ブラザー・ロジェ
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ブラザー・ロジェ(Brother Roger、フレール・ロジェ Frère Roger とも) (スイス、プロヴァンス、1915年5月12日- フランス、テゼ、2005年8月16日)、本名ロジェ・ルイ・シュッツ=マルソーシュは、キリスト教超教派修道共同体、テゼ共同体の創始者。
ジュネーブ出身の父カール・シュッツとフランス・ブルゴーニュ出身の母アメリー・シュッツ=マルソーシュの間に9人兄弟の末子として生まれる。改革派教会の信者として1937年から1940年まで改革派神学をストラスブールとローザンヌで学ぶ。
1940年、超教派の共同体の必要を感じ、母の出身地フランス・ブルゴーニュ地方に移住。知人の仲介でソーヌ=エ=ロワール県テゼに住居を購入し、第二次世界大戦中、姉とともに難民の支援を行った。1944年から他のメンバーが加わり共同生活を行うようになり、1949年一種の修道生活をする超教派団体・テゼ共同体を結成した。
教派間、とりわけカトリックとプロテスタント諸派の融和に貢献した。1974年、宗教分野のノーベル賞とも言われるテンプルトン賞を受賞。ブラザー・ロジェはプロテスタントでありながら、1975年以降は、ローマ教皇が全世界の司牧者であるとの認識を含めた。2005年4月の前教皇ヨハネ・パウロ2世の葬儀ミサで、司式したヨーゼフ・ラッツィンガー枢機卿から聖体を受けたため、議論を巻き起こした。カトリックではプロテスタント信者がミサで聖体に与ることを教会法で禁止している。ヴァティカンのスポークスマンであるナヴァロ・ヴァルスはこれが誤ってロジェ・シュッツが聖体拝領者の列に並んでしまったためおきた事故であったと発表した。しかしヴァルスは、拝領が教会法上許されないことを強調しつつ、ロジェ・シュッツがカトリックの聖体理解(全実体変化)を共有しているとも述べている。
2005年テゼの夕べの祈りの会において、ブラザー・ロジェは参加者の女性に刺され、ほどなく死亡した。女性は精神的な問題を抱えていたと報道された。