リアルIRA
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リアルIRA(the Real Irish Republican Army, Real IRA)はアイルランドの民族主義組織であるアイルランド共和国軍(IRA)の分派の一つ。日本語では"真のIRA"とも呼ばれる。
北アイルランドでは1960年代からIRAなどのナショナリストとユニオニストの間でテロが繰り返されてきた。この北アイルランド紛争を終結させるために、1997年IRA暫定派は停戦に合意したが、それに反対するメンバーがリアルIRAと呼ばれる組織を結成しテロ活動を継続させた。
リアルIRAのメンバーは南アーマー州およびデリー、ストラベーン出身者が中心となっている。初代の指導者はIRA暫定派の補給局長を務めたマイケル・マクケヴィットだが、現在は逮捕され懲役刑に処されている。結成の直後からリアルIRAはIRA暫定派が停戦前におこなっていたのと同様の手口でテロを繰り返した。しかしリアルIRAには密告者が潜入しており、1998年前半にはアイルランド警察とロイヤル・アルスター警察隊(RUC)による指導者たちの逮捕が行われた。しかし同年の8月15日にはオマーのショッピングセンターでの爆弾テロを決行し、29名の市民が死亡する惨事となった。この事件にはアイルランド中から非難の声があがり、多くのリアルIRAメンバーが組織を脱退した。
1997年1998年までのリアルIRAによるテロ事件には次のようなものがある:
- 1997年9月16日 : アーマー州のマーケットヒルにおけるRUC支局前で車爆弾が爆発
- 1998年1月6日 : ダウン州バンドリッジの中心部で車爆弾が爆発
- 1998年2月23日 : アーマー州ポーダウンで車爆弾が爆発
- 1998年3月10日 : アーマー州アーマーにおけるRUC支局前で車爆弾が爆発
- 1998年6月24日 : アーマー州ニュータウンハミルトンで車爆弾が爆発
- 1998年7月22日 : アーマー州ニューリーにおけるRUC支局前で車爆弾が爆発
- 1998年7月28日 : アーマー州のポーダウンの店で焼夷弾が発見される
- 1998年8月2日 : ダウン州バンブリッジ中心部で車爆弾が爆発し33名の市民が重傷を負う 損害額の合計は200万ポンド
- 1998年8月15日 : オマーのショッピング街で爆発 29名の市民が死亡、数百名が怪我をおった
リアルIRAは1998年に一方的に休戦を発表したが、数年後に活動を再開した。ロンドンのMI6本部へとロケット弾を発射し、さらにその一年後2001年3月1日には西ロンドンのBBC前で車爆弾が爆発し7名の市民が怪我をおった。この爆発はBBCのクルーにより撮影され、ニュースで放映された。
これ以後組織の活動は目立って減少した。2003年秋には獄中の指導者が無条件の活動停止を訴えている。
北アイルランド紛争の平和的解決を進めてきたアイルランドおよびイギリス政府にとってリアルIRAは大きな障害の一つとなっている。2004年12月に発生したベルファストにおける連続爆発事件は和平合意の一時停止の原因となってしまった。2005年にアイルランド共和国司法大臣マイケル・マクダウェルはリアルIRAには150名のメンバーが存在すると報告している。[1]
IRA暫定派の分派としては1986年に結成されたコンティニュイティIRAも存在する。32州統治運動は一般的にリアルIRAの政治組織であると見なされている。
[編集] 外部リンク
- rira.topcities.com 支援者によるサイト
アイルランド共和国軍 (IRA) を名乗る組織 |
アイルランド共和国軍 (アイルランド共和国暫定政府の正規軍) (1919年–1922年) |
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