ビルボード
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ビルボード
ビルボード(Billboard)は米国の週刊音楽業界誌である。CD売り上げ、ラジオのオンエア回数などを集計したチャート「トップ100」などポピュラー音楽のヒットチャートで知られ、そのチャートはポピュラー音楽産業に大きな影響を与えている。
日本では、音楽評論家、湯川れい子の紹介などで知られるようになった。
オランダの複合企業、VNU傘下。
2006年現在では、「ラジオ&レコーズ」(1973年創刊)と共に米国の2大ランキングチャートとして知られる。かつては、「キャッシュボックス」(1942年創刊・1996年廃刊)、「レコード・ワールド」(1964年創刊・1982年廃刊)を含めて4大ランキングチャートであった。
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[編集] 歴史
1894年11月1日に『ビルボード・アドバタイジング』(Billboard Advertising)という誌名で創刊。1897年に『ビルボード』に改称。創刊当初は、サーカスや移動遊園地などを取り上げていたが、次第に音楽を取り扱う記事数が増え、1950年代からサーカスや移動遊園地を別の雑誌で扱うことにし、音楽に一本化した。誌名はその頃の名残であり、巡業の日付を貼り付ける掲示板から付けられたものである。
1936年1月4日、ビルボードは初めて全米のジュークボックスで流れたヒット曲の一覧を発表し、1940年6月20日に初めて独自の統計から割り出した、ヒット曲のチャートを掲載した。1958年8月4日以後、シングルの販売とラジオ局でのリクエストなどを元にホット100(Hot 100)という100曲の最も流行している音楽チャートを掲載している。また2005年2月12日からホット100とは別にシングルの販売、パソコンへのダウンロード、アメリカのトップ40ラジオ局のリクエストなどを元にしたポップ100(Pop 100)というチャートも掲載されるようになった。
1970年ごろからアメリカントップ40というビルボード誌提供の音楽番組が毎週全米で放送され、40位から順にヒット曲を流している。もっとも長くDJを勤めたのは、1970年から1988年8月と中断をはさんで1998年から2004年までこの番組にかかわったケイシー・ケイサム(Casey Kasem)である。1988年8月から1994年2月まではシャドー・スティーヴンズ(Shadoe Stevens)が、2004年からケイサムに代わってはライアン・シークレスト(Ryan Seacrest)が勤めている。
カーペンターズのカレン・カーペンターを拒食症にする原因を作ったことでも知られている(メディアの功罪の一つであり如何ともし難い)。
[編集] 現在のビルボード誌
ビルボードは音楽だけでなく、DVDやビデオ、さらにはインターネット配信まで幅広く取材し、ニュースやオピニオン記事を掲載している。内容は専門的な記事が多く、レコード会社の社員やクラブDJを対象にしたものであり、一般の音楽誌にあるような話題には乏しい。一部の書店で取り扱っているが、一般の書店で見ることはめったに無い。日本の「コンフィデンス」誌が同種。
[編集] チャート
ビルボードのチャートといえば、それぞれ最新の100曲と200曲を取り扱う、ホット100(主にシングル)とビルボード200(主にアルバム)が広く知られているが、ジャンルごとのチャートも取り扱っている。カントリーミュージック、ブルーグラス、ジャズ、クラシック、R&B、ヒップホップ、電子音楽、ラテン音楽、宗教音楽、さらに着メロまでチャートとして掲載されている。チャートの長さは一定ではなく、トップ10からトップ75まで様々である。
ニールセンサウンドスキャンやブロードキャストデータシステム(BDS)、それに各ラジオ局の放送リスト、さらに店舗からの売り上げ記録などを総合して、順位を決定している。各チャートごとに選任の担当者がおり、最終的な判断は全て担当者が下している。過去にはマドンナのシングル、『Into the Groove』が12インチシングルCDであったため、ホット100の担当者がチャートへの掲載を見送り、R&Bのチャートにのみ掲載されたことがあった。
年間チャート「Year in Music(イヤー・イン・ミュージック)」は、集計対象年の前年12月第1週から対象年の11月最終週までを集計したものとされているが、週間チャートと比較して異常なまでに年間チャートの順位が高く(あるいは低く)ランクインされている楽曲も存在する。しかし、ビルボードが年間チャートの集計方法を一切公表していない為原因は不明である。
[編集] 集計方法
現在、ビルボード総合チャートはダウンロードセールス&セールス25%、エアプレイ75%の比率で集計されている。(近年セールスの比率があがったとの話もある)そのため、セールスチャートと総合チャートは異なるものであるが、オリコンやUKオフィシャルチャートなどの影響からかよくこの二つが混合して用いられることがあるため注意が必要である。
集計方法は何度か変更されているが、特に1991年末にそれまでのセールス重視からエアプレイ重視に路線転換した改変以降、HOT100チャートにおいて急激にヒップホップやR&Bなど主にブラックミュージック系が上位に躍り出るようになった。これはアルバム志向が強い白人層に対し黒人はシングル志向が強く、シングルセールスチャートの上位はブラックミュージックが占めていたことによる。
これ以後、ロック系が上位(特に1位)を獲得することはめっきり少なくなり、一方でヒップホップやR&Bの曲が数ヶ月にわたって1位を取り続けることが恒常化していった。それまでは10週連続1位を獲得することは稀で、1970年代のデビー・ブーン(「恋するデビー」)や80年代のオリビア・ニュートンジョン(「フィジカル」)など数える程度でしかなかったのが1992年以降はブラック勢を中心に10週越する曲が続出した。
が、近年またダウンロードセールス&セールスの比率があがった事により様々なジャンルが公平にチャートを賑わすようになってきた(2000年代以降、アメリカではシングルCDの市場が殆ど無くなり、シングル化はエアプレイ解禁やミュージックビデオの作成などの意味合いが強い)。
[編集] 関連項目
- American Top 40
- オリコン
- 全米TOP40(tvk)
- 全米TOP30(テラモバイルほか製作、2006年4月から一部地域で深夜に放送している。内容は全米TOP40に類似)
[編集] 外部リンク
- Billboard.com(英語)
- Billboard-japan.com(日本版・2006年9月15日開設)
カテゴリ: 音楽配信 | アメリカ合衆国の雑誌