リージョンコード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
DVDリージョンコード (DVD Region Codes) とは、それぞれのDVDメディアが販売および利用される地域(リージョン)の情報を記載した情報(コード)を指す。商用DVDにおいては、ユーザーはある一地域においてのみ利用が認められることが多い。理論的にはこの規制によって販売者が地域ごとにメディア内容、販売日、価格を調整できることになる。実際には、どのリージョンのDVDでも再生することが可能(リージョンフリー)であるか、またはそのように改変することができるDVDプレーヤーが多く出回っている。リージョンコードはコピーガード技術ではなく再生を制限するもので、元々テレビゲーム業界において導入されたものである。
目次 |
[編集] 世界のリージョンコード
リージョン コード | 地域 |
---|---|
0(ALL) | どのリージョンにおいても利用可能(非公式) |
1 | バミューダ諸島、カナダ、アメリカ合衆国 およびその保護下にある地域 |
2 | 中東諸国、西ヨーロッパ、中央ヨーロッパ、エジプト、フランス保護領、グリーンランド、日本、レソト、南アフリカ および スワジランド |
3 | 東南アジア、香港、マカオ、韓国 および 台湾 |
4 | 中央アメリカ、カリブ海諸国、メキシコ、オセアニア、南アメリカ |
5 | アフリカ、旧ソビエト連邦諸国、インド亜大陸、モンゴル、北朝鮮 |
6 | 中国本土 |
7 | 予備 |
8 | 航空機および旅客船などの国際領域での利用など |
ヨーロッパではリージョン2に加えてサブコードのD1~D4が存在する。D1はイギリスのみで販売されているDVD、D2とD3はイギリスとアイルランド以外で販売されているDVD、D4はヨーロッパ全土で販売されているDVDに付されている。
1枚のDVDに複数のリージョンコードを付すこともできる。例えばリージョン2と4が付されたDVDはリージョン2・4両方の地域で流通・利用が可能。「リージョン0」のDVD(リージョン1~6の6種類のコードが付されたDVD、リージョンフリーDVD)であれば世界中で視聴できる。Content Scramble System (CSS)を解除できるソフトウェア(DVD Decrypter、AnyDVD、DVD Shrinkなど)であれば、特定のリージョンコードが付されたDVDをリージョンフリーにして複製することもできる。
[編集] DVDプレーヤー
DVDプレーヤーにもリージョンコードが付されており、DVDメディアとプレーヤーの両方のコードが一致した場合に、そのDVDは再生可能となる。しかし、リージョン1~6全てのDVDが再生可能なリージョン0のDVDプレーヤーも存在している。これに対しDVDメディア制作側はRegional Coding Enhancement (RCE)という制御技術を開発している。通常はプレーヤーがDVDのリージョンコードを認識して再生の可否を判断するが、RCEではDVDがプレーヤーのリージョンコードを照合し、DVD側のコードと一致した場合にのみ再生を許可する。プレーヤーがリージョン0である場合は不一致とされ再生されない。
近年は「マルチリージョン」を謳ったDVDプレーヤーが増えている。これは、プレーヤーがDVDのリージョンコードを認識した際、それに一致するようにプレーヤー側のコードを自動的に変更したり、使用者が自分でプレーヤーのコードを変更できるものである。他にもDVDによるコードチェックをスルーするプレーヤーや、最初からリージョン制限そのものを無効化しているものもある。プレーヤーメーカーの中には、リージョン制限を無効にする方法を公表しているところもある。
[編集] 法的問題
リージョン制限の無効化について現在、自由貿易協定を侵害しているとしてリージョンコードの法制化が検討されている。オーストラリア公正取引委員会(The Australian Competition and Consumer Commission, 略称ACCC)は、リージョン制限を無効化するDVDプレーヤーについて、取引慣行法に違反する恐れがあると警告している[1]。ニュージーランド政府も同様の判断をしている[2]。これは即ち、オーストラリアとニュージーランド両国内で販売されているDVDプレーヤーのほとんどが、リージョン0である可能性が高いことを示している。
[編集] 脚注
- ^ Restricting DVD's illegal: ACCC(The Australian IT、2001年3月27日)
- ^ DVD-ROM drives