ユーロビート
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ユーロビート(EUROBEAT)とは、ヨーロッパで生まれたダンス・ミュージックの一種。
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[編集] 概要
主にシンセサイザー等の電子楽器を多用した、4/4拍子で、120~160BPM前後の速いテンポの楽曲を特徴とする。曲の構成としては、Aメロ、Bメロ、サビをそれぞれ2回ずつ繰り返す楽曲が多い。元来ハイ・エナジーと呼ばれていたジャンルの音楽であるが、英国の音楽雑誌「レコード・ミラー」が、「ハイエナジー・チャート」の名称を「ユーロビート・チャート」に変更したことにより、日本国内で特にこの名称が定着した。いわゆる洋楽であるが、日本国内のみで発売されているコンピレーション盤がほとんどである。1980年代中期から全国展開したNOVA21グループの高級ディスコ「マハラジャ」「キング&クイーン」で主要ジャンルとしてヘビープレイされ、ユーロビート=ディスコの曲と認知され、注目されるようになった。
1980年代後半から1990年代前半にかけて「ザッツ・ユーロビート」というコンピレーションCDがアルファレコードから発売され、ブームに火を注いだ。同シリーズはVol.44まで続き、今ではユーロビートの古典的存在となっており、ユーロクラシックと言われている。曲間を繋げてリミックスした「ザッツ・ユーロビート・ノンストップ・ミックス」シリーズも発売されている。また、同時期には、他社からも「ユーロビート・ファンタジー」(ポニー・キャニオン)、「ベスト・ディスコ」(ビクター)というシリーズが発売され、ディスコ・ブームとともにユーロビートは一世を風靡した。なお、荻野目洋子(「ダンシング・ヒーロー」)や、BaBe(「Give Me Up!」)、Wink(「愛が止まらない」、「涙をみせないで」)などのアイドルがカバー曲を発表している。この当時の曲はいわゆる1980年代ユーロ(ビート)クラシックとして区別される。(※1)
この時代のユーロビートは、有名プロデューサーによる大量生産の時代でもあった。初期には、PWLのストック・エイトキン・ウォーターマン(Stock/Aitken/Waterman)が一大勢力を誇っており、カイリー・ミノーグ、リック・アストリー、デッド・オア・アライブなどが彼らのプロデュースによりヒット曲を出していた。その後、イタリア出身のM.Farina/G.Crivellente/F.FadingerによるユニットF.C.F.らによって多数のアーティスト、ヒット曲が輩出された。これらは「イタロビート」と呼ばれた。
その後、エイベックスから「スーパーユーロビート」(1989年~)「ユーロビートフラッシュ」(1995~1998年)、「ユーロマッハ!」(1999~2002年)というコンピレーションCDシリーズが発売され始め、「スーパーユーロビート」は現在でも続いている長寿シリーズとなっている(2007年4月現在で最新作はVol.176)。松浦真在人が直接イタリアのユーロビート・レーベルと契約し成功させたこのシリーズにより、エイベックスはメジャーレーベルへと成長するが、世界的にユーロビート全体の人気は落ち目な為、これらのレーベルの作品は、現在ほとんど日本国内で消費されているのみであり、日本国内でのみ人気のあるジャンルをイタリアのレーベルが何年間も制作しつづけるという珍しい現象が起きている。
参加レーベルはA-BEAT C、DELTA、TIME RECORDS、SCP、HI-NRG ATTACK、VIBRATION、BOOM BOOM BEAT。
他にもVictorから発売された「ユーロパニック」(2000~2002年)がある。
ディスコではパラパラと呼ばれるダンススタイルで使われる音楽として定着化されている。(※2)
(※1)の80年代ユーロビートと(※2)の90年代ユーロビートには多少の差異がみられる。(※1)の楽曲は比較的テンポが緩やか(BPM120~130程度)でサウンドもシンプルなのに対して、(※2)の楽曲はテンポが速く(BPM150~160程度)、シンセの高音が際立っている。補足として、96年に東芝EMIから「ダンスマニア」というコンピレーションCDがシリーズが発売され始め、その収録曲はコナミの「ダンスダンスレボリューション」という音楽ゲームにも使用されたが、これらの楽曲がむしろ(※1)の80年代ユーロビートの流れを汲むものといえる。
ユーロビートはクラブミュージックではあるが、他のジャンルとは別格として扱われる。オールジャンルのイベントでも80's以外ではユーロビートはほとんどかからず、アンダーグラウンドな位置づけである。
ユーロビートは日本人アーティストによるカバーが多数ある。その例として、MAXの「Seventies」や、安室奈美恵の「TRY ME~私を信じて~」、V6の「MUSIC FOR THE PEOPLE」、「MADE IN JAPAN」などがありこれらのジャンルをJ-EUROと呼ぶ。
TVアニメ頭文字Dでは、初期作品から現在のFourth Stageまでクルマ同士の闘いのときにユーロビートのなかでもよりカーバトルにふさわしいユーロビートが使われており、頭文字Dとも関係が深い。
最近では、過去のユーロビートの楽曲のリメイクもされてきている。そのような曲には ○○2005、2006(○は曲名)と記載されている。これまでリメイクされてきた曲は以下のとおりである。
- NIGHT OF FIRE 2004/NIKO(Vol.150 DVD収録)
- DARK IN THE NIGHT 2004/MAIO & CO(Vol.152収録)
- WILD REPUTATION 2005/DAVE RODGERS(原曲の名義はTHE BIG BROTHER)(Vol.156収録)
- LIKE A VIRGIN 2005/VIRGINELLE(Vol.162収録)
- LOVE IS DANGER 2005/LINDA ROSS(Vol.163収録)
- ON MY OWN 2006/A.GORDON(原曲の名義はANNERLY GORDON)(Vol.164収録)
- DING A LING 2006/JILLY(Vol.167収録)
- LONELY NIGHT 2006/HELENA(Vol.168収録)
- MAHARAJA NIGHT 2006/LOU GRANT(Vol.169収録)
- MY WORLD 2006/SOPHIE(Vol.171収録)
- DON'T STOP THE MUSIC 2006/LOU GRANT(Vol.172収録)
- DOCTOR DOCTOR 2007/LISA JOHNSON(Vol.173収録)
- MAKE UP YOUR MIND/DAVE RODGERS(原曲の名義はWAIN L.正確にはセルフカバー)(Vol.174収録)
- MELODIES OF LOVE 2007/HELENA(Vol.174収録)
- TAKE A LOOK IN MY HEART/VANITY(原曲はJILLYで、カバー)(Vol.175収録)
- PERFECT TIME 2007/ROSE(Vol.176収録)
昔からイタリアのEUROBEAT製作レーベルは人の流動が激しく(日本の文化で例えるならITベンチャー企業のようなもの)、分子化による新レーベルの設立や作家人によるレーベル間の移籍などが頻繁である。 近年ではDELTA等が代表的な例である。
[編集] 主要アーティストと代表作
- 基本的にディスコでかかる音楽でありステージパフォーマンスをしないのが前提であった音楽のため、プロデューサー・作曲者が複数の名義で歌うことが一般的。また、実際のステージパフォーマーは別人を起用し口パクで行うことが多い。しかし最近はSCP、A-BEAT Cなどで名義とパフォーマーを一致させるリアルアーティスト志向が強い。
1980年代
- マイケル・フォーチュナティ
- GIVE ME UP
- INTO THE NIGHT
- GIOCH DI FORTUNA
- DANCE WITH ME
- リック・アストリー
- NEVER GONNA GIVE YOU UP
- TOGETHER FOREVER
- マーク・ファリーナ
- GUNFIRE
- RUSSIAN
- CHA CHA CHA CHA
- ALEPH
- FLY TO ME
- FIRE ON THE MOON
- DOCTOR
- BIG BROTHER
- F.C.F.
- BAD DESIRE
- SAMURAI
- BIG MATCH
- キング・コング&ジャングル・ガールズ
- LIES
- BOOM BOOM DOLLAR
- WALKIE TALKIE
- カイリー・ミノーグ
- I SHOULD BE SO LUCKY
- COO COO
- UPSIDE DOWN
- MELA
- HELP ME
- FINZY KONTINI
- CHA CHA CHA
1990年代
A-BEAT C
- デイブ・ロジャース
- DOMINO
- LOLITA
- VIRGINELLE
- NUAGE
- MEGA NRG MAN
- キング&クイーン
- NORMA SHEFFIELD
- VALENTINA
- KAREN
- ANNALISE
- MR.GROOVE
- BRIAN ICE
- EDO
- WAIN L.
- MATT LAND
- DERREK SIMONS
- GO GO GIRLS
- MICKEY B.
- MANUEL
- J.STORM
- ACE WARRIOR
- POWERFUL T.
- NEO
- SUSY WENDER
- GROOVE TWINS
DELTA
- MARKO POLO
- CHERRY
- MAKO
- CANDY TAYLOR
- LEILA
- KEVIN JOHNSON
- LESLIE PARRISH
- MADISON
- ROSWELL
- D.ESSEX
- DELTA QUEENS
- NATHALIE
- ODA
- NIKO
- DRAMA
- SUZY LAZY
- VICKY VALE
- DR.LOVE
- STEPHY MARTINI
- PRISCILLA
- MAX COVERI
- MAD MAX
- PRETTY WOMAN
- DENISE
- PIZZA GIRL
- ZA-ZA
- SARA
TIME RECORDS
- ANIKA
- GIPSY & QUEEN
- STOP LIMIT LINE
- PHIL & STAN
- TIME FORCE
- SYM 1
- DAVE SIMON
- IKA
- CLAIRE DENY
- ANN SINCLAIR
- LISA JOHNSON
- LOU GRANT
- SYMBOL
- LINDA ROSS
- HELENA
- TENSION
- MIKE WEST
- LOU TURNER
- MR.M
- MAGGIE MAY
- MARIE BELLE
- TERRY GORDON
- MACHO GANG
- ANGIE DAVIS
- ALEXIS
- HIGH FREQUENCY
- VICTORIA
- VIRGIN
- LES BLUE BELLES
- FRANK TORPEDO
- DR.MONEY
- JILLY
- MIKE HAMMER
- NIKI NIKI
- TOBY ASH
- VANESSA
- SOPHIE
- MAIO & CO
- ATRIUM
- DAVE
- JOCK LEE
HI-NRG ATTACK
- NIKITA JR.
- GARCON
- CINDY
- CIAO CIAO
- CY-RO
- JOE D. TOASTER
- JEFF DRILLER
- TAM ARROW
- PRINCESS F.
- BABY BAZOOKA
- BAZOOKA GIRLS
- FRANZ TORNADO
- MAD COW
- MARA NELL
- KARA MELL
- JOE BANANA
- FRANCIS COOPER
- CHRIS
STEFANO CASTAGNA PRODUCTION(SCP)(旧 DOUBLE)
- FASTWAY/DUSTY
- CHRISTINE
- ACE
- LUCYA
- MELISSA WHITE
- NICK MANSELL
- KIKI & FANCY
- PAMSY
- SCREAM TEAM
- LISA LION
- VAN T.K.
- DAVE McLOUD
- GO 2
VIBRATION
- DEE DEE
- JIMMY BRAVO
- BETTY BLUE
- MARIA VALENTINO
- REGINA(QUEEN REGINA)
- LUNA
- SHARON K.
- JACKIE O'
- MAXX DUCATI
- CAPTAIN AMERICA
BOOM BOOM BEAT
- KEN MARTIN
- MARK FOSTER
- MARK FARINA
- SARAH
- MISTER MAX
- TIPSY & TIPSY
- RADIORAMA
- BOMBERS
- ALVIN
- MILK AND COFFEA
- LUPIN
- ALPHATOWN
- NRG-GIRLS
- THE FACTORY TEAM(F.C.F.より改名)
AKYR RECORDS
- BLACK FIGHTERS
- DAVID KANE
- STEPHY MARTIN
- LUCATOR
- MAXIMUM POWER
- SOPHIE SANZ
- HITOMI SAKUMA