ガイル (ストリートファイター)
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ガイル プロフィール
ガイル (Guile) はカプコンが開発、販売している対戦型格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズに登場する架空の軍人。アメリカ向けのメディアでは主役級の扱いを受ける。
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[編集] キャラクターの設定
初出の『ストリートファイターII』では、アメリカ空軍少佐(F-16パイロット。ただしストリートファイターII MOVIEではF-16ではなくF-15パイロット)。ベガに殺された親友ナッシュの仇をとるために家族を捨て一人で復讐のために闘う軍人。常に冷静沈着であり、闘いは非情なものであるとの信念を持っている。言動に渋みを感じさせるものが多いハードボイルドなキャラクターとして描かれている。
箒を逆さにしたような個性的な髪型と、左肩に施された星条旗のタトゥーがトレードマーク。特に髪型には並々ならぬこだわりを持っており、櫛を常備して闘いが終わる度に髪を整える姿が見られる。首からはドッグタグを、自分のものとナッシュものを一緒にして提げている。
家族は妻・ユリア、娘・クリス。飼い犬にサブ。ユリアの妹イライザはケンの恋人(のちに妻)であるため、ガイルはケンの義理の兄になることになる。またクリスと、ダルシムの息子・ダッタは文通相手である。一度は家族を捨てた身だがその後もユリアはガイルを愛しており、彼女の説得を受けよりを戻す。各作品のエンディング等で見られるように、良き父親として過ごしている。SVCのEDでは、家族の事を第一に考えていたいとの趣旨を語っている。
『ストリートファイターZERO3』には、家庭用移植版及び『ZERO3↑』(アッパー)の追加キャラクターとして登場する(プレイステーション版のみ隠しキャラクター)。本作ではアメリカ海軍中尉で、軍の命令を無視して単身シャドルーの捜査をしているナッシュを止めるよう、軍上層部から要請を受ける。
ナッシュとの友情についてはゲーム内ではあまり語られていないが、アメリカンコミックの設定では捕虜となっていたガイルをナッシュが助けたのが二人の出会いとされている。ガイルの必殺技もナッシュから伝授されたものとされている。
以前は「静かなる復讐者」の異名を持っていたものの、近年は復讐が虚しい行為である事を悟っている。
[編集] キャラクターの原型
ガイルの髪型は『ジョジョの奇妙な冒険』の第3部スターダストクルセイダースのメインキャラクターの一人「ジャン=ピエール・ポルナレフ」をモデルにしているとされているが、当時の開発スタッフがポルナレフと、同じく『ジョジョ』に登場する悪役の「J・ガイル」とを混同していた為に「ガイル」という名前が付いたという経緯がある。
また、第2部戦闘潮流に登場する「ルドル・フォン・シュトロハイム」のものがより近いといえる。シュトロハイムとガイルには軍人と言う共通点もある。
[編集] キャラクターの特徴
隙の少ない飛び道具「ソニックブーム」を撃ってそれに対する相手の対応を各種通常技で潰していく。下溜めが完了していれば対空は出始めに無敵のある「サマーソルトキック」で万全という防御面に優れた対応型のキャラクター。二つの必殺技がタメコマンドであった事もこの戦い方とうまく合致し、待ちガイルという言葉も生まれた。
一部の飛び道具を持たないキャラクターには近寄られたら中足払いや大ソニックで追い払って、飛んだらサマーソルトもしくは立ち大キックという単純な待ちが有効。熟練したプレイヤーが用いると無類の強さを誇ったこともあり、登場を重ねるにつれて徐々に弱体化が進んだ。
とはいえ、その戦闘スタイルに変化が無い様に、この二大必殺技を軸に、十分に他のキャラと渡り合える実力を保っているのも事実である。
MAXレベルのCPUの反則的な動きは誰もが一度は不満を覚える。CPUはソニックブームを撃った直後に飛び込んで来る相手をサマーソルトで蹴り返すという鉄壁のガードを誇るが、実際に人間がプレイする際はこのような動きはできないようになっている。
ザンギエフに対して相性が良い。
ストリートファイターIIは、最初から北米でのマーケットも国内同様に重視されており、アメリカでの主人公キャラという位置づけで作られたキャラなので、クセがなく使いやすい操作系に設定されている。ストーリーに関して言えば、ラスボスのベガと直接関係のないリュウやケンと違い、春麗とともに明らかにストーリー上の中心的キャラになっている。
[編集] 技の解説
[編集] 必殺技
- ソニックブーム(キャラが右向き時、←ため→Pボタン)
- 超音速航空機のソニックブームに由来する。両腕を超高速で胸の前に交差させることで横回転する衝撃波を発生させ、相手に向かって発射する飛び道具タイプの必殺技。打った後の隙が波動拳などに比べて非常に小さいのが特徴で、弾速の遅い弱ソニックブームを撃ちそれを追いかけ、盾のようにして相手を攻め立てる戦法がシリーズを通じて有効。
- サマーソルトキック(↓ため↑Kボタン)
- 直訳すると「とんぼ返り蹴り」で、その名の通り後方宙返りをしながら蹴りを放つ。蹴りと共に三日月状の衝撃波が発生し、攻撃範囲が広く対空迎撃技として高い性能を誇る。『MARVEL VS. CAPCOM 2』では、この衝撃波が斜め上空へと飛んでいくようになっている。また、同作では空中で出すこともでき、その場合はレバーの溜め入力が必要ない。なお、春麗の垂直ジャンプ強キックが同じく宙返りしながらの蹴りであり、名前が「夏塩蹴」となっているが、「サマーソルト」は "somersault" であり "summer salt" ではないので注意。
[編集] スーパーコンボ
必殺技はいずれの作品でも先述した2つのみだが、スーパーコンボは各種バリエーションがある。
- ダブルサマーソルトキック
- 『スーパーストリートファイターIIX』から登場した技である。2連続のサマーソルトキック。
- サマーソルトストライク
- 『ZERO3』登場した技。『スーパーストリートファイターIIX』の「ダブルサマーソルトキック」から「サマーソルトストライク」に変更され、LV3で出すと3連続になる。『MARVEL VS. CAPCOM 2』でもそのLV3版と同様だが、やはり衝撃波が斜め上空へと飛んでいく。
- オープニングギャンビット
- 『ストリートファイターEX』シリーズに登場。パンチを連発しながら前進し、(側転のようなモーションの)サマーソルトキックでフィニッシュする。
- ソニックブームタイフーン
- 『ストリートファイターEX』シリーズに登場(『EX2』から)。ソニックブームの強化版。『EX2PLUS』以降はメテオコンボに変更された。
- ソニックハリケーン
- 『ZERO3』から追加。巨大なソニックブームを目の前に発生させる。『MARVEL VS. CAPCOM 2』ではより巨大なものになり、『CAPCOM VS. SNK 2』以降もこのバージョンが採用されている。
- クロスファイアーアサルト
- 『MARVEL VS. CAPCOM 2』のみでのハイパーコンボで、空中から突進する乱舞技。
- トータルワイプアウト
- 『CAPCOM VS. SNK』シリーズから追加。ナッシュのクロスファイアブリッツに似た、前進しながらの連続打撃技。『頂上決戦 最強ファイターズ』でもナッシュのものと同名で用意されていた。
- サマーソルトスラッシュ
- 『SVC CHAOS』でのみの超必殺技。サマーソルトキックを繰り返しながら垂直上昇し、頂点に達した所で浴びせ蹴りを振り下ろす。
[編集] 他のメディアのガイル
[編集] 映画
- 1994年のハリウッド実写映画『ストリートファイター』では、国連軍のウィリアム・ガイル大佐(ジャン=クロード・ヴァン・ダム、日本語吹き替えは田中秀幸など)として主役に配された。
- 1994年のアニメ映画『ストリートファイターII MOVIE』では春麗とともにシャドルーの調査をし、リュウ、エドモンド本田とともに最終決戦にも参加する。
[編集] テレビアニメ
- 1995年のテレビアニメ『ストリートファイターII V』(声:玄田哲章)では、井の中の蛙であったリュウを圧倒的な強さであしらい、世界の広さを知らしめる役目を負った。物語の後半では誘拐されたケンの救出を彼の父親に依頼されスペインへ向かう。本作での階級は軍曹で、年齢は21歳。
[編集] 漫画
- 中平正彦の漫画『スーパーストリートファイターII キャミィ外伝』では、イギリス軍特殊部隊所属のキャミィと対シャドルーの共同作戦を展開する。何故か原作よりもオープンな性格になっている。
- ウドン (en:UDON) によるアメリカンコミック『Street Fighter』では、前述の通りナッシュとの関連が詳細になっているほか、ナッシュの仇を追う目的と家族の存在との板挟みになって悩む人間らしいガイルが描かれている。
[編集] 以後の作品への影響
リュウなどと同じく、ガイルの明快なスタイルは以後の作品でも模倣された事があった。また同じストリートファイターシリーズにおいても、ガイルの代替となるキャラクターが登場している場合がある。
- ストリートファイターZERO
- IIよりも以前という時代設定もあり、ガイルの代替としてII時点では設定上の存在であったナッシュが登場した。
- ストリートファイターIII
- 第3作「3rd STRIKE」に登場するレミーの技は、ガイルのものと類似している。これは「IIIにもガイルを出して欲しい」というユーザーの声があったものの、素直にガイルを出したくなかった開発者がこうした代替キャラを登場させたと言われている。
- 餓狼伝説
- キム・カッファンが、サマーソルトキックに酷似した「飛燕斬」を使う。コマンドもガイルのものと同様である。
- ザ・キング・オブ・ファイターズ
- 主人公チームの一人、二階堂紅丸はガイル同様に『ジョジョの奇妙な冒険』のポルナレフをモデルとするキャラクターで、ガイルよりもずっとポルナレフに近い。さらに彼の技「スーパー稲妻キック」はサマーソルトキックに似たものである。
- 加えてメンバーが全員軍人(傭兵)である「怒チーム」があり、初期作では全員がタメコマンドの必殺技を持っていた。その中でもハイデルンは飛び道具の「クロスカッター」、対空技の「ムーンスラッシャー」を持ち、ガイルとかなり近いスタイルとなっていた。
- また、ロバート・ガルシアも一部作(99、2000、XI(PS2))において技がガイルに類似した形になっていることがある。
- 最近の例では、「アッシュ編」の主人公、アッシュ・クリムゾンがこれに当てはまる。ただし、動作などはむしろナッシュやレミーの方に近いともいえる。
- ブレイカーズ
- 主人公のライバルとして登場する李 刀龍(リー・タオロン)が、必殺技はタメコマンドの飛び道具と対空技のみというガイルに近いスタイルになっている。
- 月華の剣士
- この作品では新撰組の隊士という設定のキャラクター・鷲塚慶一郎がそれにあたる。タメコマンドの飛び道具と対空技を備え、加えて同じくタメコマンドの突進技も持つ。
- 堕落天使
- この作品の主人公・クールも、必殺技がタメコマンドの飛び道具と対空技のみ。またその対空技の名前も「サマーソルトキック」(動作は違っている)となっており、超必殺技でも「トリプルサマーソルトキック」というガイルを意識したと思しきものがある。
[編集] その他
- 「ガイル」という名前に引っかけた洒落が、1991年の登場時から2007年現在まで幾度となく創作されている。ほとんどは「~が居る」と引っかけた単純なもの。
- 『ザ・キング・オブ・ファイターズ'94』のボスキャラクター・ルガールの対戦前デモで、ルガールがそれまで倒してきた格闘家を銅像にしたものが出てくるが、その中にはソニックブームを撃つガイルらしき像も含まれていた。それを受けてか、『CAPCOM VS. SNK』ではガイルとルガールの対戦前のデモで、ルガールの目前に前述したようなガイルの像が現れ、ガイルがそれをソニックブームで破壊し、続いてその残骸をルガールが烈風拳で粉砕するという演出がある。
- コナミの音楽ゲームpop'n musicのキャラクターであるキングのプロフィールで「嫌いなもの」が「日本でマリィ(同作のキャラクター)に食べさせられた納豆」となっている。また、SNKの対戦格闘ゲーム『龍虎の拳』のキャラクター、ロバート・ガルシアの「嫌いなもの」は「昔リョウに死ぬほど食べさせられたラッキョウ」であり、いずれもガイルへのオマージュと思われる。
- 『ストリートファイターEX』のオリジナルキャラクターのドクトリン・ダークは、「自分を鍛えてくれなかった」との理由でガイルを逆恨みしている。つまり、ガイル自身も復讐の対象になっているという事になる。
[編集] 登場作品
- ストリートファイターIIシリーズ
- ストリートファイターZERO3(家庭用移植版のみ)
- ストリートファイターZERO3↑(アッパー)、↑↑(ダブルアッパー)
- ストリートファイターEXシリーズ
- カプコン バーサス エス・エヌ・ケイ ミレニアムファイト 2000
- CAPCOM VS. SNK 2 MILLIONAIRE FIGHTING 2001
- MARVEL VS. CAPCOM 2 NEW AGE OF HEROES
- SNK VS. CAPCOM SVC CHAOS
- CAPCOM FIGHTING Jam