ミルキーピア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ミルキ~ピア物語(-ものがたり)は、東野 司著のコメディーSF小説シリーズ。ミルキ~ピア・シリーズともいう。1987年発表の『京美ちゃんの家出』から1995年発表の『史上最大のメリークリスマス』まで全12作があるが、単行本に収録されていないものもある。主にSFマガジン(以下SFMと略)に掲載された。表紙および挿絵は横山えいじ。
コンピュータ、システムエンジニアリング、ネット通信、仮想現実空間を背景として、片山秀人・鳴琳はじめミルキ~ピアのメンバー等が活躍するコミカルな小説群である。擬似人格(人工知能)ソフト同士の恋愛(『京美ちゃんの家出』)、コンピュータデータのタイムトラベル(『8ビットの魔術師』)、電脳空間での密室殺人推理(『消えた十二支の謎』)など、各作品ごとに一味変わったテーマがある。
技術面の記載は現在では古くなってしまった印象もあるが、1987年当時はDOS/V互換機発売前であり、通信もパソコン通信が主体であった時代であることを考えると、逆に驚かされる一面もある。
なお、『よろず電脳調査局ページ11』シリーズは続編ではないが、同じ作品世界に属しており、片山秀人や鳴琳の名が登場する。
目次 |
[編集] 主なキャラクター
[編集] ミルキ~ピア
- 片山秀人(かたやまひでと)
- 主人公。システムハウス(後にネット探偵局に変更)・ミルキ~ピアの唯一の男性社員で、特技は自分の意識をネット上のバーチャル空間に移す「ネット潜り」。人気ソフト・京美を作るなどプログラミングの腕も確かだが、特技のネット潜りが重宝され、常に酷使されている。
- ヨネコ社長
- ミルキ~ピアのお色気たっぷりの女社長。システムエンジニアとしても秀人と同等以上の実力がある。
- 麻矢さん
- ちょっと恐い関西弁の姉御。経理を担当。ヨネコ社長の親友。
- 鳴琳
- 秀人の唯一の後輩。秀人と同じく「ネット潜り」の特技を持つ。
[編集] 擬似人格ソフト・ツール
- 京美Ver 1
- パーソナルアイドルの人気ナンバー1ソフト。ヨネコ社長と秀人の共同制作。京美Ver 1が家出をする遠因はヨネコ社長の過去の体験にある。
- 京美Ver 2
- Ver 1の家出の後に再製作された。通常はネット上のアイドルソフトであるが、『京美対京美 南欧の大決闘』ではバックアップ版が、秀人たちのサポート要員として活躍した。
- 聖哉
- 鳴琳が作成したアイドルソフト。京美と並んでミルキ~ピアの2大ヒット商品である。ひ弱な感じもするが、京美Ver 2と一緒に『京美対京美 南欧の大決闘』で遠征する。
- 根回しくん
- 元々は意思決定支援ソフト。『フェスティバルキャラの逆襲』で登場し、暴走したツールの一つ。その後、ミルキ~ピアに居ついた。
- アーノルド
- 鳴琳が作った擬似人格ネット探索ツール。外観は筋肉もりもりのマッチョだが、女子高生風の話し方をする。
[編集] シーサイドキララ・さほり婆さん関連
- シーサイドキララの社長
- 湘南の海のみえるシステムハウス・シーサイドキララの社長。
- さほり婆さん(白梅原さほり)
- 栽培システムの故障対応で、秀人が派遣されたみかん農家の婆さん。実は伝説のOS開発に携わったカリスマ・システムエンジニアだった。
- すみかちゃん・ヒロキ坊
- さほり婆さんの孫。ヒロキがシステムに潜ってしまったことが故障の原因。秀人はすみかちゃんに思いを寄せるが..
[編集] 作品リスト
- 京美ちゃんの家出 ISBN 4150302928
- 「京美ちゃんの家出」「聖哉くん、誘拐!」「フェスティバルキャラの逆襲」収録
- つかのまの間奏曲(インターミッション) ISBN 415030324X
- ジュリエット作戦 ISBN 4150303290
- 8ビットの魔術師 ISBN 4150303363
- 京美・誕生―小さなイヤリング(単行本未収録)
- 京美対京美 南欧の大決闘〈上〉 ISBN 4150303568
- 京美対京美 南欧の大決闘〈下〉 ISBN 4150303576
- 消えた十二支の謎 ISBN 4150303762
- 成層圏スタジアム ISBN 4150303835
- 霧のエトランゼ(単行本未収録)
- 史上最大のメリークリスマス (SFマガジン1995年1月臨時増刊号)