フォッケウルフ Ta138
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フォッケウルフTa183(愛称Hückebein/フッケバイン、Wilhelm Busch(1832-1908)が書いたHans Hückebeinに出てくるカラスの名前)は、フォッケウルフ社が第二次世界大戦中に設計した後退翼をもち、機首に空気取り入れ口をもつジェットエンジンを胴体に搭載する形式の、単座・単発ジェット戦闘機。完成しないまま終戦を迎えた。
1944年末期にTa183の正式名が与えられ、16機の原型機製造が発注され、初飛行は1945年5月から6月の予定であったが、1945年4月にイギリス軍がフォッケウルフの工場を占領したことにより、1機も完成しないまま終戦を迎えた。Me262に搭載されたエンジンJumo004Bの他、ドイツの第2世代ジェットエンジンであるハインケル・ヒルトHeS011の搭載を予定していた。
Ta183の計画書をベルリン占領により入手したソ連が、MiG設計局にロールスロイス・ニーンエンジンを積んだ機体を試作させ、これがMiG-15の設計のもとになったともいわれている。
この機体は、クルト・タンクの片腕であったハンス・ムルトホップ技師の貢献が大きかったと言われている。ハンス・ムルトホップ技師は戦後アメリカ合衆国に移り、リフティングボディの研究に従事したが、その成果はスペースシャトルに反映されている。
Ta183の設計者であるクルト・タンク自身も戦後アルゼンチンで、Ta183の設計をもとに、IAe プルキ II(IAe Pulqui II)を設計した。