注射器
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注射器(ちゅうしゃき)とは、液体や気体を注入および吸引するために用いられる器具の一つである。人体に使用する場合には、先端に注射針を接続することが多い。注射器と注射針によって人体に薬剤を注入する行為を注射と呼ぶ。
浣腸に用いられる器具で注射器とほぼ同じ形状の器具は浣腸器と呼ばれる。また、弾力性のあるゴム製の球などを用いて注入や吸引を行う器具はスポイトと呼ばれ、注射器とは区別される。
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[編集] 種類・用途
[編集] 医療用
円筒形のシリンダーと、可動式のピストンを有する構造の注射器が多く用いられる。材質はプラスチック、ガラス、金属がある。ガラス製を除き、ピストンの先端部分はOリングで気密を保つようになっている。
ガラス製の注射器は滅菌して繰り返し使用される。目盛りがはっきり見えるようにピストンに着色ガラスが用いられていたものがある。これに対しプラスチック製注射器は滅菌状態で個別包装され原則的に使い捨てにされる。プラスチック製注射器は加熱殺菌できないため、ガス滅菌や放射線(γ線)滅菌が使用される。
予防接種 などには、注射針を使わない「ハイジェッター」(圧縮空気により薬剤を注入する装置であるジェット・インジェクター)が用いられることがある。その形状から鉄砲注射と呼ばれる。日本では1970年代に小・中学校の予防接種で用いられたが、神経線維の損傷が多発したことから1987年8月に厚生省の撤収勧告、1994年に廃止と使用が取りやめられた。C形肝炎など感染症への対策が不十分との指摘もある。なお、新たに小型の「ハイジェッター」が販売されている。
注射は医療従事者が行うことが基本であるが、慢性的な病気、緊急処置が想定される場合に備えた自己注射型の注射器が存在する。
- 糖尿病患者が用いるインスリンの注射器などは、内容物を保持する構造を持たず、針の先端に注入する薬剤を塗布しておき、対象物に押し付けることで注射する注射器もある。患者自身による注射が必要な場合には、普段は注射針が内蔵されており、ボタン操作などで注射針が射出される構造の注射器が用いられる。
- 蜂のアナフィラキシーショック症状に対処するエピネフリンの注射器は、内容物を保持する構造を持っている自己注射器である。注射筒を押し当てるとスプリングで針が使用者の体内に刺さる構造となっており、同時に薬液が注入される。アメリカでは軍用として携行型のPAM(化学兵器の解毒剤として)の注射器としても用いられる。
- 軍用の救急医療キットには、一回の投与分を封入した注射針付きの注射器が採用されている。負傷者自身が使用する事を考慮し、片手で扱えるようにピストン・シリンダー式では無く、軟質プラスティック製の薬嚢に直接注射針が取りつけられ、薬嚢を絞る事で薬剤を注入する。
注射器の先端に接続する注射針は、ステンレス製が多い。近年では痛みが少ないとされるプラスチック製の製品も開発されている。
現在では、医療用には使い捨ての注射器が多く用いられており、大量の医療廃棄物となることから、処分の方法が問題となっている。
[編集] 実験用
物理実験などで、液体や気体の注入、体積の測定、簡単な加圧などに用いられる。
[編集] 歴史
1952年には、アメリカでプラスチック製の使い捨て(ディスポーサブル)注射器が作られた。
[編集] 関連項目
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