ラリー・カールトン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ラリー・カールトン(Larry Carlton,1948年3月2日-)はアメリカカリフォルニア州トーランス出身のジャズ・フュージョン界を代表するギタリストの一人。作曲家。
目次 |
[編集] 歴史
6才の頃からギターを始め、ハイスクール時代にはブルース・ギタリストであるB.B.キングやジャズ・サックス奏者のジョン・コルトレーンに影響を受け、ジャズを演奏し始める。スリム・エドワーズやジョー・パスに師事を受けた。1966年から1968年までL.A.ハーバー・カレッジ、1968年から1970年をロングビーチ州立大学で音楽を専攻した。サンディエゴで開かれた南カリフォルニア・ビッグ・バンド・コンテストで最優秀ソロイスト賞を受賞し、1968年には"With a Little Help From My Friends" のタイトルでファーストアルバムをリリース。その後もソロでの経歴を重ね、1971年から1976年までジャズ・ロックグループクルセイダーズに参加する。1977年にはワーナー・ブラザーズ・レコードと契約し、1978年から1984年にかけて、6枚のソロアルバムを製作した。その楽曲と演奏に対し、4つのグラミー賞を受賞している。1970年代にはロサンゼルスでセッション・ミュージシャンとしても活躍し、スティーリー・ダンやジョニ・ミッチェルも含む多数のアルバムに参加している。ローリング・ストーン誌のベスト・ギター・ソロに関する投票では、"Kid Charlemagne"(スティーリー・ダンのアルバム、"The Royal Scam"に収録)での演奏が第3位に選ばれている。
1985年にはアコースティック・ジャズ・アルバム製作のためにMCAレコードと契約した。その成果がアルバム"Alone, But Never Alone"である。この年から1990年の間、カールトンはさまざまなソロ・プロジェクトで活動し、再度グラミー賞を受賞している。しかし、アルバム"On Solid Ground"の製作中、"Room 335"(南カルフォルニアにある自宅プライベートスタジオ)の外にいた青年に銃撃を受けた。この銃撃により彼の声帯は破壊され、彼自身も重大な精神的外傷を負ったが、徹底的な治療とポジティブな持ち前の精神力で、最終的にはこのアルバムを完成させた(発表は1989年)。1991年からはブルース・アルバムの録音を開始するが、ジャズ製作のオファーがあったため製作は遅れることとなった。このブルース・アルバム"Renegade Gentleman"は最終的には2年後の1993年にリリースされた。
1994年から1997年にかけては多くのツアーに参加し、また、1995年にリー・リトナーとのデュエットアルバム"Larry & Lee"をリリースした。1997年からはリトナーに代わり、スムース・ジャズグループであるフォープレイに参加。リトナーと違い、それまであまり他のメンバーとのセッションが無かったため、参加当初は従来からのブルース志向に拍車がかかるなど、グループ内での音楽性の違いがやや見受けられた。しかし、活動を続けるに従い、双方にリトナー時代と違った融合が生まれた新フォープレイの確立に成功し、ソロ活動においてもフュージョンとブルースをよりうまく融合した新しいカールトンミュージックを確立した。
2003年には10年ぶりとなる全編ブルースアルバム「サファイアブルー」をリリース。彼自身の原点回帰を行っている。
現在はフォープレイがBMGのRCA傘下のブルーバード・レコードに移り、それに伴いカールトンも移籍、2005年に"Firewire"を発表。
[編集] 使用機材
ラリー・カールトンはギブソン社のES-335を使用していることでよく知られており、'Mr.335'というニックネームをつけられている。ギブソン社はカールトンが所有する1968年製のES-335を元に、ラリー・カールトン・シグネチャーモデルを発売している。また、かつてはヴァレー・アーツ社ともエンドースメント契約を結んでいた。
アンプはダンブルアンプを使用している。
[編集] ディスコグラフィ
[編集] アルバム
タイトル | 発売年 | 注釈 | |
---|---|---|---|
With A Little Help | 1968 | Uni | |
Singing / Playing | 1973 | Blue Thumb | |
Larry Carlton (邦題:夜の彷徨) | 1977 | Warner Brothers | |
MR.335 Live In Japan (日本版のみ) | 1977 | Warner Brothers | |
Strikes Twice | 1980 | Warner Brothers | |
Sleepwalk | 1982 | Warner Brothers | |
Eight Times Up | 1982 | Warner Brothers | |
Friends | 1983 | MCA | |
Alone / But Never Alone | 1985 | MCA | |
Last Nite | 1986 | MCA | |
Discovery | 1987 | MCA | |
On Solid Ground | 1989 | MCA | |
Christmas At My House (クリスマス企画アルバム) | 1989 | MCA | |
Collection (ベスト盤) | 1990 | GRP | |
The Best Of Mr.335 (ベスト盤) | 1992 | Warner Brothers | |
Kid Gloves | 1992 | GRP | |
Renegade Gentleman | 1993 | GRP | |
Larry & Lee | 1995 | GRP | |
The Gift | 1996 | GRP | |
Collection Vol.2 | 1997 | GRP | |
Fingerprints | 2000 | Warner Brothers | |
No Substitution with Steve Lukather | 2001 | Favored Nations | |
Deep Into It | 2001 | Warner Brothers | |
Sapphire Blue | 2003 | JVC Music | |
The Very Best of Larry Carlton (ベスト盤) | 2005 | GRP | |
Firewire | 2005 | Bluebird |
[編集] ビデオ
タイトル | 発売年 | 注釈 | |
---|---|---|---|
Larry Carlton Live | 1987 | ||
Star Licks Larry Carlton | 1989 | (教則ビデオ) | |
Star Licks Larry Carlton Vol.2 | 1992 | (教則ビデオ) | |
Larry Carlton Live At Montreal International Jazz Festival | 1997 |
[編集] DVD
タイトル | 発売年 | 注釈 | |
---|---|---|---|
Carlton Lukather Band - The Paris Concert | 2001 |
[編集] 関連項目
- クルセイダーズ
- フォープレイ
- 原由子:サザンオールスターズのアルバム『タイニイ・バブルス』の中で原がメインボーカルを務める「私はピアノ」(詞:桑田佳祐)で歌詞に敬愛するラリー・カールトンが登場する。後に高田みづえがカヴァーし高田自身最大のヒット曲となった。