モヤシ
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モヤシ(もやし、萌やし)とは、豆が発芽したスプラウトである。
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[編集] 概要
食用として豆、芽と茎を食べる野菜であり、古代中国の時代から食べられているとされる。
原料の豆の種類はブラックマッペ、緑豆、大豆の三種がある。豆を流水で10分ほど洗い、豆の量の3倍の水に一晩漬けておき、湯に15分ほど浸漬し真菌などを殺菌、通気性のよい薄暗い部屋で水を取り替えながら数日~10日程度で発芽する。早く成長するため、安価な値段で取引される。
ブラックマッペは、戦後に、タイ、ミャンマーからの輸入が始まり、 中華料理の普及とともに昭和40年(1965年)頃から増加した。以後、昭和59年(1985年)代近くになるとスーパーマーケットに定着し、ラーメンや鉄板焼き(ジンギスカン鍋)の需要から人気は急激に高まった。手軽に購入でき多様に調理が出来るブラックマッペもやしの普及にしたがい、生産コストの高い大豆もやしは衰退した。 現在の「もやし」の代表「緑豆もやし」は昭和62年(1987年)以降普及したもので、食味と食感が好まれて急激に普及した。
このほか、アルファルファ(ムラサキウマゴヤシ)やソバのモヤシもあり、サラダなどに使われている。豆苗、カイワレ大根も豆の発芽した状態と考えればもやしに近い。
新芽野菜はスプラウトとも呼ばれる。ブラックマッペ、緑豆、大豆のもやしを含める場合と含めない場合があり、また発芽後、最初の葉である双葉が開いた状態をスプラウトと呼ぶのだとする説もある。
関東では緑豆・大豆を使った、色が白く太めでシャキシャキ感のあるものが好まれる。関西ではブラックマッペを原料とし、どちらかといえば細くて長く、もやし特有の風味があるものが好まれるようである。
中華料理での炒め物、韓国料理での漬物(キムチ・ナムル)に多用されるが、これらで使われるのは大豆による「豆もやし」が一般的である。沖縄ではマーミナーと呼ばれ、チャンプルー(炒め物)によく使われる。 餃子に茹でモヤシをトッピングすると「浜松餃子」になる。
緑豆もやしは店頭に並べられてから傷みが早く、水分が出てくるので2,3日以内に消費することが望ましい。手間と時間がかかるが、根と豆部分を取り除くと食感が良くなり、雑味がなくなるなど大きな差が出る。
日の光に晒されることなく成長する様とその姿から転じて、肉体的に虚弱な人や痩せている人、屋外遊びをせず日焼けしていない児童などを指してモヤシ、モヤシっ子、モヤシのようだと表現することがある。
[編集] 主要な栄養成分
(モヤシ100g当り)
- エネルギー: 16 kcal
- 水分: 94.4 g
- 蛋白質: 2.3 g
- 炭水化物(糖質):2.4 g
[編集] モヤシを使った料理
[編集] CM
[編集] その他
日露戦争においてロシア軍の旅順要塞が日本軍によって陥落させられた(旅順攻囲戦)要因のひとつにロシア軍がモヤシを知らなかったことが挙げられる。
この要塞を巡る戦闘でロシア軍は要塞内に発生した壊血病に有効な対策を打ち出せず戦力の低下を招いていた。壊血病には野菜や果物によるビタミンの補給が有効であるが、ロシアには豆からモヤシを作って食べる習慣がない。このため、大量の大豆が要塞に備蓄されていたにもかかわらず、モヤシを作ることを思いつかなかったのである。