ラエリアン・ムーブメント
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ラエリアン・ムーブメント(Raëlian Movement)は、フランス発祥の市民団体。団体幹部が起したベンチャー企業クローンエイド社が2002年12月27日以降、何件ものヒトクローンの製作に成功したと発表し、一時話題になった。
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[編集] 概要
1973年12月13日、フランス人でモータースポーツジャーナリストであったクロード・ボリロン(別名、ラエル)が、フランス中部のクレルモンフェラン近くの火山のクレーターで「ヤーウェ」と名乗るエロヒムに接見し、預言者となるよう啓示とラエルという名を授けられ設立されたという。2003年11月の時点で、世界90カ国に活動拠点があり、6万人以上のメンバーが在籍しているといわれる。そのうち日本人の会員数が最も多いといわれる。
過去における地球上の全ての生物が、2万5千年進んだ優れた科学技術力をもつエロヒム(聖書、旧約聖書、創世記に記されており、天使の名前の語尾やラエルのエルと同一単語のヘブライ語、エールの複数形。通常、日本では神(英語ではGod)と訳されるが、ラエリアン・ムーブメントは(古代宇宙飛行士説の論者ゼカリア・シッチンと同じく)空から来た人々と訳す)の遺伝子工学によって創造されたとしている。また、生命創造の前に地球を生物に適した惑星に改造したとある。
神を、科学を理解できない時代の古い概念と位置づけ無神論を掲げており、霊魂も現実には存在しないと教えている。また、偶然・自然選択・突然変異の蓄積による生物の進化は、現実には起こらないという考え方である。原初的生物の創造からエロヒムの生命創造技術の進歩により、より高度で複雑な生物(例えば人間)が誕生したとされる。 有神説的創造説とは違い、外宇宙の知的生物によると定義する科学創造論である。
彼らの主張によれば、最初の地球人アダムとイブは「試験管ベビー」であり、エデンの園はイスラエルにあったと記されている。また歴史の折に触れエロヒムは人類を正しい方向へ導いてきたという。エロヒムは原始的人類の前では神として振舞っていたと記されている。モーゼ、ブッダ、イエス、マホメットなどはエロヒムの使者であることになる。
寄付金などはエロヒムのための大使館の建設などに充てられており、ラエリアンのメンバー全員が給料をもらわない完全ボランティアとしてエロヒムのための大使館建設とエロヒムからのメッセージ普及を目的に活動を続けている。尚、主なメッセージは「真実を告げる書」にまとめられている。エロヒムに関しては御霊の項目を参照。
[編集] 哲学
ラエリアン・ムーブメントの哲学は、ラエルが異星人ヤーウェ(エロヒムの不死会議議長)と会って告げられたというメッセージを正しいものと認め、エロヒムを人類の創造主と認めて、彼らの要望どおり地球に迎え入れる ということである。ラエリアンとは、このメッセージを信じる人のことをいう。 ヤーウェから告げられたというメッセージは、ラエルが著作にまとめている。その著作によると、概要は以下のとおりである。
[編集] 1973年のメッセージ
ラエルは、1973年12月13日早朝にフランス中部のクレルモン・フェランの火山で、霧の中から出現した空飛ぶ円盤(UFO)から降りてきた宇宙人(異星人)と遭遇した。その異星人は、人間の男性そっくりで、ただ、身長は1.2mと低い。東洋系の顔立ちをしていた。世界中の言語を話せるといい、フランス語でラエル と会話したという。その後、同じ場所にUFOは出現して、6日間にわたりメッセージを聞き、メモに記録したという。
その異星人はヤーウェと名乗り、遠い昔に、他の科学者仲間と地球にやってきて、生命創造実験・遺伝子操作実験を開始した。「はじめにエロヒムは天と地を創造された」(創世記)。聖書によっては神と誤訳されているエロヒムとは、ヘブライ語で「天空より飛来した人々」の意味を持ち複数形である。その概要は旧約聖書の創世記に記してあり、種々の生物を創造した後、自分たちそっくりに、ただし、自分たちの惑星とはまったく違った環境下で地球人を作った。創世記には「われわれの形に、われわれにかたどって人を創り」と記してある。聖書の中に様々な真実の痕跡が見つかるという。地球人の文明が進歩することは、異星人の安全を脅かすことであったが、実験場の1つであるエデンで異星人のひとりルシファー(後に「へび」と呼ばれる)がアダムに、地球人も科学技術を発展させれば異星人と同様に不老不死になれる ということを教えてしまったため、実験場内での地球人の保護を止め、地球人は実験場(楽園)から外界に出されることととなった。創世記には、「人は… やがては命の木からも採って食べ、永遠に生きることのないようにしなければならない」と記されている。
エロヒムは地球人を文明の後継者候補として、計画に従って人類の歴史を導いてきた。旧約聖書の時代にひとりの「メシア」を遣わすために、マリヤに人工的な受精により創造者の子を妊娠させた。(キリストの誕生)「マリヤは精霊によって身重になった」(マタイによる福音書)。その後「キリスト教」は世界に広まり、キリストが処刑されたのち生き返らせて、死者の再生があることを啓示した という。イエスによる様々な奇跡は、エロヒムの科学技術によるものと記されている。旧約聖書に登場が預言されていたキリストは、エロヒムが人類を創造した証拠としての旧約聖書を、世界中に広める役割を持っていたとされる。ラエルはモーゼ、ブッダ、キリスト、マホメットなどのエロヒムが遣わした預言者たちに続く最後の預言者になる。ラエルは、メッセージを伝えることと、エロヒムを迎える大使館を作ることを要請される。
エロヒムは、地球人が核エネルギーをどのように使うか、発展のために使うか破滅のために使うかによって、地球人が有益な存在か有害な存在か後継者に値するかを見極めようとしている。後継者になるためには、エロヒムに敵対的であってはならず、地球人がエロヒムを友好的に迎え入れるか否かも見極めようとしている という。エロヒム自身も別の創造者により創造されたとされ、人類も創造者となり他の惑星に生命を誕生させる時が来るという。聖書には「今あるものは、すでにあったものである。後にあるものも、すでにあったものである」(伝道の書)とある。エロヒムは自らの惑星では、自分たちのことを人間と呼んでいるという。
[編集] 1975年のメッセージ
ラエルは1975年10月7日の深夜にロックプラで再びヤーウェと会った。この2年間はテスト期間であったと告げられた後に、地球近くの基地を経由して、エロヒムが他の惑星上に造った楽園を訪れたという。そこは「不死の惑星」と呼ばれ、科学的に不死(クローンを使い、人格と記憶を若い体に移す)となったキリストなどの偉大な預言者たちがいたとされる。
自分たちの太陽系を脱出できるほどの人々は、例外なく平和を好むことが実証されたとする。そのような人たちは、自らの破壊へのサイクルからすでに脱出しているからである。どのような時も、非暴力は暴力より有効である。宇宙の恒星や惑星がすべて、ある巨大な生物を構成する微粒子であり、無限大の世界も無限小の世界も同様であると記されている。エロヒムの世界では生物ロボットを使うことにより、全ての労働から開放されていて、貨幣制度も結婚制度も存在せず、選ばれた天才たちによって統治されているという。尚、この天才たちのみが不死の特権を持つという。
ヤーウェは天才たちによる不死会議の議長であり、地球の人工生命創造プロジェクトのリーダーであった。エロヒムはすべての人間を観察していて、その生涯の行為において採点され、死後「不死の惑星」に再生されるか否か、裁きを受けると記されている。特に邪悪な人間は、細胞から再生され相当の罰を受ける。
エロヒムを迎える大使館はイスラエルのエルサレム近くに希望するが、もしイスラエルが拒否すれば大使館は別の国に建てられて、イスラエルは再び破壊されるという。イスラエルの民はエロヒムの直系の子孫であると記されている。大使館にエロヒムが再び来訪すれば、人類は飢えや病気のない黄金時代に入ることになるという。キリストの再臨は聖書に預言されているが、エロヒムと共にキリストなどの預言者がやってくるとされる。
過去にエロヒムは、ルルド(聖母マリアが出現し、泉の水により病が癒された奇跡があった)をはじめとして、世界各地で援助に値すると判断した人々に、救いの手を差しのべてきたと記されている。
[編集] 1978年のメッセージ
ラエルはヤハウェから、「注意しなさい。近いうちに、他の異星人が現れるかもしれないが、彼らも、エロヒムが造ったものである。理由などは今は説明できない。」とのメッセージを告げられたと記している。
その後1997年にもメッセージがあり、イスラエルの民とのつながりは終わりに近く、ダビデの民はエロヒムの保護を失い離散するだろう。新しい時代に仏教徒はラエリアンに近い。全ての諸国に、大使館建設のための、許可と必要な治外法権を要請し、1キロメートルの半径は陸でも水面でも良い。大使館を建てる国の将来は保障され繁栄する、とのメッセージがあったと記されている。