ポリメチルペンテン
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ポリメチルペンテン(Polymethylpentene,TPX)は、ポリオレフィン樹脂の一種に当たる 熱可塑性樹脂に属する合成樹脂。CAS番号68413-03-6。
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[編集] 製法
プロピレンを、アルカリ金属触媒で反応させて得られるメチルペンテンを、チーグラー・ナッタ触媒を使用して重合する。
- CH2=CH−CH3 + CH2=CH−CH3 → CH2=CH−CH2−CH−2(CH3) …4-メチルペンテン-1
- n CH2=CH−CH2−CH−2(CH3) → [−CH2−C(−CH2−CH−2(CH3))H−]n
[編集] 特徴
- 透明。
- 密度0.83は熱可塑性樹脂としては最小。
- クリープ特性が良好で、HDPEやPPよりも優れている。
- 耐熱性は高く、融点230~240℃、ビカット軟化点160~170℃。
- 耐薬品性に優れる。
- 表面張力はフッ素樹脂に次ぎ小さい。
- 電気絶縁性に優れ、誘電率は合成樹脂中最小。
[編集] 用途
[編集] 歴史
インペリアル・ケミカル (Imperial Chemical Industries plc, ICI) が発明し製造販売を開始したが、現在では三井化学が事業譲渡を受け、同社のみが製造販売を行っている。
[編集] 使用例
医療用機器や理化学機器で広く使用されている。注射器、ビーカー、シャーレ、メスシリンダーなどはガラス素材からの転化が進んでいる。同様に、食品や化粧品容器にも利用される。フィルムは、包装用の他に、離型ライナーとして工業分野で利用されるほか、光学用途に向けた研究も行われている。
[編集] 参考文献
- 大井秀三郎・広田愃 『プラスチック活用ノート』 伊保内賢編、工業調査会、1998年。ISBN 4-7693-4123-7