リーダーシップ
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リーダーシップ(leadership)とは多数の人間を一人の人間に従わせること、またはその技術と才能を指す。統率とも。英語における概念は統御のみを指す場合もある。
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[編集] 概説
リーダーシップの概念は非常にさまざまな議論があるが、一般的には一人の人間がその他の人間から服従、信頼、尊敬、忠誠、協力を得られるような方法で人間の思考、計画、行動を指揮でき、かつそのような特権を持てるようになる技術及び才能を指すと考えられている。それは意思決定を行う指揮、労力や資源を配分・管理する統制、心的作用による統御の三機能から構成されると考えられている。
[編集] リーダーシップ資質論
リーダーの資質については非常に長い間研究の対象となってきた。孫子においては、リーダーシップの資質として智・信・仁・勇・厳の五つを上げている。またクラウゼヴィッツは指揮官の才能として、知性と情熱を兼ねる高度な精神・危険を顧みず自身の行動に責任を負う勇気・不確実な事態における洞察力・洞察に基づく具体的な行動する決断力などを挙げた。旧日本陸軍の教範において蔵田十紀二は、高慢の品性・至深の温情・堅確な意思・卓越した識見、として全体的な人間の能力を網羅している。米海軍の士官候補生読本においては、忠誠・肉体的精神的勇気・信頼・宗教的信仰・ユーモアのセンス・謙虚・自身・常識・判断力・健康・エネルギー・楽天主義が挙げられている。ただしこれらの資質は基本的な技能が備わっていることが前提である。能力が劣る上官に部下の信頼を得ることはできない。しかし知識や知能で劣っていれば洞察力は判断力の面でよいリーダーシップは発揮できない。資質・技術・知能が揃うことが望ましい。
[編集] 軍事のリーダーシップ
武装組織、特に軍隊のリーダーは負っている責任の性質が他の組織とは異なる。軍人は国家の非常事態において直接事態を処理する。その際に失敗することは自身の死であり、部下の死でもある。そのような状態においてのリーダーシップは平時から構築されていることが必要である。優れたリーダーシップの保持者は戦場においても部隊を秩序だって能率的に統率し、敵の攪乱にあっても部隊の混乱を最小限に留め、戦場心理によって極限的な状態に追い詰められた部下たちの士気を維持・高揚させることができる。
[編集] サーバント・リーダーシップ
リーダーシップはリーダーだけのものではない。いわゆる「部下」の立場から発揮されるリーダーシップも存在する。ある組織において、管理職ではない担当者が、自己の担当業務に関して組織に働きかけ、組織目標に貢献することなどである。本来、組織を目標へ導くことは管理職の役目だと思われているが、組織内で理念と目標が共有化できていれば、担当者が能動的に組織を導いていくことが可能となる。