プロコピオス
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カイサレイアのプロコピオス(Προκόπιος)は、6世紀の東ローマ帝国の歴史家。パレスティナのカイサレイアの出身。
ユスティニアヌス1世時代に活躍した名将・ベリサリウス将軍の秘書官兼法律顧問として対ササン朝戦争、ヴァンダル王国征服戦争、東ゴート王国征服戦争に従軍し、その戦いを記録した『戦史』全8巻を残したほか、ハギア・ソフィア大聖堂再建などに見られるユスティニアヌスの建築活動を賛美した『建築について』を残した。彼の文体は古代ギリシャのヘロドトス・トゥキディデスのものを継承しており、東ローマ帝国初期の歴史書としては最高のものであると評価されている。
また彼の名を有名にしているものとしては『秘史』という書物が挙げられる。これはその名の通り公開を前提としていたものではなく、もちろん生前には公開されていない。この『秘史』では、上記の2つの書物でユスティニアヌスの古代ローマ帝国復興や建築活動を賛美していたはずのプロコピオスが、ユスティニアヌス夫妻やベリサリウス夫妻の悪口やスキャンダルを書き連ねている。そのため、かつては別の人物の作品ではないかと思われていたが、研究の結果これもプロコピオスの手によるものだと確認されている。
『秘史』は、市民の反乱を武力で平定し、専制君主制を強化したユスティニアヌス帝治下の知識人が置かれた立場を反映していると言えるだろう。これによって当時の帝国とユスティニアヌス帝の実像を知る上で貴重な資料が遺されたのである。
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