モコシ
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モコシ(Mokosh モコシュ)は、スラヴ神話の女神であり、その名は「湿った、湿潤な」を意味する。
ウラジーミル1世が造ったキエフの丘に祭られた神の一人で、唯一の女神である。ウラジーミル1世はキリスト教導入以前の宗教政策の一つとして、諸地方の神々をキエフに持ち込んでおり、モコシはフィンランドなどから入ってきた神格ではないかとする説がある。
また、スラヴの各地方で信仰されていた大地を神格化した女神「母なる湿れる大地」との関連があるとする説がある。これによると、モコシという名前自体が豊潤な大地を彷彿させるものであり、本来モコシはスラヴ神話における大母神だったという。その神像は大きな頭を持ち、細長い腕を天に向けたような姿をしていたとされ、これは天と大地の仲介者として雨を降らせて田畑を潤したり、家畜の多産をもたらしたことを表している。
キリスト教が布教されるとモコシは聖人・パラスケーヴァ・ピャートニツァと同一視され、その結果、パラスケーヴァ・ピャートニツァは結婚や出産・家事などの女性生活や、大地の恵みと繁栄を司るという異教的な特徴を持つこととなった。