ソニックブーム
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ソニックブーム (Sonic Boom) とは、飛行機が音速を越えて飛行する際に、機首および翼後縁付近で発生した衝撃波のエネルギーが地上に伝播し、不連続な音波として観測される現象のことを指す。その大きなエネルギーを持つ音波は、しばしば地上に窓ガラスが割れるなどの被害を与える場合がある。
また、鞭を素早く振るったときに起きる破裂音を(音速以下であっても)ソニックブームと呼ぶ。
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[編集] 概要
ソニックブームは、超音速で飛行する物体が上空を通過した際に、何かが爆発したような2つの不連続な音として観測される。スペースシャトルが大気圏に再突入して上空を通過する際にしばしばソニックブームの音が聞かれた。2つの音のうち、最初の音は飛行体前方で発生した衝撃波によるもので、2つ目の音は物体後方に生じた衝撃波によるものと考えられている。このソニックブームを波形にすると、丁度アルファベットの N 字型になるため、N-Wave と呼ばれる。
かつては、高高度を飛行すればソニックブームは問題にならないとされていたが、ノースアメリカン XB-70 が高度約 21,000m で飛行しても、地上で強力なソニックブームが観測されたため、高度を取れば良いというほど単純な問題ではないことが判明した。現代において技術的には十分可能な超音速旅客機や超音速輸送機の普及が難しい原因として、このソニックブームの問題が大きい。
[編集] ソニックブームの低減
[編集] 研究
2004年現在、ソニックブーム低減のための研究 Shaped Sonic Boom Demonstration(SSBD)が、DARPA の予算の下で NASA ドライデン飛行研究センターにて実施されている。使用している機体はノースロップ F-5 で、機首の形状を整形することによりソニックブームの低減を試みている。
[編集] 低減方法
ソニックブームの低減方法は、以下のようなものがある。
- エンジンを、なるべく機体の後部に設置する(エンジンの騒音を機体で受け、地上での騒音を減らすため)。
- 空気抵抗をよくする(ソニックブームのもととなる空気の抵抗を減らすため)。