メガリ・イデア
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メガリ・イデア(ギリシャ語 Μεγάλη Ιδέα 直訳すると「大いなる理想」の意味)とは、ギリシア民族主義思想。
ギリシアは、ビザンティン帝国の直系であり、その領土と主権は、嘗ての全ビザンティン帝国領に及ぶとの主張である。したがって、オスマン帝国がビザンティン帝国からその歴史において「版図」に組み入れた旧ビザンティン領は、ギリシアの領有に帰属すべきであり、またギリシア人の居住する小アジアの全地域(黒海南岸のトラブゾンを中心とするポントス地方、内陸部のカッパドキア、コンスタンティノポリス)は、すべからく「ギリシア」に帰属すべきであるとの主張である。
それによれば、首都はコンスタンティノポリスに、経済的中心はアテネに置かれる。また、ギリシア正教会の旗のもとに、全てのギリシア人はその居住地(トルコ領、東ルメリア等の主権の地域を含む)を「ギリシア国」の版図の主権の「大ギリシア国」のもとに統合され、保証され、担保される。
この思想を基にギリシアはオスマン帝国との間に多くの戦争を勃発させ、マケドニア、イピロス、エーゲ海の諸島などを併合した。しかし第一次世界大戦後の希土戦争では、トルコ内におけるムスタファ・ケマルによるトルコ革命を惹起させてしまい、一旦は占領したスミルナを中心とした小アジア沿岸地方を奪還される大敗北を喫した。
キプロス、マケドニアなどを巡る現在のギリシアの外交政策にも、この思想が影響していると見られる。
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