サーバ
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サーバ (server) は「(サービスなどを)提供するもの」の意味であり、次の意味で使用される。
- 広く、何がしかの提供をする人や機器。召使い等やビールサーバ(生ビールを注ぐための装置)など。
- コンピュータネットワーク上にて、コンピュータを利用したサービスを提供するもの(後述)
サーバは、コンピュータネットワークにおいて、サービスと呼ばれる特定の機能を提供するコンピュータシステムの総称である。 サーバからサービスを受ける「クライアント」と対になる概念で、クライアントからの様々な要求に応答する。また、そのようなアプリケーションやプロセスをも指す。
サーバにはソフトウェア的な意味として捉えられる場合・ハードウェア的な意味で捉えられる場合の2つがある。
Webや電子メールのサービスを提供するソフト(ApacheやXmail)は、ブラウザソフトやメーラーのようなクライアントに対して情報を送信するサーバアプリケーションである。 また、そういったアプリケーションを提供するコンピュータをサーバマシンと呼ぶ。一般的にサーバマシンは大多数のクライアントに対して情報を送信するため、高機能が求められる傾向にある。そのため個人使用のパーソナルコンピュータとは、ハードウェア構成、機能性に差別化が図られている。
しかし近年はハードウェア性能の向上・コストパフォーマンスによって自宅サーバのように、パーソナルコンピュータにもサーバ用途に耐えうる性能を持つものも存在する。Windows XPにも、PCからWebを公開するためのソフトIISが標準装備されている(セキュリティホール対策のためOSインストールと別途のインストールが必要である。)
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[編集] クライアント・サーバ・モデル
複数台のコンピュータがネットワーク接続された環境、すなわちコンピュータネットワーク上で、各々のコンピュータが同じ情報資源(データ)を参照することがある。このような場合、そのデータを各コンピュータに格納していては、記憶領域や保守などの面で多大な無駄が生じる。
サーバはこれを解決する手段で、特定のコンピュータが情報やその処理作業を集中的に管理することで、ネットワーク全体での記憶領域を最小限にとどめると共に、共有される情報の同期等の手間を省き、情報伝達や保守の効率を高めるものである。他のコンピュータはクライアントとして稼動し、必要に応じてサーバからサービスを受けとる。
このように情報を集中的に管理し、他にサービス提供するためのコンピュータをサーバと呼ぶ。逆にサーバの機能を利用し、サービスを受ける側のコンピュータをクライアントと呼ぶ(また、これらのようなアプリケーションやプロセスをも指す。以下同じ)。
サーバとクライアントが存在しているコンピュータネットワークをクライアント・サーバ・ネットワークと呼ぶ。クライアント・サーバ・モデル/型/システム/コンピューティング、などとも言う。
⇒ホスト・ターミナルシステムとクライアント・サーバシステムの違いについてはクライアントの項目を参照す。
[編集] サーバアプリケーション
サーバには、クライアントに提供するサービスにより様々な種類があり、必要に応じてネットワーク上に、複数のサーバを設置し組み合わせて使用することができる。 電子メールなどは、この技術の代表的な例である。POP3サーバ(メール受信用サーバ)とSMTPサーバ(メール送信サーバ)を別のコンピュータで運用することで、セキュリティ性や利便性を向上させることが出来る。
また、同じサーバアプリケーションを複数台のサーバにインストールし利用することで負荷を分散し、耐障害性を向上させることができる。(スケールアウト)
インターネット上では、Webサイトがデータを管理しているサーバで、データが集中しすぎて負荷が増大することにより、一度に転送できる量が小さくなってクラッシュしてしまう、いわゆる「飛ぶ」状態に陥ることがある。また「飛ぶ」まではいかなくても極端に転送量が小さくなって、Webサイトのページを開くにも、とても長い時間がかかることになる。一時期(2006年2月)のウィキペディアは、後者の状態であった。
オンラインゲームなどでは膨大な量のデータやユーザーによるトラフィックのため、常にサーバはクラッシュの危機にさらされている。さらにイベント時期やパッチファイル配布のタイミングには天文学的なデータの転送があるため、特にクラッシュしやすいと言える。
このような事例を避けるため、巨大な掲示板群や有名なWebサイト・オンラインゲームでは大多数のサーバを共通のソフトウエア構成にして運用し、一台当たりにかかる負荷を分散している。
[編集] ハードウェアとしてのサーバ
サーバアプリケーションをインストールし、クライアント(パーソナルコンピュータ)に対して情報を送信するコンピュータを一般的にサーバという。 サーバには大型サーバから小型まで多種多様の物が存在する。主にハードウェアで重視されるのは、拡張性、耐障害性、処理能力などである。 ここでは代表的な物を上げる。
[編集] 用途・アーキテクチャによる違い
[編集] フォールトトレラントコンピュータ
主にオペレーティングシステム (OS) はUNIXかLinuxである。 本体を構成している部品の多くが二重化されており、運用中に於ける部品の交換が可能で、全ての部品がホットスワップを行うことが可能である。 主な用途は、鉄道の座席予約システム、携帯電話の中継局などインフラの主要箇所に設置されている。
[編集] エンタープライズサーバ
搭載される主なOSはUNIXかLinux、またはWindowsである。 主要基板、CPUはサーバ専用の物を使用する。また、CPUはその処理能力に応じて二重化もしくは四重化など拡張できる物が多い。 ハードディスクはデータの保護を優先させRAID化されている物が殆ど。また、ハードディスクにはホットスワップ機能を盛り込んだ製品も多い。 主な用途は、コンビニなどのバックヤードシステム、スーパーコンピュータの入出力系などインフラには直接影響はないが、大規模なデータを取り扱うシステムに多い。
[編集] PCサーバ
搭載される主なOSはPC-UNIX、またはWindowsである。 主用基板、CPUはパーソナルコンピュータの物を使用する。 今話題の自宅サーバはこの部類に入る。また、GoogleはこのPCサーバを1万台以上も繋いでシステムを構築している。エンタープライズ用途でも利用されるようになって来ており、多くのメーカーは「IAサーバ」の名前で販売している。
[編集] 筐体の形状による違い
[編集] ペディスタル型
タワー型PCと同様な形。大きさはPC/AT互換機のミニタワーサイズから冷蔵庫大サイズまで様々。
[編集] ラックマウント型
ラックマウント型サーバと呼ばれるサーバ。一般的にはラックサーバと呼ばれる。 インターネットデータセンター等に設置されているラックにマウントするのに適した形状となっているサーバ。
[編集] ブレード型
詳しくはブレードサーバを参照。
[編集] 関連項目
- Peer to Peer
- クライアントサーバシステム
- ウェブサーバ
- メールサーバ
- DNSサーバ
- NNTP
- NTP
- ネットニュース
- Telnet
- ファイルサーバ
- プリントサーバ
- ブレードサーバ
- Webサーバ
- プロキシ
- 自宅サーバ
- ホスティングサーバ
- レンタルサーバー
- バーチャル・プライベート・サーバ
- データセンタ
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