プロキシ
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プロキシ(Proxy)とは「代理」の意味であるが、インターネット関連で用いられる場合は特に内部ネットワークからインターネット接続を行う際、高速なアクセスと安全な通信を確保するためのサーバを指す。特に中国では、検閲システム「金盾」があるため、よく利用される。
プロキシはクライアントとサーバの間に存在し、情報元のサーバに対してはクライアントの、情報を受け取るクライアントに対してはサーバの働きをする(HTTPプロキシの場合)。
なお、プロキシは「プロキシー」「プロクシ」「プロクシー」とも呼ばれ、ネットワーク関連の電子掲示板やウェブサイトでは、隠語として「風呂串」「プロ串」「串」(プロクシから由来)、「プロ棋士」(プロキシから由来)と表記されることがある。
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[編集] 高速なアクセス
使用者が内部ネットワークからWEBサーバにアクセスしデータを受け取る場合、一時的にプロキシにデータを保存しておくことで(このサーバ内のデータはキャッシュと呼ばれる)、次回からのアクセスはサーバではなくこのプロキシからキャッシュのデータを受け取ることでWebブラウザ上への表示が高速化できる。
しかしサーバのデータが更新されてもプロキシ内のデータは更新されていない場合など、更新されないままの古いデータが表示される場合もあるので注意する必要がある。また初めてアクセスするページに対しては、キャッシュが存在しないために、直接アクセスするよりも必然的に遅くなる。
キャッシュ機能としてのプロキシサーバ用ソフトとしては、DeleGateやSquidなどが有名である。
[編集] 安全な通信
外部ネットワーク(主にインターネット)からのアクセスはプロキシを経由して各使用者のパソコンなどのクライアントに届く。従って直接クライアントが外部ネットワークに晒されていないため、不正アクセスや侵入行為は困難になる。
[編集] 有害なサイトの遮断
プロキシを挟んで、クライアントと外部との全てのデータはプロキシによりチェックされる。その際、例えばアダルトサイトやフィッシングサイトなどの有害なサイトへのアクセスを遮断するようにプロキシのプログラムに設定しておけば、クライアントがそういった有害なサイトを見ることが出来なくなる。
[編集] 翻訳・変換
Yahoo翻訳やLivedoor翻訳など、「サイトごと翻訳する」という翻訳サイトもプロキシの1つである。これらのサーバの中には日英翻訳や日韓翻訳などのプログラムが組まれており、それによって単語や熟語などを当てはめてウェブブラウザ上に表示させる。
手軽で、人の手により翻訳するよりもずっと高速であるが、機械翻訳であるためにその文でおかしいかおかしくないかなどの判定が全くなく、また間違えた文が表示されることも少なくない。そのために翻訳の目安にはなるが完璧な翻訳文ではないことに注意する必要がある。
また漢字にふりがなをつけて表示させたり、標準語を関西弁などの方言に変換、あるいは独特な言葉に変換するなどの特徴的なプロキシサーバも存在する(以下はその一例)。
[編集] プロキシを使う上での問題点
不特定多数が利用しうる公開プロキシを通して掲示板に書き込んだ場合、掲示板を設置しているサーバーのログにはプロキシサーバのIPアドレスが残り、実際に書き込みを行ったコンピュータのIPアドレスは隠蔽される。このためプロキシを通した書き込みには掲示板荒らしや宣伝に使われてしまう可能性が少なからず存在する。これに対して掲示板の管理者がプロキシの管理者にアクセスログを請求する場合があるが、一部は管理者の不注意などにより意図せず公開されていたプロキシも存在する上、書き込んだ者が複数のプロキシを使っていた(複数串と言われる)場合は追跡が困難となる。
そのためプロキシと思われるIPアドレスまたはホストからのアクセスや書き込みを拒否する掲示板も少なからずあり、特に2ちゃんねるにおいては、プロキシ経由の書き込みをかなり高いレベルで弾いている。
また一部の悪意ある者がスパイウェアやコンピュータウィルスをプロキシサーバに仕込み、そのプロキシの利用者のPCにそれらが入り込むように細工する場合もある。
[編集] 逆プロキシ
プロキシサーバは主に内部ネットワークからの外部への接続要求を中継するのに使われるが、外部ネットワークからの接続要求を中継して内部に接続するものを逆プロキシと呼ぶ。これは負荷分散等に用いられる。
[編集] 透過プロキシ
セキュリティの観点などから、フィルタリングを行うため等にプロキシを導入した場合、全ての内部の接続者に使用させる必要があるが、その場合明示的な設定を要すると管理コストの増大等の影響が起きる。それを解決する一つの手段が透過プロキシであり、全ての接続要求をプロキシサーバに転送し、そのプロキシサーバが接続相手になりすまして要求に答えることにより、内部の利用者がプロキシサーバを意識せず使用することが出来る。また、外部からの接続要求も透過プロキシによって逆プロキシとして中継することにより、内部にある任意のサーバに対する不正アクセスと疑われる要求をフィルタリングすることが出来る。
[編集] 主なソフト
[編集] 外部リンク
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