デイヴィッド・ベノワ
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デイヴィッド・ベノワ(David Benoit、1953年5月9日 - )は、アメリカカリフォルニア州出身のジャズ・フュージョン界で活躍するピアニストの一人。L.A.(西海岸)スタイル・フュージョンを代表するピアニストでもある。またコンポーザーにしてプロデューサー。グラミー賞ノミネート歴5回。ビル・エヴァンスとデイヴ・グルーシンの魅力を兼ね揃えたアーティストであり、リリカルで透明感があるロマンティックな音色かつ特にライブで発揮されるファンキーでパワフルなリズムはファンを魅了させ続けている。
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[編集] バイオグラフィ
15才の時にジャズ・ピアニスト、ラムゼイ・ルイスの"The In Crowd"に感銘を覚え、音楽家への道を目指した。18歳の誕生日に、ポリネシアン・ルームという店でピアノ弾き仕事をもらったのがキャリアの始めだと彼はいう。1年後にはハリウッドに移り、雇われのミュージシャンになり結婚式や譜面書きなど様々な仕事をこなしていった。この時にサックス奏者ダグ・リチャードソンの推挙でAVIレコードとの契約に至る。そして1977年に"Heavier Than Yesterday"でデビュー。以降アルバムを定期的に発表。中でも1985年発表の”This Side Up"はビルボード誌のコンテンポラリー・ジャズ・チャートで首位を取る(収録曲の"Linus And Lucy"、"Beach Trails"はニッポン放送「斉藤由貴・ネコの手も借りたい」のそれぞれOP・EDに使用され、局には曲名問い合わせが殺到したという)。同年には日本のキング・レコードのエレクトリックバードの企画でAVI期のセルフ・カバーアルバム"Summer"を発表している。
1987年にGRPレコードに移籍、"Freedom At Midnight"を発表し、タイトル曲が大ヒットとなる。因みに彼は日本人の妻を持ち、このアルバムに彼女に捧げた曲"Kei's Song"を収録している。
1989年には、個人名ではないが、スヌーピーやチャーリー・ブラウンでおなじみの人気漫画「ピーナッツ」の生誕40周年記念アルバムに寄せたコンピレーション・アルバム"Happy Anniversary, Charlie Brown!"に参加し、"Linus And Lucy"が大ヒットした。50周年目にあたる2000年と同年2月12日に死去した作者チャールズ・シュルツに対する追悼の意も込められた記念アルバム、"Here's To You, Charlie Brown: 50 Great Years"を発表し、このアルバムにはコーラス・グループテイク6やギタリストのマーク・アントワン、トランペッターのクリス・ボッティ等が参加してる。
ジャズ・ピアニストビル・エヴァンスを敬愛しており、エヴァンスに捧げたアルバム"Letter To Evan"(1992)も発表している。
フィル・ストリングスを取り入れた楽曲も多く、ロンドン交響楽団の参加による"American Landscape"(1997)や、"Orchestral Stories"(2005)ではシンフォニーが大々的にフィーチャーされている。ベノワ自身もシンフォニー・アルバムを出すのは夢だったと言う。 ザ・リッピントンズのリーダーであり、ギタリストのラス・フリーマンとも親交は深く、お互いのアルバムで共演していることも多く、二人の合作"The Benoit/Freeman Project" (邦題:ミラージュ, 1994)、"The Benoit/Freeman Project2" (邦題:ストラッティン, 2004)もリリースしている。この2作目の合作のアルバムよりフリーマンのレーベルピーク・レコードに移籍する。このレーベルでの1枚目のソロアルバムは先に述べた"Orchestral Stories"であり、クラシック音楽をリスペクトしている事も窺える。このアルバムには阪神大震災の復興イベントに提供した組曲Kobe(神戸)を収録している。
2006年6月に発売の"Full Circle"は活動30年周年を迎えたアルバムとなる。「30年の間にストレート・アヘッド・ジャズ、ジャズ・フュージョン、交響楽、R&Bと手を広げてきた。このアルバムは自分のルーツであるコンテンポラリー・ジャズに回帰したものだ」とベノワがこのアルバムのノーツで言っている(編訳)。30年を節目と捉え、また新たなステップへ進もうとしている意欲が見られ、旧知のジェフリー・ウェーバーに加えポール・ブラウン、ジェフ・ローバーをプロデューサーに迎えている事からもそう窺えよう。2006年5月に来日公演した時に「日本の漫画が好きだ」と語っており、このアルバム収録の"Yusuke the Ghost"は幽遊白書の主人公浦飯幽助をモチーフにしたものであることからもその関心の深さを知ることが出来る。
[編集] ディスコグラフィ
[編集] アルバム
タイトル | 発売年 | 注釈 | |
---|---|---|---|
"Heavier Than Yesterday" | 1977 | AVI | |
"Can You Imagine" | 1980 | AVI | |
"Stages" | 1982 | AVI | |
"Digits" | 1983 | AVI | |
"Christmastime" | 1983 | AVI | |
"This Side Up" | 1985 | AVI | |
"Summer" | 1985 | King(国内盤のみ) | |
"Freedom At Midnight" | 1987 | GRP | |
"Every Step Of The Way" | 1988 | GRP | |
"Urban Daydreams" | 1989 | GRP | |
"Waiting For Spring" | 1989 | GRP | |
"Inner Motion" | 1990 | GRP | |
"Shadows" | 1991 | GRP | |
"Letter To Evan" | 1992 | GRP | |
"The Benoit/Freeman Project" with Russ Freeman | 1994 | GRP | |
"Shaken Not Stirred" | 1994 | GRP | |
"The Best of David Benoit: 1987 - 1995" | 1995 | GRP | |
"Remembering Christmas" | 1996 | GRP | |
"American Landscape | 1997 | GRP | |
"Professional Dreamer" | 1999 | GRP | |
"Here's To You, Charlie Brown: 50 Great Years" | 2000 | GRP | |
"Fuzzy Logic" | 2002 | GRP | |
"Right Here, Right Now" | 2003 | GRP | |
"Benoit/Freeman Project 2" with Russ Freeman | 2004 | Peak | |
"Orchestral Stories" | 2005 | Peak | |
"Full Circle" | 2006 | Peak |
(※レーベル・発表年はオリジナル版発表時)