テストステロン
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テストステロン(Testosterone)は、 男性ホルモンの一種。筋肉増大、蛋白同化作用の促進、体毛の増加などの作用をもつ。睾丸と副腎から分泌される。
胎生期、妊娠6週目から24週目にかけて精巣から大量のテストステロンが分泌される時期があり、これに曝されること(アンドロゲン・シャワーと呼ばれる)によって、脳は女性的特徴を失い、男性化する。なお、男性外生殖器の形成に関係するのは、ジヒドロテストステロン(en:Dihydrotestosterone)という、別の男性ホルモンによるものと言われている。
思春期以降の男性では睾丸からの分泌が顕著に増加し、男性的な身体の特徴が形作られる。一般に30歳ごろから減少しはじめ、年1~2%の割合で減少する。テストステロンの減少は男性更年期と呼ばれるが、女性の更年期ほどには急激にホルモン分泌は変化せず、身体や精神に与える影響も個人差が大きい。テストステロンの減少率は個人差が大きく、70代になっても、30代の平均値に匹敵するテストステロン値を維持している男性も多い。
女性の男性ホルモン分泌は副腎からのみで、分泌量は男性の20分の1と言われており、陰毛の発毛に関与する。テストステロンを筋肉増強剤として投与すると、副作用で声が低くなり、毛深くなり、頭髪が抜ける。
また、テストステロンは前立腺疾患に関与しており、前立腺癌や前立腺肥大を抑えるために、抗アンドロゲン剤の投与や睾丸摘出を行うことがある。