ブミプトラ政策
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ブミプトラ政策( - せいさく)は、マレーシアの経済政策。「ブミプトラ」とはマレー語で「土地の子」を意味する。民族間の経済格差を縮小するために先住のマレー人などを優遇するもので、実質的にはイギリス植民地時代以来貿易などで巨額の富を手にしていた華僑・華人の政治や行政、主たる産業における活動に制限をかけるものであった。この政策に対して、マレーシア全土の華僑・華人は昔から比較的中国系人口の多かったシンガポールに流れ込み、シンガポールの連邦離脱に至った。またこの政策は、機会平等を唱えるアメリカ合衆国などから厳しく批判された。
ブミプトラ政策で優遇の対象となる「ブミプトラ」は、マレー人のほか、山地やボルネオ島などのオラン・アスリも含まれ、華人・華僑とインド系を除く国内のほとんどの民族である。
ブミプトラ政策では、会社の設立などの経済活動のほか、公務員の採用などでもブミプトラが優遇されている。
この政策によって政治・行政におけるマレー人の優位確立には成功したが、政策を推進した前首相マハティール・ビン・モハマドは近年の著書で、「マレー人には勤勉さが足りない」などと、マレー人優遇が思い通りの成長につながらなかったことを述べている。