ジャズ喫茶
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ジャズ喫茶(-きっさ)とは、ジャズを聴きながら楽しむ喫茶店。
[編集] 特徴
主な特徴として以下が挙げられる。
- 店内の音楽はジャズ(ボサノヴァやフュージョンを掛ける事もある)。
- 有線放送は流さず、店長・店員やオーナーが店内で所蔵するレコード・CD、他、時々客が持ち込み店に流してもらうレコード・CDを流す。
- 所蔵品で応えられる限り、客からのリクエストに応じる。
- コーヒーが事実上の看板メニュー(店によっては、この他に軽食・紅茶やコーラなどの他飲料・デザートも加わっている)。
- チャージを一切取らない時間帯(通常は日中)を設けている、もしくは全時間帯に渡りチャージ料を徴収しない。夜間にジャズ・ライブ・ハウスに変わる店が多い為。知らずに夜間に入店して本人にとっては予想外の出費を強いられる事も時々あるので注意。
近年、必ずしも当てはまらなくなってきている特徴として、
- トイレの壁が、古くからの客が長年に渡り書き込んだ悪戯書きでいっぱい。学生運動に関する内容など、時代を偲ばせるものが多い。店全体、又はトイレ部分のリフォームの際、わざわざ汚れたトイレの壁をまた貼ってもらう様、業者に頼むケースも珍しくない。
- 清潔感をあまり意識せず、わびさびを感じさせたり、店内照明を暗めにしている。
- 店内での会話全面禁止、もしくは会話許可席を設けている。
- 比較的、深夜まで営業。
- 生演奏できるスペースが確保されている。
- クーラーなどの冷房機が完備していない(暖房機については、入れてある)。
ジャズといえば、以前は中年~年配男性が多かったが、最近は中学生・高校生などの若者や女性の間にもジャズを聴く人が増えてきた。
そのためか、見栄えに気を払い清潔感を持たせたレストラン風のジャズ喫茶(ジャズの生演奏の聴ける)も登場し、それなりに人気を得ている。
世相の影響を受け、禁煙の店が増えている。人気は再び上がってきてはいるが、往時の勢いと比べれば下火である状況に違いは無い。
[編集] 概容
1950年代は輸入盤のジャズのLPは高価であったが、コーヒー一杯で本場のジャズのレコードを聴くことができ、リクエストも受け付けてくれるジャズ喫茶はアマチュアミュージシャンの溜まり場ともなった。現在プロとして活躍する日本人ジャズマンの中にも「開店から閉店までコーヒー一杯でねばった」という人がいる。後年になると追加オーダー制度を取り入れた店も登場した。
家庭ではなかなか揃えることのできない高価なオーディオシステムを装備しているのが通常であり、音質の良さもジャズ喫茶の売りの1つである。 ジャズ喫茶そのものは衰退し完全に前世紀の遺物となっているが、ジャズ喫茶を経営する「名物オヤジ」の中には独自の口調でジャズ評論家として活躍している者もいる。
近年の特徴として、アマチュアのジャズ演奏者のために定期的にジャムセッションを開くジャズ喫茶が増えている。
ジャズを聴きながら酒を呑むジャズバー等もある。
現在のジャズ喫茶は、1950年代後半から1970年頃に流行した都会のジャズ喫茶とは基本的に別物である。当時はジャズ以外にもカントリー&ウェスタン、ロカビリー、グループ・サウンズ、ロックなど、幅広いジャンルの生バンドを聴ける場所であった。