タニマチ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
タニマチ(谷町)とは相撲界の隠語で、ひいきにしてくれる客、または後援してくれる人、無償スポンサーのこと。現在では相撲界以外に野球界、プロレス界などの他のスポーツ、また演歌界を中心に芸能界でも幅広く使われる。
[編集] 歴史
江戸時代、あるいは明治の初期に大阪の谷町(たにまち)で開業していた医者が大の相撲好きで、力士が診察に訪れた際に治療費を受け取らなかったことから来ている、という話が有名である。この医師も話によって歯医者であったり骨継ぎ師であったりして、あまりはっきりしない。平成になってこの医師の子孫と称する人が名乗り出たこともあったが、「祖父からそう聞いている」といった又聞きの根拠でもあったため、熱心な好角家の間で話題になるにとどまった。
先に「タニマチ」の語があって、あとからこうした美談が創作されたと見るむきもある。
他にやはり谷町の大手の呉服問屋の主が相撲好きで、何かと力士を支援したからという話もある。
かつて春場所において相撲部屋が多く谷町界隈に宿舎を構えたのは事実である。ただ、土俵が減ったこともあり、現在では貴乃花部屋が京都府、田子ノ浦部屋が和歌山県に宿舎を置くなど、分散が進んでいる。
実在のはっきりしている「タニマチ」として愛知県一宮市の森家がある。江戸時代から力士によくつかわれた膏薬「浅井万金膏」の販売元であり、昭和の半ば頃まで大相撲の力士の怪我の治療には何かと便宜をはかった。相撲協会でも、一時期国技館の升席を森家とその縁者のために無料開放して、この恩に報いていた。
[編集] 概要
主に贔屓にしている力士やスポーツ選手、歌手などの芸能人に多額の小遣いを渡す、即ち後援する人間のこと。特に近年では「個人後援会」などの組織が多く普及している。
相撲界の他には演歌界、プロレス界で広くタニマチが存在している。無償でスポンサーになり、贔屓の人間を可愛がるものであるが、近年では貴乃花部屋がタニマチ制を排除するなど、時代遅れと見る向きも一部に存在している。