マナ
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マナ(Mana)は太平洋の島嶼で見られる原始的な宗教において、神秘的な力、または元素とされる概念である。遍在する超自然的エネルギーで、これを槍や網などの道具類もしくは病気・疲労などに注入することによって、より望ましい状態に変化させることができると考えられている。また、このように理解されたマナがラリー・ニーヴンの小説において魔法の力の源とされ、その設定が中世風の世界背景を持つファンタジー小説・ロールプレイングゲーム等で流用されることがある。
マルセス・モースの民族学研究を記した著作、「呪術論」では力として、「マナは単に一つの力、存在であるのみならず、一つの作用、資質および状態である。換言すれば、この語は、名詞であると同時に形容詞、動詞でもある」「我々が妖術使いの力、ある事物の呪術的資質、呪術的事物、呪術的存在、呪術を持つ、まじないをかけられる、呪術的に作用する、といったような言葉で持って示している雑多な観念を包摂している」と記されている。つまりマナは資質であり、実体であり、力である。物において考えるとお守り、そしてジンクスが例に挙げられる。人に宿るマナは超能力やカリスマ的魅力の一部が挙げられる。 観念、言語的特性という点でみると、「それは抽象的、一般的でありながら、具体性に満ちている。」「マナとはまさしく、事物と人間の価値、すなわち呪術的価値、宗教的価値、そして社会的価値さえも作り上げているものである」つまり人や物に宿る「何か」であって、人や物そのものではなく、人称関係の内部で働く非人称的な単位で、社会関係のなかで働き、社会関係さえも作り出すということである。 まとめると全てでありどれでもないという結論である。それ自身は意味を持たず、それだけにどんな意味も受け入れる。 レヴィ=ストロースによれば、「つまりマナは内容の無い形式、もしくはより正確には純粋の象徴であり、それゆえにいかなる象徴内容をも帯びることができるのではないだろうか」とある。