香水をつけて10分くらいの香りをトップ・ノート、少し時間が経って20-30分ぐらいの香りをミドル・ノート、大分時間が経って消えてしまうまでの香りをラスト・ノートという。変化のしかたや早さは、濃度や商品によってさまざまである。
揮発性を利用することから、一般的には体温の高い脈打つ場所につけるとされる。特にひじの内側につけると皮膚温が高く、動作のある為、効率よく揮発する。同じ静脈でも手首は衣服や物に触れる事が多く案外消えが早くなる。また香りの変化や持ち・目的に合わせてつける場所も変える。耳の後ろや首筋などの鼻に近い場所につけると強く、膝裏や足首などの鼻から遠い場所につけると弱く、香りを感じられるようになる。またハンカチやスカートのすそなど、衣服につける場合もある。この場合は香水によるシミができることがあるので、使用後の衣服の取扱いに注意が必要となる。
香水の調合を職業とする人を、調香師(パフューマー perfumer)と言う。フランスでは、極めて評価の高い調香師をさす「ネ」(仏 nez; 「鼻」の意)という称号がある。 石鹸、シャンプー、洗剤等の日用品や、清涼飲料水等の食品に添加する香料を調合する人はパフューマーではなくフレーヴァリスト (flavorist)と言う。
[編集] 歴史
香水を作るにはアルコールが必要であったので、香水が作られるようになったのはアラビアでアルコールの製造法が発見されてからである。それまでは油脂に香りを吸着させた香油やポマードが使用されていた。14世紀にハンガリー王室で使用された、ローズマリーを原料としたもの(ハンガリアンウォーター)が最初の香水とされる。その後、ルネサンス期のイタリアで発展し、ヨーロッパ各地に広まっていった。
[編集] 分類
[編集] 香料による分類
ひとつの香水には平均して50-200種類もの香料が含まれている。更に、ひとつの香料はまた何百の香りを構成する成分からなっている。莫大な成分が複雑に組み合わさり香りが出来上がっており、その成り立ちの面から見ると似た香りはないといえる。
基本的に天然の香料は希少性から高価であるため、科学的な調香もよく行われる。
- 天然香料
- 合成香料
- 合成香料: 自然界の香りの成分を分析し、同じ構造の化合物を原料から化学的に合成する。あるいは天然には無いものを合成する。(例: 白檀の天然香料はサンタロールという物質であるが非常に稀少であり合成も難しい。そのため、イソカンフィルシクロヘキサノール、フランスのジヴォダン (Givaudan) 社が開発したサンダロア、スイスのフィルメニッヒ (Firmenich) 社が開発したポリサントールなどの物質が用いられている)
- 単離香料: 天然の香料から成分を部分的に分離させる。(例:ハッカからメントールを造るのがこの方法)
[編集] 香調による分類
香水はその香りのタイプ(香調)によっていくつかに分類される。複数の香調を組み合わせて作られた香水も多い。
- シトラス: 主にレモンやライムの香りでオー・デ・コロンに多い。
- フローラル: バラ、ジャスミン、スズランなどの花の香り。
- アルデヒド:合成香料類の総称。フローラル系の濃厚な香りを指す。(アルデヒド)
- シプレ: ベルガモット、オークモスを基調とした香り。コティ(Coty)社の香水「シープル」に由来する。
- フゼア: ラベンダー、ゼラニウムを基調とした香り。ウビガン(Houbigant)社の香水「フゼア・ロワイヤル」に由来。
- オリエンタル: バニラ、没薬(ミルラ)や乳香(オリバナム、フランキンセンス)等の樹脂系を基調とした香り。
- アニマリック:ムスク等を基調にした香り。
- ウッディ:白檀、パチュリなど樹木を基調とした香り。男性向けに多い。
- オゾン:マリンノート・アクアノートとも言われる90年代に登場したキャローンと呼ばれる完全な合成香料により実現した自然界には実在しない全く新しいノート。海やスイカ、干している洗濯物などをイメージさせる透明感のある瑞々しい香り。主に男性向けだが、最近はユニセックスの香水にも多く使われる。
[編集] 濃度による分類
- パルファン(狭義の「香水」)
- 濃度15-20%、アルコール75-80%、蒸留水0-5%、持続時間およそ5-7時間
- オー・デ・パルファン(ブランドによりパルファン・ドゥ・トワレットとも言う)
- 濃度10-15%、アルコール80%、蒸留水5-10%、持続時間およそ5時間
- オー・デ・トワレ
- 濃度5-10%、アルコール80%、蒸留水14-15%、持続時間およそ3-4時間
- オー・デ・コロン
- 濃度2-5%、アルコール90%以上、蒸留水5%-10%、持続時間およそ1-2時間
- 練り香水
- 濃度による分類とは言いがたいが、パルファンやコロンと同様に香料の種類を示す。液体ではなく、蜜蝋などに香を混ぜた固形物であるのが大きな特徴。
商品により「オー・ドゥ・トワレット・レジェール」「オー・ドゥ・レジェール」と呼ばれる分類のものもあるが、濃度上では上記のオー・デ・コロンに相当する。 (レジェールはフランス語で「軽い」「優しい」「穏やかな」等の意)
[編集] 使用者の性別による分類
大きく男性用と女性用に別れるが、共用(ユニセックス)の商品も多い。異性向けの香水を身につけることも、現代では決してタブーとはされない。
ただ、この感覚は国によって異なる傾向がある。 例えば、現代の日本では比較的タブー意識が薄いが、アメリカ合衆国では特に男性が女性用香水をつけるとゲイと受け取られるケースがある。 その一方で、イギリスでは老舗であるヤードリーやクリード、フローリス、ペンハリゴンズなどが男性が付けるためのフローラルノートを発表している。
日本ではユニセックスのものが比較的良く売れる傾向があるが、フランスでは男性用か女性用にきっちり分けられ、共用を謳ったものはほとんど発表されていない。
また、フランスやイタリアではトップノート~ミドルノート~ラストノートと変化が明確なものが好まれるが、アメリカ合衆国では逆にほとんど変化のしないものが好まれる傾向にある。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- ビジネスシーンでの香水のつけ方 香水の付け方を漫画で紹介するサイト
- 香水取扱店一覧