チカーノ
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チカーノ(Chicano)は狭義にはメキシコ系アメリカ人の2世以降を指すとすることもあるが、1世も含めることが多い。また実際にはメキシコを出自としながらメキシコにそのアイデンティティーを求めず、スパニッシュアメリカンと自称するメキシコ系アメリカ人も存在する。概ねカリフォルニア州等メキシコとの国境にある州に住んでいる。南カリフォルニアで自動車産業に従事し、ローライダーと呼ばれる独特の生活様式を営んだ。
[編集] 語の由来
この語の起源の説明としては、まず、18世紀に現アメリカ合衆国領の西海岸に現メキシコ領チワワ州からやってきた商人達を「チワワのメヒカーノ」としていたのを略してチカーノという語が出来たという説がある。
あるいは、19世紀後半にアメリカ合衆国が現在のサウスウエスト諸州を領土とするにしたがってこの地域に移住してきたアングロサクソン系の人々が、自分に比べて体格の劣るメキシコ人達を小さな足と言う意味の「パタ・チカ」と呼んでいたのが転訛したという説もある。
他の説としてチカーノという言葉はメキシカン(スペイン語ではメヒカーノ)を略したともされるがはっきりした語源は定かではない。この説によると、チカーノは20世紀はじめにメキシコ系労働者たちを指してその雇い主が使った軽蔑語として始まり、その後メキシコ本土にも低所得者を指す言葉として広まった。
以上のように語の起源についてははっきりしないが、1960~70年代にメキシコ系アメリカ人が起こした文学的及び政治的運動においてチカーノは民族の誇りを示す言葉となった。というのも彼らはこのころに一民族としてのアイデンティティーを持ち始めたからである。
[編集] チカーノ文化
ヒスパニックの項でも触れられているように人種的な多様性を持っているチカーノ達だが、生活様式においてもそれほど一貫性はない。黒人よりも勤勉だといわれる彼らだが、低所得層に関しては概ね黒人達と交流を持ち、同様の文化を持つ。例えば、カリフォルニア州南部のロスアンジェルス・サンフランシスコなどではギャングスタとなるものが多く、あるチカーノギャングはクリップスやブラッズと並ぶ第三のギャング勢力となっている。チカーノ・ギャングスタの特徴としては、頭を丸め、口髭を伸ばし、サングラスをかけているものが異常に多い。近年日本でも、このチカーノスタイルの若者が増加傾向にあり、CDショップではチカーノラップのコーナーを設けたり、大手のコンビニではローライダーの専門誌を販売しはじめている。