モルダイバー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
モルダイバーは、1993年に製作されたOVA作品。内容はSFヒーローアクションで野上ゆかなの初期抜擢作品としても知られている。
目次 |
[編集] 概要
パイオニアLDCによって企画・販売されたOVA専用アニメーションシリーズの第一期作品。ちなみに同OVAレーベルの同期発売作品には『天地無用!魎皇鬼(第一期シリーズ)』『幽幻怪社』『グリーンレジェンド乱』『機神兵団』などが存在する。
また、これを原作にコミカライズされた伊藤伸平の漫画作品のタイトルでもある。同時期に月刊少年キャプテン(徳間書店)に連載された。ストーリーはOVAの設定のみを下地にしたオリジナル。
同様に早見裕司によってノベライズされた小説版も存在する。こちらは徳間書店・徳間アニメージュ文庫より発売。ストーリーはオリジナルのものだが、よりOVAの内容をなぞるものになっている。
[編集] ストーリー
- 時は2040年代。東京は開発に次ぐ開発により超高層建造物「複合体(コンプレックス)」が立ち並ぶ超都会へと変貌を遂げていた。人々は複合体に住み、複合体で働き、複合体に死す。それが当たり前の時代になっていた。
- 大宇宙 寛(おおぞら ひろし)は、総合企業複合体ZICの鉱物研究員。彼は大学時代、複合体理論開発者、ZIC科学顧問にして恩師でもある天城教授の下で超次元装甲の研究を行っていた。それは特殊波長粒子体である擬似分子を身体に定着させ、これの操作をもってあらゆる物理的限界を制御・虚無化する、究極の装甲技術。だが、その開発は他ならぬ天城の手によって封印されていた。なぜなら擬似分子を定着させる理論値を示しうる触媒物質が、この地球上に存在し得なかったためだ。
- しかし寛はあきらめなかった。彼はZICに入社した後、鉱物研究員となり擬似分子定着のための触媒物質を探し続けていたのだ。ZICには宇宙開発によって採取された鉱物が数多く入ってくる。寛はその中で「試掘666番」と呼ばれる予備調査において「利用価値なし」と判断され廃棄処分寸前となっていた擬似分子装甲用触媒物質として最適な理論値をはじき出す鉱物サンプルを手に入れる。
- 同時期。マシンガル教授を名乗る謎の怪人が、テロメカを引き連れて複合体に現れるようになっていた。どこからとも無く現れては去っていくマシンガル教授。それは超次元装甲と基礎理論を同じくする物質転送システムIntrude Dimension Area 転送システム(IDA転)によるもの。彼は右往左往する人々をよそに、自らの趣味であるハイテク・レトロ(この時代において骨董価値があるとされる各種電気工学技術を用いた電化製品。たとえばVHDやひまわり初号機、新幹線のぞみ号など『モルダイバー』OVA発売当時においては最先端であった工業技術製品)をあちこちから盗んでいく。
- 鉱物サンプルを手に入れた寛は喜び勇んで、それに「モル鉱石」と名づける。さらには天城教授に知らせることも無く独自に超次元装甲の開発に乗り出す。実は彼の夢は秘密のスーパーヒーローになる事だった。寛は苦難の末に装甲開発に成功。人知れず人命救助など正義の行動に乗り出す。人々は擬似分子装甲で変身した寛を敬愛をこめてキャプテン東京と呼ぶようになった。
- ところが、あることがきっかけで寛の行動は妹の未来(みらい)の知るところとなる。未来は周囲の知らぬところとはいえ、自分の身内が「キャプテン東京」などというセンスの無い名前で呼ばれる事に腹を立てた。未来が立腹したのはそれだけでなく「キャプテン東京」の外観も。擬似分子装甲は装甲安定装置「モルユニット」へのプログラミングにより、自由に外形を変えられる。寛が選んだ外形は、ひ弱な自分への劣等感から、アメコミもかくやと言うほどのマッチョマンだったのだ。この寛と周囲の壊滅的とも言えるセンスの悪さがどうにも気に入らない未来はある計画を実行する。
- なんと未来は寛の部屋に忍び込み、モルユニットのプログラムを勝手に変えてしまったのだ。だが、未来は元来メカに弱い。未来の迂闊でデタラメな操作はモルユニットを「競合しない二つのプログラムを無理矢理押し込めた不安定な欠陥品」に変えてしまったのである。かくて、ここに従来のモルダイバーである「キャプテン東京(モルダイバー1号)」と未来のボディーデータを基礎とした美少女型の「モルダイバー2号」が誕生した。
- 一方でマシンガル教授一味は複合体を所狭しと暴れまわる。その正体は寛の恩師・天城教授と彼の秘書・イザベラ、そして彼女の妹たち。天城は天才であるが故の孤独と退屈から、ついに犯罪に手を染めてしまったのだ。そしてイザベラとその妹たちは他ならぬ天城の手によって作られたアンドロイド、マシンガル・ドールズだったのだ。モルダイバー兄妹とマシンガル教授たちは互いの正体も知らず、ある時は恩師と弟子(と、その家族)として。またある時は宿敵同士として事件現場で出会うことになる。
- こうしたドタバタの中、兄と姉の秘密行動に不審を抱く大宇宙家末弟、スーパーハッカー・望夢(のぞむ)。未来の初恋の人にしてZIC外宇宙開発プロジェクト飛行士候補であり寛の無二の親友・岬薫(みさき かおる)。そして岬を軸にした未来の恋敵にして同級生の白瀬真織(しらせまお)などの面々を巻き込み、モルダイバーの冒険は始まるのである。
[編集] キャスト
- 大宇宙未来:野上ゆかな
- 大宇宙寛:森川智之
- 大宇宙望夢:松本梨香
- 天城教授:八奈見乗児
- 白瀬真織:平松晶子
- 岬薫:梁田清之
- イザベル:篠原恵美
- ジェニファー:天野由梨
- ブルック:井上喜久子
- ヴィヴィアン:西原久美子
- エリザベス:柴田由美子
- サユリ:菊池いづみ
- サスターシャ:嶋村薫
- エミィ・リーン:藤枝成子
[編集] スタッフ
- 制作:AIC
- 監督・原案:北爪宏幸
- シリーズディレクター:藤原洋英
- 脚本:月村了衛、中村学
- キャラクターデザイン:北爪宏幸
- コンセプトデザイン:河森正治、宮武一貴
- デザインワークス:渡辺隆
- 作画監督:奥田淳、反田誠二、北爪宏幸 ほか
- 効果:佐々木純一(アニメサウンドプロダクション)
- 音楽:若草恵
[編集] 主題歌
- OP「GO! GO! モルダイバー」
- 作詞:北爪宏幸 作曲:前田克樹 編曲:藤原いくろう 歌:野上ゆかな(現・ゆかな)
- ED「タイムリミット」
- 作詞:枯堂夏子 作曲・編曲:若草恵 歌:野上ゆかな(現・ゆかな)
[編集] 関連商品
[編集] ビデオ
- ♯1「METAMORFORCE」 1993年2月25日発売
- ♯2「OVERZONE」 1993年3月25日発売
- ♯3「LONGING」 1993年6月25日発売
- ♯4「DESTRUCTION」 1993年7月25日発売
- ♯5「INTRUDER」 1993年9月25日発売
- ♯6「VERITY」 1993年11月25日発売
[編集] DVD
- MOLDIVER 1998年10月23日発売
- MOLDIVER(RONDO ROBE Selection版) 2004年12月22日発売
[編集] コミック
- モルダイバー (伊藤伸平・著 徳間書店・少年キャプテンコミックス スペシャル)
[編集] 小説
- モルダイバー (早見裕司・著 徳間書店・徳間アニメージュ文庫)
- 内容
- 第1話 熱海 湯の町サイダータンク
- 第2話 謎の怪盗 青銅魔人
- 第3話 消えた階層 レベル=17(セブンティーン)
全1巻 ISBN 4199000038