フラッシュ倉庫
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フラッシュ倉庫(フラッシュそうこ)とは、インターネット上に散らばる様々なFlashや「面白画像」、「面白動画」などのリンクを無断で貼付し、ジャンル別に“保管”しているサイトのことである。フラッシュ総合サイトなどと呼んだりもする。
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[編集] 概要
“保管”してあるFlashは大抵面白さを狙ったFlashがほとんどであるが、見るものを怖がらせるタイプのFlashなども置いてある。その他にも面白い画像やFlashで作成された安易なゲーム、またはサンプリングした動画などが置いてあることがほとんどである。ルールとして倉庫に保管してある作品はすべて無料で見ることができ、普通、オンラインゲーム等の登録が必要とされるゲームを置いてあるフラッシュ倉庫は数少ない。
フラッシュ倉庫の種類については、利用者がFlash等のリンクを自由にジャンル別に登録し、上から順に掲載されて行く倉庫型サイトと、管理者が定期的にフラッシュを載せていくサイトなどがあるが、利用者がFlashを登録できるサイトの方が圧倒的に数が多い。オンラインゲームや「恐怖系」Flashだけを置いてある倉庫や、18禁フラッシュだけを置いてある専門的な倉庫も存在する。
フラッシュ倉庫は、Flash全盛期の2003年~2004年に、2ちゃんねる発祥のFlash職人がFlashを大量に創り上げ、多くの観覧者たちが視聴していた。ネットサーフィンの簡単な娯楽として利用されていたが、近年は一時期と比べれば利用者がかなり激減した。原因としてはFlashの著作権問題に触れる作品が次々と削除されたためにFlash自体の数が減ったこと、ただ笑わせるFlash自体の数が減ってきたこと、YouTube等に圧されて人気が減ったことなどが挙げられる。
[編集] 問題点
フラッシュ倉庫は誰でも簡単に登録できるために、嫌がらせを目的とした人々が出会い系サイトやアダルトサイト、またはブラウザクラッシャーやワンクリックサイトなどといった悪質なサイトを大量に登録し、初心者が間違って開いてしまうなどといったことがしばしば起きている。また、管理人が放置し、前述のサイトが大量に登録されてもはやフラッシュ倉庫と呼べなくなったサイトも存在する。管理人自らPRと称し、出会い系サイトなどを登録している倉庫もある。
そして忘れてはならないのは、これらはほとんどが無断転載、無断リンクである点である。Flash製作者にとって自らの手を離れ、転載やリンク(特に、フラッシュ倉庫から作者のサイトのSWFファイルへのディープリンク)をされてしまうことは屈辱であることも多い(逆に「広まればいい」と、この点に寛容な製作者もゼロではない)。倉庫利用者はこの点に非常に知識がなく、またいわゆる「黒」=非合法なFlashが登録されやすい傾向にあるため、ほとんど違法、違反の無法地帯と化してしまっている。ただ、仮に通報されても倉庫自体は簡単に削除できるため、「夜逃げ」はしやすい。
このフラッシュ倉庫の存在が「Flashをフラッシュにしてしまった」と言われるほどに、「フラッシュ作品」そのものの地位をアングラで低俗なものとして一時定着させてしまったことはよく言われる。10代学生のライトなネットサーファーが飛びついて見るような作品はFlash愛好家たちにとっては評価は高くなく、彼らからすればこのフラッシュ倉庫の存在は決して好意的に写るものではない。
ただ、これらの風潮を逆手にとって、「本当に純粋に良い作品を選出し紹介していく」ことで差別化を図っているフラッシュ倉庫も存在した。彼らはFlash製作者に掲載許諾や掲載依頼のメールを送ったり、流行や旧作を定期的に取り上げたり、デザインに趣向を凝らすことで既存のフラッシュ倉庫のイメージを払拭しようとしていった。が、現在それらの中で生き残り、いまだに成功していると言えるサイトは存在しない。
[編集] バナー広告
フラッシュ倉庫には宣伝のために多数のアダルトサイトや出会い系サイトのバナーが貼られている。また、面白画像の画像に書き換えられ、面白画像の一部と思って画像をクリックしたら出会い系サイトだった、ということも少なからず起きている。バナーが貼られていない倉庫はないといっても過言ではないだろう。
このような問題に関してはあまり注意されていないが、今後の改善が求められている。