テトラメチルエチレンジアミン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
テトラメチルエチレンジアミン | |
---|---|
![]() |
|
IUPAC名 | 1,2-ビス(ジメチルアミノ)エタン |
別名 | TMEDA TEMED TMED TMEN |
分子式 | C6H16N2 |
分子量 | 116.24 g/mol |
CAS登録番号 | [110-18-9] |
形状 | 無色液体 |
密度と相 | 0.78 g/cm3, 液体 |
融点 | −55 °C |
沸点 | 120–122 °C |
SMILES | CN(C)CCN(C)C |
テトラメチルエチレンジアミン (tetramethylethylenediamine) は有機化合物の一種で、示性式 (CH3)2NCH2CH2N(CH3)2 と表されるアミンである。エチレンジアミンの N-メチル化により合成される。不快な魚臭を持つ無色の液体。TMEDA, TEMED, TMED, TMEN などの略称で呼ばれる。pKb(塩基解離定数)は 5.85。
[編集] 有機/無機合成における用途
テトラメチルエチレンジアミンは金属イオンへのキレート配位子(二座配位子)として用いられる。さまざまな金属塩と安定な錯体を作り、有機溶媒へ可溶化させる。
有機金属化学では、リチウムイオンへの親和性がよく知られる。n-ブチルリチウム (n-BuLi) が作る6量体クラスターに作用し、活性化させる。この n-BuLi/TMEDA 錯体はベンゼン、フラン、チオフェン、N-アルキルピロール、フェロセンなどのプロトンを、場合によっては 2個引き抜くほどの強い塩基性を示す[1]。さまざまな有機金属のアート錯体が、[Li(TMEDA)2]+ を対カチオンとする形で単離されている[2]。それらの錯体では、[Li(TMEDA)2]+ イオンは4級アンモニウムイオンのようなはたらきをしているが、塩基に対する耐性はずっと高い。
[編集] 他の用途
テトラメチルエチレンジアミン(0.1~0.2% v/v)は過硫酸アンモニウムとともに、アクリルアミドをポリアクリルアミドゲルとする重合・ゲル化反応の開始剤として用いられる。ポリアクリルアミドゲルは電気泳動 (PAGE) やウェスタンブロッティングで担体とされる。
[編集] 参考文献
- ^ Haynes, R. K.; Vonwiller, S. C. "N,N,N',N'-Tetramethylethylenediamine" in Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis (Ed: L. Paquette) 2004, J. Wiley & Sons, New York.
- ^ 例:Morse, P. M.; Girolami, G. S. J. Am. Chem. Soc. 1989, 111, 4114-4115.
カテゴリ: 化学関連のスタブ項目 | アミン