ナマケモノ
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ナマケモノ | ||||||||||
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![]() ミユビナマケモノ |
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ナマケモノ(樹懶)は、哺乳網 アリクイ目のミユビナマケモノ科とフタユビナマケモノ科に属する動物の総称である。
[編集] 概要
そのゆっくりとした動作から「怠け者」という呼び名がついた。英語名のSlothも同じく、怠惰、ものぐさを意味する。体長は約41~74cm。四肢は長く、前肢のほうが後肢より長く発達している。長いかぎ爪をもち、これを木の枝に引っ掛けてぶら下がっている。
南アメリカ、中央アメリカの熱帯林に生息する。生涯のほとんどを樹にぶらさがって過ごす。食事や睡眠から交尾、出産までも樹にぶら下がったままでおこなう。主食は葉や新芽など。週に1回程度、樹上から降り、地上で排便、排尿をおこなう。日中は頭を前脚の間に入れ、枝に張り付くようにして丸くなって眠るため、遠目には樹の一部の様に見える。これがジャガーなどの捕食者から身を守る擬態となっている。
機敏に動く事が出来ないので、ワシには簡単に捕食されてしまう。急速に突撃してくるワシの一撃は強力で、攻撃を受けたナマケモノは大抵すぐに絶命してしまう。ワシのエサの3分の1は、ナマケモノが占めている。
16世紀にヨーロッパに初めて紹介された当初は、餌を全くとらず、風から栄養を摂取する動物だと考えられていた。
約200万年前から1万年前にかけての更新世にはメガテリウムという地上性のナマケモノが南アメリカに生息していた。体長5~6m、体重は約3tにもおよぶ。
[編集] 分類
ナマケモノにはミユビナマケモノ科とフタユビナマケモノ科の2科に分類され、5種がいる。双方の科の生息域は重なっていることが多い。
- ミユビナマケモノ科 Bradypodidae :指が3本であり、小さな尾をもつ。通常哺乳類の頚骨は7個であるが、ミユビナマケモノ科の頚骨は9個ある。首を270度回転させることができるため、体を動かさずに周りの葉を食べることができる。
- ノドチャミユビナマケモノ Bradypus variegatus
- ノドジロミユビナマケモノ Bradypus tridactylus
- タテガミナマケモノ Bradypus torquatus
- フタユビナマケモノ科 Megalonychidae :指が2本であり、尾は全くないか、わずかな痕跡があるのみである。頚骨はホフマンナマケモノで6個、フタユビナマケモノで7個である。双方を外見で判別することは困難であり、しばしば、X線写真で頚骨の数を調べることで判別している。ミユビナマケモノ科に比べ、気性が荒く動作もすばやい。
- ホフマンナマケモノ Choloepus hoffmanni
- フタユビナマケモノ Choloepus didactylus