トヨタ・ラウム
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トヨタ・ラウム | |
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ボディタイプ | 5ドア セミトールワゴン |
初代(Z10系) | |
前期型 | |
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後期型 | |
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製造期間 | 1997年 – 2003年 |
エンジン | 5E-FE型 1.5L 94PS |
トランスミッション | 4速AT |
車台が共通の車種 | ターセル コルサ カローラII |
2代目(Z20系) | |
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パノラマオープンドア | |
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製造期間 | 2003年 – 現在 |
エンジン | 1NZ-FE型 VVT-i BEAMS 1.5L 109PS |
トランスミッション | 4速ATSuper ECT |
全長 | 4045mm |
全幅 | 1690mm |
全高 | 1545mm |
車両重量 | 1150kg |
乗車定員 | 5人 |
車台が共通の車種 | ヴィッツ(初代) bB(初代) ファンカーゴ プラッツ ist シエンタ ポルテ プロボックス サクシード |
同クラスの車種 | 日産・ノート ホンダ・フィット ホンダ・モビリオスパイク マツダ・デミオ 三菱・コルト 三菱・コルトプラス |
この表は自動車のスペック表テンプレートを使用しています |
ラウム(RAUM)はトヨタ自動車の1500ccクラスの小型セミトールワゴン型の自動車である。
目次 |
[編集] 概要
ユニバーサルデザインの先駆けとして有名で、同種の車では珍しく、リヤドアが両側共スライド式となるのが特徴である。また3列シートの同社カローラスパシオとほぼ同じ全長、全幅を持ち、本来3列配置できる大きさの床面積に2列のみを配したため極めて開放的であり、同クラス最大の車内空間(raum)を実現している事も大きな特徴である。さらに、その空間を有効に活用するため、2代目(Z20系)からは助手席側のセンターピラーを撤去し、助手席もタンブルする構造を採用した。基本的には2BOXと表記されるが、この車内空間の広さからRVに分類され、ミニバンもしくはトールワゴンに位置付けられる場合もある。このため純正オプション部品には、RVを意識してデザインされたもの(サイドバイザー等)も少なくない。バックドアは横開きで狭い場所でも荷物の積み降ろしが行いやすい。現在時点では対抗車種に相当する自動車は無い。2代目は、センターメーターを採用している。
[編集] 歴代モデル
[編集] 初代(Z10系:1997年-2003年)
- 1997年5月 - 初代ラウム発売。
- 1999年8月 - マイナーチェンジ
- フロントバンパーやグリル、リアバンパーのリフレクターデザイン変更や、リアウインカーのクリア化、インパネの配色やシート地・内装色の変更等を実施。
- 2003年5月 - フルモデルチェンジで2代目に移行。
[編集] 2代目(Z20系:2003年-)
- 2003年5月 - フルモデルチェンジ。
- プラットフォームはヴィッツのものとなった。
- 衝突安全ボディGOAをさらに発展させた新設計のキャビンで先代(Z10系)より対衝撃性や居住性、ドライバーの有効視界が向上している。
- 助手席側ドアをセンターピラーレスのパノラマオープンタイプとした事に伴い助手席にはタンブルシートが採用された。パノラマオープンドアはのちに同社で発売されたアイシスにも採用された。
- インテリアはユニバーサルデザインの思想で開発され、楕円形ステアリング、センターメーター、日本語表記入りインパネスイッチなどの特徴を持つ。
- 随所にはアシストグリップを配し、乗り降りしやすく改良されてもいる。
- 助手席側スライドドアは上級グレードではリモコン操作も可能な電動式となる。
- エンジン・ミッションは同社bBと同じDI方式のBEAMS、1NZ-FE型VVT-iエンジンと4速AT(Super ECT)を組み合わせ10ps以上のパワーアップが行われた。
- この他、燃費性能や静粛性、機動力の各面から大幅に改良されている。
- 駆動方式は2WDのほか、4WDの設定もある。
- 同年グッドデザイン賞(特別賞、ユニバーサルデザイン賞)を受賞。
- 2004年4月 - 特別仕様車 NeoEdition 発売
- フレシール加工シート、脱臭機能付クリーンエアフィルター、マニュアルレべリング機能付ディスチャージヘッドランプ(ロービーム)が特別装備された。
- また同社が行ったアンケート調査で当初の予想よりオーナーの平均年齢が低かった事から内装色として若者向けのグレーと、外装色としてホワイトパールクリスタルシャインが特別設定された。
- 2005年8月 - 部分改修
- 部分改修とは部分的な改修、改良でありマイナーチェンジとは異なる。
- ディスチャージヘッドランプに、対向車への眩惑を少なくする光軸調整用のオートレベリング機構(ハロゲンヘッドランプはマニュアルレベリング機構)を採用。
- LED式ハイマウントストップランプを全車に標準装備。
- フロントフェンダーにサイドターンシグナルランプを標準装備。
- 2006年12月 - マイナーチェンジ
- フロントグリルの車名エンブレムをネッツ店のシンボルマークに変更。
- テールランプ(全車)、ホイールキャップ(Sパッケージ以外)のデザインを変更。ちなみにSパッケージ以外のグレード用のホイールキャップは9代目カローラセダン(中期型以降)用のものが流用されている。
- 全車にフロントフォグランプを標準装備。
- ボディカラーに新色3色追加。
- メーカーオプションのナビゲーションをDVD方式からHDD方式に変更。
- 「Cパッケージ」の廃止。そのため、「標準仕様」 「Gパッケージ」 「Sパッケージ」の3つのラインアップになった。
[編集] パッケージ
Z20系のラウムにはグレードの概念が無く、用途に応じてノーマルに加えて3種類のパッケージと1種類の特別仕様車が設定されている。
[編集] Cパッケージ
- Cはコンフォートの略で、最も乗り心地を追求した仕様である。
- ノーマル(非パッケージ)モデルの装備に加えて電動スライドドア等が標準装備となる。
- 内装色はアイボリーが設定されている。
- Cパッケージ以上のパッケージからタコメーターが標準で装備される。
[編集] Gパッケージ
- Gはグランドの略で最も機能装備を充実させた仕様である。
- フレシール加工シートやIR赤外線センサー付エアコン等が標準装備となる。
- オプションでディスチャージヘッドランプも追加できる。
- リアシートがフォールディングタイプとなり、荷室も拡張できるが、高機能な反面、後席の乗り心地が犠牲になる。
- 内装色はアイボリーが設定されている。
[編集] Sパッケージ
- Sはスポーツの略で、その名の通りスポーツを意識した仕様である。
- アルミホイールやSパッケージ専用のエアロパーツが標準装備となる。Sパッケージに標準装備のエアロパーツは純正オプション部品のそれと異なり、エアロパーツ特有の気流の整流効果は殆ど無く、バンパー等の保護や外見的なスポーティー化を目的としたものである。
- IR赤外線センサー付エアコンやフレシール加工シートは装備されないがGパッケージと同じくリアシートはフォールディングタイプとなる。Gパッケージに同じく荷室は拡張できるが、後席の乗り心地が犠牲となる。
- このほか若者向けとされるグレー色が内装色として設定されている。
[編集] NeoEdition
- 2004年に発表の特別仕様車で、Cパッケージをベースに本来メーカーオプションのディスチャージヘッドランプが標準装備された上、フレシール加工シート、内装グレー色など、各パッケージにおいて特に支持を得た部分が特別装備され、特別外板色のホワイトパールクリスタルシャインも選択できる。
- 本来ディスチャージヘッドランプをはじめ多くの追加装備はオプション装備が行えない為、各パッケージとの差別化を図る意味もある。
[編集] 車名の由来
- 英語の「ROOM」に相当するドイツ語。
- 「部屋」ではなく「空間」という意味。
[編集] CM
[編集] イメージソング
- Marvin Gaye(マーヴィン・ゲイ)のMercy Mercy Me(マーシー・マーシー・ミー)ほか。
[編集] 出演
- 征秀、鈴木奈穂、渡辺正克、廣田恵子、伊倉愛美、フリスビードッグ らぶ蔵ほか。
[編集] ナレーション
- 肥後克広、安田成美ほか。
[編集] キャッチコピー
- あなたが優しくしたいのは誰?
- 大切な人に優しいクルマ
- フレンドリー・ビークル
[編集] 取扱ディーラー
[編集] 備考
- Z20系ラウムは平均的な規模のタワーパーキングをはじめ、多くの立体式駐車場に駐車するの事のできる最大サイズの自動車として、たびたび取り上げられる。
- 海外のオーナーが多く、特に道路事情に乏しい国や平均気温の低い国でも高い支持を得ている。
- 食物繊維を素材とした環境に優しいエコ・プラスチックを初めて実用化した自動車でもある。とうもろこしを主原料とし、同社は「畑から生まれた」と表現している。
- ラウムの発売に伴い自動車におけるユニバーサルデザインの方向性が明確になり、ユニバーサルデザインの説明が行われる際には度々取り上げられる。
- トヨタ・アイシスの開発にはラウムで培われた様々なアイデアが活かされた。