ベルント・アロイス・ツィンマーマン
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ベルント・アロイス・ツィンマーマン(Bernd Alois Zimmermann、1918年3月20日-1970年8月10日)はドイツの現代音楽の作曲家。
[編集] 略歴と作風
「弦楽オーケストラの為の協奏曲」、「ピアノトリオ」、「無伴奏ヴィオラソナタ」、「一楽章の交響曲」などで新古典的書法を成熟させていた彼は、1950年代に突如現れた前衛の世代と対峙する。「遠近法 - 想像上のバレエの為の音楽」「コンフィグラツィオーネン」などでセリー的な書法を導入するも、彼の興味は「時間」の様々な表現に常にあった。
「無伴奏チェロソナタ」は一つのセリーで全曲が構成され、なおかつ超名人芸を要求する作品として、秀作の誉れが高い。前衛の時代に書かれた最も優れたオペラと評価された「兵士たち」では既に等拍パルスが用いられているなど、先駆的な楽器法が光る。
やがてシュトックハウゼンの言う「正しい軌道」という思考に激怒し、彼は全曲が「引用」で構成される「ユビュ王晩餐の音楽」でシュトックハウゼンを引用してその上に罵倒する文句を重ねるなど、前衛音楽の姿勢に挑発的な態度を示す。しかしながら、前衛イディオムを身にまといながらの批判は当然様式上の矛盾を抱えることとなり、「モノローグ」、「デュオローグ」、「アンティフォネン」、「パ・ド・トロワの様式による協奏曲」では苦悩の影が漂い始め、聴きづらい音楽へと変わってゆく。
「フォトポシス」、「インテルコミニュカチオーネ」では静止した持続音がD音に現れる部分が多く、「静止主義」の様相を濃くしてゆく。「若い詩人の為のレクイエム」で創作の総決算を行い、「伝道行為」と「静止と反転」の二作品を完成させた後、自分の音楽が理解されないとして謎のピストル自殺を遂げている。
[編集] 評価
前衛イディオムと過去の音楽文化を折衷した独自の様式は、1920年代から30年代生まれの作曲家たちの嘲笑の的となり、彼を苦しめることと成った。しかし、1970年代は前衛の停滞が叫ばれ、作曲上の進歩が疑わしくなったその時、多様式主義を掲げる作曲家たちが現れる。不幸にも、彼の時代は彼の没後に始まってしまったのであった。演奏困難の為に信頼に値する音盤も少なく、CDリリースで作風の全容が理解されるのは1990年代に入ってからである。